<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
宇宙エンタメ前哨基地



ちょっと以前になるけれども準大手ゼネコンの前田建設が「ガンダムの地球連邦軍基地」を本当に建設したら費用はいくらかということを積算してネットで公開したことがあった。
私はガンダムのファンではないのだが、こういう夢のあるプロジェクトが大好きなので「なかなか粋なことをするもんだ、前田建設!」と感動したことを覚えている。

SFに登場する様々なメカや施設というものは一体どのくらいの費用で建設あるいは開発されるのであろうか。
時々そういうアホなことを考えることがある。

サンダーバードの秘密基地はトレーシー家というイギリス大金持ちが自己資産を費やして建設。
登場するサンダーバード号のような凄いメカもトレーシー家の財産で開発された。
で、一体どれくらいの費用がかけられたのかは当然の如くドラマで説明されることはない。

007に登場する悪役の秘密基地もしかり。
ウルトラセブンに登場するウルトラホークなどの飛行機もしかり。
ドラえもんのタイムマシンもいくらするのかは説明されることはない。

価格がわかるのはリー・メジャース主演の「600万ドルの男」ぐらい。
これは価格がかるだけでに時間とともに為替変動で次第に価値がへってしまい、そのうち二束三文で叩かれそうな雰囲気がして、これはこれでいただけない。

で、スタートレック最新作「BEYOND」を観てきて真っ先に感じたのは、宇宙船エンタープライズ号を建造するのに必要な費用はいったい幾らなのかということだ。
さらにその資金は誰がどこから調達してきて、誰が決済するのかだろうか、ということなのであった。

スタートレックシリーズの登場する主役級の宇宙船「エンタープライズ号」はTVシリーズではほとんど破壊されることが無いのだが、映画のシリーズとなると幾度となく破壊されている。
攻撃されたらどういうわけか惑星に墜落。
大破する。
しかしそこは主役ということもありその都度、何らかの形で復活する不死身の宇宙船だ。

今回も敵との戦闘で船体がバラバラに破壊され墜落を余儀なくされる。
それもドラマの前半で復活不可能になってしまうのだ。
観客としてはどうやって乗組員たちはその惑星から脱出し、帰還するのかが大きなテーマとなる。
ところがシリーズを観ているファンは「どうせ都合よく宇宙船なんかが居るんやろ」と思っているので心配はない。
問題はどうやって戻って、エンタープライズが同復活するかだ。
そこんとろは安直なSFということができる。
しかもドラマはその予想を裏切ること無く、古い宇宙船が存在したりしているのでドラマの結末は自ずから見えてしまうところが、なかなか辛いところだ。

結局、新しいエンタープライズ号が建造されているシーンで今回の映画は終わるのだが、その建造シーンがリアルなCG画面であるばかりに観ていて、
「ん〜〜〜〜〜。この建造費は誰が出すんや」
と思ってしまったのであった。
もしかすると22世紀の社会では銭金に関する考え方や価値観が違っているのかも知れない。
でも今から200年前の日本社会を思い浮かべてみると江戸時代とは言え経済は資本主義。
今とほとんど変わらない貨幣経済で世の中が成り立っていたわけで、200年後の未来がそう簡単に変わっているとも思えない。

スタートレックBYOND。
思わず銭勘定をしてしまう映画なのであった。

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