小さな栗の木の下で

保護犬のミニチュア・ダックスを引き取り、
小型犬との暮らしは初めて!という生活の中で、感じたことを徒然に…。

ひとり出版社フェア

2014-08-21 | 
 岩波ホールで映画の当日券を買ったあと、開場まで時間があったので、久しぶりに神保町を歩いた。

 相変わらず理解力は乏しいのだけど、小中学生の頃から本が好きで、お話や詩を書くことも好きだった。浪人時代は駿台予備校に通っていたので、神保町は徒歩圏内。本屋街をブラブラするのが面白くて、授業をさぼってはよく神保町に足を伸ばしていた。

 あの頃、御茶ノ水界隈には長居できる名曲喫茶があちこちにあったし、神保町には「さぼうる」や「ラドリオ」をはじめ、味のある喫茶店がたくさんあった。喫茶店で本を読んだり、何か書いたりする時間は、私のとって至福の時だったのだ。

 本屋さんでバイトしたいという思いを叶えて、書泉グランデでバイトもした。バイト店員でも7掛けだったか8掛けだったか忘れたけれど、本が安く買えたのがうれしかった。

 そんなことを思い出しながら、すずらん通りを歩いたのだけど、すずらん通りもだいぶ様変わりした。昔ながらの洋食屋さん「キッチン南海」や天津餃子の有名店「スヰートポーヅ」は健在だけど、百均の「ダイソー」や「ガスト」「セブンイレブン」が看板をあげている。

 以前そこにあった書店のたたずまいを思い出しつつ、「仕方のないことなんだろうな」とつぶやき、東京堂書店に入ると、一角に「ほんのみらいをつくる ひとり出版社の100冊とそれをつくった100冊」フェアのコーナーがあった。

 「厳しい、厳しい」と言われ続けている出版業界にあって、ひとりで出版社を興して奮闘している版元を集め、自社書籍10点と好きな書籍を10点ずつ選書してもらって陳列してあったのだ。なんとステキな企画だろう! 

 

 紹介されていたのは、夏葉社、クレイン、DECO、共和国、土曜社、インスクリプト、菊谷文庫、港の人、群像社、タバブックス、景文館書店の11社。

 活版印刷で美しい詩集をつくっている詩の出版社「港の人」が出展していて、うれしくなってしまった。

 最近はついamazonで本を買うことが多くなってしまったけれど、やはり本屋さんはワンダーランドだ! ちゃんと足を運んで、この目で、この手で、書籍に触れないといかんな。東京堂書店に立ち寄って、本当によかったと思った。

 ひとり出版社フェアは昨日で終わってしまったのだけど、紹介されていた出版社の本を丁寧に調べてみると、どの出版社も志向がはっきりしていて、とても面白かった。心意気を感じ、おおいに刺激されました。夏葉社を興した島田潤一郎さんが書いた『あしたから出版社』も読んでみようと思う。
コメント
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