この歳になればもう、「Let the world wag.(世間なぞどうにでもなれ)」と開き直るものだが、それでも、「友達欲しいなあ・・・」なんて本気で思ってしまう映画だ。世間の垢にまみれた心が洗われるような爽快感。ちょっと前の歌なら、<ぼくのこころの柔らかい場所をキュっとしめつける>そんな映画だった。
4つのオムニバス形式の映画。それぞれのエピソードをどうつなげていくかは、まさに脚本家の腕のみせどころだ。お隣、韓国で2001年に公開された『子猫をお願い』では、種々の事情により1匹の子猫がたらい回しにされるエピソードで5人の20歳の女の子達のそれぞれを描いていた。そして、この映画は、スタイルが違う筈の16歳の女の子4人の誰が履いてもぴったり合う不思議なジーンズを通して彼女たちのひと夏の成長を描いている。4人は初めて生まれて始めて別々の場所で夏を過ごす事になり、魔法のジーンズを送りあって順番に履き、その時の出来事を記録しあう約束をしたのだ。それぞれの思いを載せて旅をするジーンズは、別々の場所にいても4人がいつでもつながっていることを示すラッキーアイテムだ。どんな時でも自分のことを分かってくれる友達がいる。そのことに勇気を与えられて少女達は大人になっていくのだ。
原作は、2001年に出版され世界30カ国以上で翻訳されている大ベストセラー小説「トラベリング・パンツ」(THE SISTERHOOD OF THE TRAVELING PANTS)。
彼女たちのルールはこうだ。
ルール1 ひとりが使う期間は一週間
ルール2 はいている時は鼻をほじらない。 ちょっと掻くのはよし。
ルール3 すその折り返し禁止
ルール4 シャツのすそをジーンズに入れるのも禁止
ルール5 次の人へ送るとき、出来事を詳しく書いた手紙をつける
ルール6 再会した時に、 ジーンズにその出来事を書く
ルール7 自分で脱ぐ
ルール8 絶対洗わない
ルール9 はいている間は体型を気にしない
ルール10 ジーンズは“愛”
ルール11 緊急事態なら、順番に関係なく必要な人を優先させる
But, Tibby...
...the pants have already worked their magic on me.
They brought me to you.
I want you to do something for me.
4人のうちの1人は、ある事情をかかえて生きている女の子と過ごす。彼女はその子から、他者を"理解する"大切さを知り、社会に対するいらつきや反抗心を克服する。魔法ジーンズを履いたその女の子は、魔法が効かなかったとする彼女に「魔法は効いた。だって、あなたを連れてきてくれた」。このパートの彼女もキュートで、彼女の感性は好きだなあ。友達になってほしいなあ。
彼女の手紙には文末にお約束のos xs(hugs and kisses)。こんな手紙もらってみたいなあ。
女の子のメッセージ
wearing a price sticker on your forehead probably makes you one too.
おでこに値札のあなたも仲間ね
You know, I don't know, Tibby.
どうなんだろう
Maybe the truth is there's a little bit of loser in all of us, you know?
結局誰にもダメなところあるよね
Being happy isn't having everything in your life be perfect.
幸せは大きく成功した時より
Maybe it's about stringing together all the little things...
ちょっとした時に感じるもの
... like wearing these pants...
このジーンズをはくときや
... or getting to a new level of "Dragon's Lair"...
ドラゴンレイヤーで次のレベルに進む時
... and making those count for more than the bad stuff.
後悔せずに前向きになれるとき
Maybe we just get through it...
なんとかがんばる
... and that's all we can ask for.
それでいい