tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

ホワイト・プラネット

2007-10-29 19:38:42 | cinema

人の手にかかった工作物が一切ない真っ白な世界。それはあまりにも壮絶で、穢れなく潔い世界だった。生存の難しさ、生きるための戦いから命の尊さを教えられ、そして、生あるものの喜びを知った。たしかに、そこは地球とは思えないような白い世界だった。
しかし、そんな我々の日常生活から隔絶した世界も、地球は一つしかないので我々と運命を共にせざるを得ない。地球生命を生かすも殺すも、人類のこれからの行動にかかっているのはいまさら言うまでもないことだ。
国家的な取り組み(排出規制、環境基準、研究)や、企業による取り組み(環境技術の開発、ゼロ・エミッションの追求、リサイクルなど)といったかたちで、環境破壊を食い止め、もしくは復元することを目指す運動は様々な形で推進されている。しかし、我々の生活を維持するための多大なエネルギーは、地球規模の気候変動を引き起こす主要な原因であることを、もう一度認識すべきでだろう。

北極海は、気候学的にも、生態環境学的にも、多量の極の流氷から著しく影響を受けている。流氷の白色の表面は、太陽光を効率的に地上からはね返し、地球全体の温度を下げる働きをしている。しかし、ノルウェーの、ナンセン環境衛星センターの調査によると、北極海の海氷に覆われた部分は、1978年から5.5%も減少しているという。
1996年の春、これらの海氷における変化をショッキングに例証する事件が起きた。
100人以上もの経験豊富な捕鯨イヌイット達が、海岸に定着していた巨大な氷がチュクチ海へ割れ落ちた上に立ち往生し、救助されたのだ。
専門家達は、もし大気中の二酸化炭素濃度が産業革命前の2倍になったとしたら、厚い流氷がボーフォート海とチュクチ海岸で冬でさえ消えてしまい、夏には海岸から何百kmも離れたところにおいてもごく小さい島のようになってしまうと推定している。これらのことが現実になってしまったら、北極海に特有の動物達は、絶滅せざるを得ない。ホッキョクグマや、ホッキョクギツネ、セイウチ、アザラシ、そして多種多様の魚類と鳥類たちなど多くの北極特有の生き物たちは、流氷とそれをとりまく大きく薄い海氷の自然の特徴により適合するような進化を遂げてきた。氷のない世界では、彼らは生きながらえることはできないのだ。

温暖化防止を目的とした京都議定書が、2005年2月にようやく発効したものの、排出大国のアメリカは脱会して、中国は排出削減目標なしであり、効果を挙げるには程遠い。原子力発電の副産物である核廃棄物は、放射線を出し続けて、人為的に停止させる事が出来ない。密閉、保管、監視などを徹底することで対処しているが、事故や災害、長い年月に耐える保障はない。
電力が足りないから原子力発電は必要だ、と言う考えは大きな間違いだ。原子力無しで足りなければ、エネルギーの調達と消費について、厳しく改善すべきである。装飾や宣伝のための豪勢なライトアップ、巨大なリゾート・遊戯施設、あらゆる場所に設置された飲料水自動販売機など、すぐにやめても正常な生活を妨げない節約対象は少なくない。急げば、まだ、間に合うはずだ。
ボクは明日のホッキョクグマのため、テレビをできるだけ見ないで過ごすことにした。