平ねぎ数理工学研究所ブログ

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地球温暖化-CO2主因説を疑う(3)-

2008-01-24 00:29:34 | 地球温暖化
画像は、東京大学国立環境研究所のグループによる数値シミュレーション結果です。

横軸は西暦年、縦軸は地球の年平均気温の変動を示しています。
グラフ中、赤い線は観測値です。
灰色は解析結果で、それぞれつぎのとおりです。

(a) 自然起源の放射強制力(太陽放射、火山噴火)によるもの
(b) 人為起源の放射強制力(温室効果ガス、硫酸エアロゾル)によるもの
(c) 自然起源の放射強制力と人為起源の放射強制力の両方を考慮して得られたもの

吉村氏は、このシミュレーション結果から、20世紀の気温は、自然の影響と人為的な影響(温室効果ガス)の協働効果によって説明でき、特に20世紀後半の温度上昇は、人為的な強制力が主因である、と主張しています。

素人の直感ですが、この結果は相当あやしいと思います。この研究成果の最大の弱点は、正否を確かめるすべが全くないことです。数値シミュレーションは机上の空論です。パラメータを操作することによって、いくらでも都合の良い解を作り出すことができます。数値シミュレーションとはもともとそういうものです。

私はこれまで多くの非線形問題の解析に携わってきました。その経験からいうと、非線形問題の解析は非常に難しい、というのが実感です。解が得られても、それが正しいものやら間違っているものやら皆目見当がつかないからです。だから、非線形問題を扱うときは、よほど慎重にならなければなりません。

たとえば、長大吊橋などの大型構造物の設計において、非線形現象が問題になるときは、数値シミュレーションだけで済ませることはまずありません。座屈が問題になるときは、座屈実験を行って供試体を壊します。そのようにして座屈耐力を確認します。フラッターが問題になるときは、風洞試験をします。地震動が問題になるときは、振動台で揺らします。シミュレーション結果の信頼性を確認するために、必ず解析に並行して実験を行います。

たしかに、数値シミュレーションは便利なツールですが、それだけではだめなのです。解析結果が正しいことを証明するものが必要です。それがなければただの数字遊びです。

気象学者は、様々な気候モデルをもとに夥しい数のシミュレーション解を生産し、遠い未来を予想してくれます。しかし、その正当性を裏付けるものは何もありません。シミュレーション解の信頼性を保証するものがなければ、占い師の未来予想となんら変わらない、と思います。