平ねぎ数理工学研究所ブログ

意志は固く頭は柔らかく

挨拶について(2)

2008-01-17 20:46:21 | 雑談
Sさんとは、私が現職場に転職してから、ずっと同じ部署で仕事をしてきました。Sさんは特異体質の持ち主で、冬でもワイシャツの下は素肌です。寒くないらしいです。ワイシャツの上から褐色の乳首が透けて見えるのは相当に気色悪い。でも、本人は意に介さないようで、着たくないから着ない主義を貫いています。パンツを穿いていないらしいという噂もあります。もしも噂が本当だとすると…、ファスナーが開いていたとしたら…。いけない、脱線しました。挨拶でしたね。本題に戻りましょう。
Sさんはせっかちです。だから必然の帰結として早口です。彼が私に話しかけるとき、一回で聞き取れることはまずありません。大抵は聞き直すことになる。それでも解らないときは、解った振りをして「私もそう思います」などと言ってごまかすことにしています。
さて、問題は帰りの挨拶です。私が先に帰る時は、通例どおり「お先に失礼します」と云って帰るのですが、その時のSさんの返事がどうもよくわからない。彼は「☆〇〒§◆…したーっ」と言うのですが、冒頭の「☆〇〒§◆」がどうしても聞き取れません。8年間も同じ挨拶を繰り返しているのに聞き取れたことは一度もない。さらに困ったことに、「☆〇〒§◆」の組み合わせは、日替わり弁当の献立のようにころころ変わるのです。ひょっとすると、自分でも何を言っているのか解らないか、あるいは適当に言っているのかもしれません。しないよりはましだけど、はっきりとわかる挨拶を返してほしいものですね。

挨拶について

2008-01-16 19:42:49 | 雑談
耐震偽装はひとまずおき、今日は挨拶について書きます。

挨拶は言うまでもなく大切です。挨拶は人と人とが摩擦なく生活していくための潤滑油のようなものです。挨拶をする順序については「年少者がまず先に」が社会通念のようですが、そんなことはたいした問題ではない。長幼を問わず気づいた方が先にすればよいと思います。私は現職場に転職してからは、相手が新入社員であろうと、人生知ったかぶりの30代の生意気なクソガキ、もとい、自信満々の働き盛りの30代の人たちだろうと、誰だろうと、まず私のほうから頭を下げて挨拶するよう心がけています。

港湾設計課のI君は挨拶しない青年でした。彼はいつも反った姿勢で歩いているので、頭を下げると身体のバランスが狂うのかな?と、その程度に思っていました。あまり気に留めていなかったのです。ある朝のこと、会社の裏口のドアノブを引っ張って中に入ろうとした丁度そのとき、彼もドアノブを押して出ようとしたので、一瞬「ご対面」の体勢になった。私はいつもどおり半ば条件反射的に「おはようございます」と言った。ところが、彼は路傍の石ころを見るのとほとんど変わらないような視線を私に投げかけたのち、何事もなかったかのように無言でドアの外へでていく。私は、眼と眼が合って、先に挨拶されて、それを無視して通り過ぎることが人の行動パターンの可能性としてあり得ることを全く予期していなかったので、周章狼狽して、あろうことか思わず「こんなー、どしたんなら~!!」と紳士にあるまじき言葉を吐いてしまった。咄嗟に口をついて出てしまった言葉なので、深い意味はなかったのですが、それ以来、I君はきちんと挨拶してくれるようになりました。

プロの眼から見た耐震偽装事件(2)

2008-01-11 20:10:42 | 耐震偽装
耐震偽装は耐震工学から見れば、たいした問題ではありません。
偽装の結果生じた耐震性の不足を病気に例えるならば、「風邪」をひいた程度です。
その程度のものを「重篤な病気」と誤診した国土交通省と、不安を煽ったマスコミの罪は重いと思います。

