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tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

「道」(La Strada)

2012-07-04 22:02:38 | cinema

やはりマシーナの魅力は、野獣のようなザンパノの粗暴な言動とは対照的なジェルソミーナの純粋無垢な心を、パントマイムで見事なまでに表現したその演技力にあった。ジェルソミーナ。なぜか懐かしく、昔はいつもぼくの傍にいたような、心がきゅんとなるそんな思いがした。

La Strada。何度か観たのだが、まだまだ見る度に少しずつ理解できてくる。年齢的にわかってくるものもあるのだろう・・・。
モノクロの完璧な構図。音楽の素晴らしさ。いい映画だ。
歳を重ねるほどに新鮮な意味が読み解けてきてというのは、昔の名画どれにもあてはまるのかもしれない。

ジェルソミーナって、何?
・・・みたいな反応ばかりの女子どもにウンザリしていたのだが、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の永作博美を思い出した。彼女の演技は、これだったんだ。ジェルソミーナ。

そして、ザンパノはぼくの中にもいる。将来のことなど考えもせず、また、他人の気持ちを分かろうともしない。自分を邪魔する者には容赦しない。・・・ある意味、理想的な男の行動美学だ。そんな男の心理を理解する自分もいる。そのことに気付いたお陰で、最後のザンパノの慟哭が強く心に響く。

本当に切ない。一人の人間として扱わうことはなかった。ただの道具、商品として扱い、人格を無視する。それでも、天使のような優しい心で尽くしてくれた。
「私がいないと 彼は独りぼっちだから」と。

一番好きなシーンは、「私は何の役にも立たない女よ」と言うジェルソミーナに、綱渡り芸人アルレッキーノが「この世の中にあるものは何かの役に立つんだ」と言う場面。

「君の顔はおかしいな。それで女かい?まるでアザミだよ」
「私はザンパノを待たないわ。皆に誘われたのよ」
「やつと別れるいい機会じゃないか。明日、奴が出てきて誰もいない時の顔を見たいもんだ。
絶対に別れた方がいいね。奴は野蛮人だよ。
何の理由もないが、ついからかいたくなるんだよ。なぜなんだろう?自分でも分からん。
いつもそうなるんだ。ところで、どうしてザンパノと一緒になったんだい?」
「母さんに1万リラをくれたのよ」
「本当に?たったそれだけで?」
「私は4人姉妹の長女なの」
「奴を好きかい?」
「私が?」
「そうさ、君がさ。逃げないのかい?」
「逃げようとしたわ。でもだめだったの」
「君は変わってるねだめってどういうこと?奴がいやなら皆と行けばいいじゃない」
「皆と行っても同じ事よ。ザンパノと一緒にいたって変わりはないわ。どっちだって同じよ。
私は何の役にもたたない女よ。いやだわ・・・。生きることが嫌になったわ」
「料理はどうだい?」
「え?」
「料理は作れるのかい?」
「いいえ・・・」
「君は何ができるんだい?歌や踊りは?・・・すると、男と寝るのが好きか?」
「・・・」
「じゃあ何が好きなんだい?別に美人じゃないし・・・」
「私はこの世で何をしたらいいの?」
「君とおれが一緒になったら、綱渡りを教えるよ。ライトを当ててやる。おれの車で巡業するんだ。世の中を楽しめる。どうだい?それとも、いつまでもザンパノと一緒に苦労を続けるのかい?
ロバみたいにこき使われながら。でも、お前もザンパノには何かの役に立ってるんだろ?ほら、前に逃げたときはどうだった?」
「ひどく殴られたわ・・・」
「奴はどうして君を引き戻したんだろう?わからん。おれなら一発で逃げたお前を捨てているね。おそらく、奴は君に惚れてるんだ」
「ザンパノが私に?」
「変かい?奴は犬みたいなもんだ。お前に話しかけたいのに、吠える事しか知らないんだよ」
「それはかわいそうね」
「そうだね、かわいそうだね。でも、君以外に誰が奴の側にいてあげれるんだい?おれは無学だけど、何かの本で読んだよ。この世の中にあるものは、何かの役に立つんだ。例えばこの石ころね」
「どれ?」
「どれでもいいんだ。こんな小石でも、何かの役に立ってるんだよ」
「どんな?」
「それは・・・。おれなんかに聞いても分かんないよ。神様だけが知っているのさ。君が生まれる時も死ぬ時も、人間には分かんないことだよ。おれは小石が何の役に立つかは分かんないけど、何かの役に立ってるんだよ。もしこれが無益なら、すべてが無益さ。空の星だって、おれは同じだと思うよ。君だって、何かの役に立ってるのさ。アザミ顔のブスでもね」

・・・映画って本当にいい。

 



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