社長の人格が問われている。
何のことかというとフジテレビ問題だ。
会社が危機に瀕したとき、時としてそれに油を注ぐのが社長の人格。
これまでも忘れられないの事例がいくつかある。
最も印象深いのは雪印食品の食肉産地偽装に端を発した一連の事件だった。
連日連マスメディアに追われた社長は向けられたマイクに、
「わたしゃ寝てないんだよ」
と言った。
この一言で雪印食品の命運は尽きたといっても過言ではなかった。
まもなく会社がなくなってしまったからであった。
雪印グループには思い出したくもない事件であることに違いはない。
山一證券が潰れた時は、一味違った社長の記者会見があった。
「社員は悪くありません」
と号泣したのだ。
号泣したことが大きく話題になったが、「社員は悪くありません」という社長の誠実さが山一證券の倒産まで至った粉飾のドス黒さを少しは和らげた効果があったのは間違いない。
で、今回のフジテレビ。
こういう同族経営ではない会社の社長というのは平和な時は実力のあるヒトではなく、業績はあるていどあって、毒にも薬にもならない。
そういう人格のヒトが選ばれる傾向にあるようで、一旦事が発生すると対応するのが難しい。
たとえば阪神大震災が発生した時の首相が村山富市であったり、東日本大震災が発生した時の首相が菅直人であったこととよく似ている。
社員は天災の如く、その衝撃に備える必要がある。
なんといっても堤防かつ防衛指揮官であるはずの社長は「夜寝ていない」ヒトや「動画撮らないで」というヒトしかいないのだから。
ああ、なんてこった。
あの人のせいでこんなに大事になるなんて、と社員は思っているに違いない。