9/16(日) ナズマド、底土、乙千代ヶ浜、 天候 晴ときどき曇り 水温 27℃ 透明度 15~25メートル
八丈島のところどころにある昔ながらの丸いポスト。民家の脇にある赤いアクセントが遠い思い出を覚醒させる。女性が引いた紅のよう。
早朝、三原山の写真を撮ろうと泊まっていた宿を一人で出て、ブラブラと島内を散歩するが、似たような石垣の家並みとゆるいカーブの組み合わせから迷路状態で、結局、迷子に。宿のすぐ近くにいることは間違いないのだが、帰れない。通りすがりに逢った島の人に助けられて無事に宿に帰還。地上で迷うようじゃあ、水中じゃあ、絶対に迷うはずだよなと悲しい納得をする。
底土港横のポイントには3方向に入り口のある「三つ叉アーチ」、ダイバーが多かったため濁っていたが、ツバメウオのシルエットがきれいに見えた。今日のナズマドは、西風がでて白波が立っており、透明度も10メートル程度に落ちていた。それでも、さすがに魚影は濃い。八丈島のダイビングポイントにはアーチがあるところが多い。そのアーチの中にレンテンヤッコやハリセンボン、ウミウシが豊富に揃っている。
アーチを抜けてしばらくして、バディの残圧をチェックするため彼のゲージを覗きに行くと、ぼくの方を指差して何か異常を知らせるサイン。たぶん、タンクの取り付けがゆるくてエアーが漏れているのかなあとまずは考えた。というのも、ぼくのゲージでは残圧が120kg/cm2を指しており、特に早くエアが無くなっているわけではないからだ。ところが、バディの彼はそばにいたガイド見習いのなつこさんに連絡。彼女がやってきて、なにやらぼくの背中でタンクを引っ張っている。何が起こっているのか、わけわかんなくて、それでも引っ張られて体がふらつかないように水底の岩にしがみつく。なつこさんは、うつぶせのぼくにのしかかり、足でぼくの足をはさむと、また、なにやらタンクを引っ張っている。そしてOKのサイン。何が起こっていたのかわからなかったけど、エキジット後に聞いたら、BCのベルトからタンクがずり落ちそうになっていたらしい。アルミのタンクって滑りがちなのだ。エキジットするや、BCを脱いでタンクをホールド。とりあえず、事なきを得る。でも、水中でタンクがはずれていたら、きっと、十数年前の教習を思い出してBCの水中脱着をするはめになっていた。
3本目は『乙千代ヶ浜』。そこでもなつこさんのすぐそばをウミガメが泳いで行ったらしい。彼女がカメを横目で見ながら僕にアイコンタクトを求めるも、彼女のすぐ横に居たぼくは、あらぬ方向を見ており、結局、カメを見逃してしまった。5人のパーティでウメガメを見ていないのは僕とバディだけ。ウミガメのウォッチングは僕にとって永遠のテーマなのかもしれない。