以下は、2005年の12月4日に「技術の杜ハヤブサネット掲示板」に書いたものです。いまでも考えは変わりません。

******* 「技術の杜ハヤブサネット掲示板」から転載、ここから *******

姉歯氏をはじめ構造計算書偽造に関わった人たちの行為は論外で、責められるべきは当然ですが、それとは別に国土交通省の責任も大きいと思います。
私は、国土交通省の11月20日付の以下の記者発表が問題を拡大したと考えています。
http://www.mlit.go.jp/aneha/20051120_.html(読売新聞11月20日(日)朝刊1面の記事に関して)

引用始
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しかしながら、地震時の強さに関しては、概ね震度5強の地震に対して倒壊するおそれがあるというものであり、いずれにしても早急な対応が必要なものと考えられる。
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引用終

「概ね震度5強の地震に対して倒壊するおそれがある」とはどのような根拠に基づいているのでしょうか?
青い炎さんの情報によると、「Qu/Qunが0.5以下のものを震度5強で崩壊するおそれがあるとして発表しているらしい」とのことですが、その情報が正しいとすれば、国土交通省の見解は全くの出鱈目です。耐震工学的には何の根拠もありません。

耐震規準は建物を設計するためのものです。建物の崩壊予測には使えません(本来動力学的な現象を、静的な現象に置き換えているのですから)。
崩壊シミュレーションは、今のところ非線形の地震応答解析による外はないのですが、
① 入力地震動がわからない
② 建物の復元力特性がわからない
③ 材料非線形と幾何学的非線形(P-Δ効果)を同時に考えなければならない(難物)
④ 答えが得られてもそれが果たして正しいかどうか全くわからない
等々、様々な課題があり、正確な予測を行うのは至難の業です。

私は長い間、建築系超高層構造物の耐震・耐風設計に携わってきました。その間培ってきた経験から言うと、RC建物は多少強度が不足していても震度5強程度では簡単には倒壊しないのではないか、という感触をもっています。

平成8年10月から気象庁震度階が改められ、従来の体感による観測が震度計で行われることとなり、震度5、震度6が弱・強の2階級に分割されました。
http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/leaflet/shindo/index1-1.html(1.震度計と震度観測体制 (1)震度の観測について)

新震度階が制定されてから現在に至るまでに発生した地震で、震度5強以上を観測した地震は23回あります。
http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/higai/higai1996-new.html(日本付近で発生した主な被害地震(平成8年~17年10月))

私の知るところ、震度5強で倒壊したのは2001年芸予地震の際今治市で倒壊したピロティ形式のマンションだけです。その建物は、ピロティ形式という耐震上の弱点の他に、柱の断面寸法が小さく、帯筋間隔が広い、見るからに危ない建物でした。

23回の地震では、夥しい数のRC建物が震度5強以上の地震動に遭遇したと思われます。また、それらの建物の中には、56年耐震基準を満足しない「既存不適格建築物」も多くあったはずです。にも拘らず、倒壊したRC建物は唯の一棟です(間違っていれば指摘して下さい)。
この事実は、RC建物は現行基準をクリアしていなくとも震度5強程度では簡単には倒壊しない、ことの証拠ではないでしょうか。

地震動の立場に立てば、建物を倒壊させるのは容易なことではありません。強い揺れが継続する時間は高々10秒~15秒程度ですからきわめて短時間の勝負です(建物はこの時間を我慢すればよい)。

建物を倒壊させるには、建物の耐力と靭性が不足していることに加え、次のような条件を満足することが必要です。①地震動の強度(SI値)が大きい。②建物の固有周期と地盤の卓越周期が接近している。③かつ、建物の固有周期が地盤の卓越周期よりも短い(接近していても、建物の固有周期が地盤の卓越周期よりも長い場合は比較的安全)。④加速度応答スペクトルの形状がなだらかである(マッターホルンのように尖っている場合は比較的安全)。⑤強い揺れの継続時間が長い、等々。

以上述べたことは一般論であって、今問題になっている個々の建物にどれだけ当てはまるか判りませんが、そう心配しなくても良いのではないかと思っています。震度5強のゆれでは、建物が崩壊して人命が失われるような最悪の事態にはなるまいと楽観しています。

******* ここまで *******

注)RCは鉄筋コンクリートの略語です。