京都市内にあるヴォーリズ建築巡りを始めたのは6月上旬以降からだ。7月下旬までの2カ月間で京都市内で見られるヴォーリズ建築の多くを巡ることとなった。以下2回にわたってその建物を紹介したい。
京都市の鴨川に架かる四条大橋の西端に位置する北京料理「東華菜館」(旧八尾政レストラン)。これがヴォーリズの設計した建物だと知ったのはこの5月。40年間見慣れたこの素晴らしい建物が彼の設計だったことから、近畿各地のヴォーリズ建築を巡ることになった。1926年に建てられた。屋上にはビヤガーデンがあるが、どこかスパニッシュ(スペイン風)の趣きがある芸術的な建物だ。正面玄関を見上げるとさまざまな意匠の飾り芸術が施されている。
東華菜館は建築予算にかなり余裕があったのか、ヴォーリズの遊び心があちこちにうかがえる。塔と煙突をもつ屋上に建つシンボリックなスペイン・バロック様式が、鴨川に、四条大橋に、とても馴染んでいるから不思議である。対岸の南座(歌舞伎)やレストラン菊水の洋風建築、そして界隈の川床の座敷と、京都の伝統と新しい創生のメッセージを象徴しているかのような場所がこの四条大橋界隈。
四条通りに面する玄関に立ち、アーチの上部飾りを、とっくりと眺めてみる。魚や貝、蛸(たこ)に山羊(やぎ)などのレリーフされたテラコッタに思わず見惚れる。館内にはヨーロピアンで蛇腹(じゃばら)のついた東洋で最も歴史のあるレトロなエレベーターが今も稼働している。神社仏閣に留まらず、京都自慢の一つに上げてもおかしくないと私は思っている。
ちなみにこの店の一番安い値段のものを食べようと思ったら、昼食時には1500円の中華弁当がお勧めだ。北京名物の炸醤麺(ザージャーメン)1500円も美味しい。一品料理は1500円からあるので、2人で2皿とビールを注文しても4000円くらいですむ。コース料理は5000円から。夕方ならば、夏は川床や屋上ビヤガーデンが特にお勧め。l料金も普通のビヤガーデン並み。屋上は風もあり涼しく絶景だ。
京都市役所の近くの寺町通りにほど近いところに「京都御幸町教会」(日本基督教団)がある。こじんまりとしたレンガ造りの教会は1913年にヴォーリズの設計で造られた。
京都御所の西方の通りにある京都YMCAサマリア館。若きヴォーリズ、1908年頃の設計のようだ。近江八幡にあったヴォーリズ設計事務所の支所がここにおかれることとなった。現在もYMCAの建物の一つとして使用されていた。
烏丸通りと北大路通りが交差するところを少し北に歩く。賀茂川にほど近いところにある日本福音ルーテル賀茂川教会。白い壁面と朱ぽいっ屋根が印象的な小さな教会。正面入り口上にある丸い模様のレリーフがある。採光はここからもしているようだ。
京都工芸繊維大学の同窓会館として大学正門近くにある建物。もともとは個人住宅だったものを大学が買い取ったようだ。ヴォーリズ建築でよく見られる煙突もある。京都五山の送り火の山に近い北山通りの松ヶ崎にある。
京都御所の北面にある同志社大学今出川キャンパス。レンガ造りの建物がとても多い美しい構内。ここにはヴォーリズの建物が4棟ある。啓明館(1920年)とアーモスト館(1932年)、新島遺品館(1942年)と至遠館(1916年)。
アーモスト館には2つの煙突があるし、啓明館は建物そのものが巨大な煙突のような気がしないでもない。赤っぽいレンガ造りの建物がとても美しい建物だ。啓明館はもともとは同志社大学の図書館だった建物。
日本聖公会京都復活教会(1936年)は京都の北大路通り堀川にある。白亜の建物だが、大きな塔のような建物のデザインが印象的。
哲学の道にほど近いところに喫茶・レストラン「GOSPEL」がある。この建物はもともと個人宅だったのかレストランだったのかちよっとわからない。先日、近くに住む娘や孫たちとここで昼食をとることとなった。内装や階段などもとても趣のある建物内部だった。
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