tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

愛してるのサイン(1)

2007-10-17 19:42:13 | プチ放浪 海沿い編
「今、飛天坂の交差点なんすけど、そこに行くにはどうやっていくんですか?」
「市役所を右にして、市役所通りをまっすぐです」
「ありがとう」
ぼくは、礼を言って携帯の通話を切った。これがナツコとの最初の会話だ。
もっとも、その2日前に、会社からそのダイビングショップに電話を入れているから、その時に電話に出たのが彼女だとすれば、彼女との会話は2度目ということになる。
電話で教しえてもらった道は、お互いの思い込みの違いから出だしの方角が90°ずれていて、言われたとおり市役所を右手に見ながらまっすぐ行ってもたどり着けるはずもなく、結局、そのショップに着いたのは迷いに迷って20分後だった。
駐車場に車を止めて、ショップのドアを開けると、ナツコのまぶしい笑顔がぼくを迎えてくれた。
「さっきはどうも!」
「ごめんなさい。道案内がへたくそで」
細い身体でけらけら笑うナツコは、それでもダイビングのインストラクターというから驚きだった。とはいっても、リゾートなんかにいるインストラクターとは違って、あまり日に焼けているわけじゃない。髪の毛もひと頃のサーファー達が潮焼けと言って染めていた茶髪や金髪じゃなく、栗毛色の長めのストレートヘアだった。
まあ、後で聞いたらこの6月にこのショップに勤め始めたというから、8月も終わろうとする今シーズンはあまり潜りには行っていないのかもしれない。ショップのオーナーの男は、やはりインストラクターをやっていて、今日は2人のオープン・ウォーター・ダイバーの海洋実習生の教習に行っていて留守らしい。ぼくはさっそく抱えていた袋から、もう買ってから20年にもなるSASのBuoyancy Control Jacket(浮力調整ジャケット)とScubaProのレギュレータのオーバーホールを頼んだのだった。

DREAMES COME TRUE - 未来予想図Ⅱ-VERSION '07-

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