彦四郎の中国生活

中国滞在記

オミクロン株の感染大爆発➋—ピークアウトはいつになるのか?—ワクチン接種を巡って

2022-01-31 14:21:16 | 滞在記

 新型コロナ感染拡大の世界的パンデミックが始まって2年を経過しようとしているが、昨年の12月から始まった新たなコロナ変異種「オミクロン株」の超感染爆発は、この2年間の感染拡大状況をはるかに凌駕(りょうが)し、とどまるところをしらず、最近では世界で連日300万人超の新規感染者数を記録している。

 このオミクロン株は、従来株よりも数倍強い感染力を持つとされたデルタ変異種株よりも、さらにその4〜5倍の感染力をもつことがわかってきている。そして、これまでのコロナワクチン接種の有効性についても、このオミクロン株への防疫有効性はかなり減少することも判明してきている。ただ、肺炎を引き起こす重症化率はいままでのデルタ株よりもかなり低いとされることが唯一の救いではあるが‥。

 今、日本でも、このオミクロン株感染大爆発を抑止するための対策は、コロナワクチンの3回目接種の進展に頼るしかない状況(オミクロン変異種に対する防疫の有効性はまだよくわからないが‥)だが、この3回目の追加接種が日本ではなかなか進んでいない。G7諸国のなかでは追加接種率は極端に低く、1月末時点でたったの2.7%(全人口の)となっている。(英国55%・イタリア53%・ドイツ52%・フランス47%・カナダ39%・米国27%、他に韓国51%・中国24%・ブラジル21%・ロシア7%など。インドも低く1%) 1月27日付朝日新聞には、「進まぬ3回目接種 今月末までの接種対象者のうち16%のみ/首相"全然進んでないじゃないか!"と‥」の見出し記事。

 この追加接種の状況は、岸田政権下のコロナ政策での大きな失策となっている。政権発足後の11月上旬からこのワクチン確保の加速や前倒し接種の緊急的必要性(善は急げ/備えあって憂いなし/転ばぬ先の杖)に取り組まなかったつけがきている。オミクロン株の世界的流行の兆しに対し、「12月から外国人の入国原則禁止(水際対策)」を世界に先駆けて早々とうちだしたが、日本の米軍基地(沖縄や山口県岩国など)兵士や関係者からオミクロン感染が爆発的に拡大して行ってしまった。

 3回目追加接種の大きな遅れの原因の一つとして、「ファイザー製ワクチン追加接種の希望者が多い」こともあげられている。私が暮らす京都府の自治体では、65歳以上の追加接種は12月中旬時点では、政府の「2回目と3回目の接種間隔機関を8カ月から7カ月に短縮する」という決定のもと、遅くても1月下旬からの接種開始を行う予定もしていた。しかし、供給量が不足しているため、昨日配布された市の広報誌では、「①接種予約は自分ですることに変更、②集団接種会場はモデルナ製を使用—予約開始2月7日より・接種開始2月14日開始、③個別接種会場はファイザー製使用—予約開始は2月14日より・接種開始は2月21日より」と書かれていた。

 当初の接種開始予定より2〜3週間遅れることとなった。3回目追加接種をしても、今回の爆発的感染拡大期の防疫に間に合わない状況ではあるが、それでもいつ感染拡大のピークアウトを迎えるのか分からない中、できるだけ早く3回目を接種したいとは思う。私の場合は、アナフェラキシーの心配がある体質なので、1回目・2回目に接種したファイザー製を希望している。副作用やアナフェラキシーが2回の接種ではなかったからだ。しかし、ファイザー製の予約はかなりの難しさを伴うようだ。

 1月27日付朝日新聞には、「閉じる保育所 保護者悲鳴 在宅勤務と育児、あまりに大変」の見出し記事。テレビでは、「東京 昨日1万4086人の新規感染者 約7万人が自宅で療養」と報道されていた。この日、「全国の新規感染者数が初めて8万人を越えた」と発表された。また、1月29日付朝日新聞には、「全国26万人が自宅療養」の見出し記事。1月31日付朝日新聞には、「感染の波 高齢者に―弱毒と言われるが強烈な肺炎—接種間に合わず/重症化リスク高」の見出し記事も。

 タレントのビートたけし(日本の資産番付100人に入る資産家)は、「オミクロンなんて風邪と同じ」と世間の関心を引こうと吹聴していたが、こんな吹聴は無責任な嘘デマ八百だ。確かに若い人たちの重症化率はオミクロンは低いようだが、その大変さは風邪と同じもんでは全くない。「オミクロンの感染力は"インフルエンザの40倍"」と、コロナ診療の最前線に立つ埼玉医科大学の感染症専門家である岡秀昭教授は語る。「最大で1人から50人に感染させる、桁外れの感染力を持ち、はしかや水疱瘡の感染力に匹敵する」とも‥。

 1月30日付赤旗新聞日曜版には、「"風邪"と対策を緩めたら重症者増で医療が崩壊する/無症状でも強い感染力—オミクロンはデルタの4倍/会話や呼吸だけでも」との、WHO感染症危機管理シニアアドバイザーの進藤邦子さんによる見出し記事が掲載されていた。1月27日付京都新聞には、「新型コロナ感染者 20代以下が全体の6割—10代急増/京都府内1月中旬以降」の見出し記事。この記事によれば、特に1月中旬以降のオミクロン株による感染拡大は、10代・20代が急増し、感染者全体の6割を占めるまでになっているとの内容。1月29日付朝日新聞には、「インフルや風邪とは全く違った―家族全員が高熱/自宅療養"地獄"」の見出し記事。

 10代・20代を中心にオミクロン感染が爆発的に拡大し、それが30代以降の人々や高齢者にも広がってきていて、ワクチンの3回目接種が間に合わない中、重症化数も増加、医療崩壊の手前まできているという1月末の状況だ。1月29日、新規感染者数は8万4933人と発表された。だが、このオミクロンは無症状感染者数は、ヨーロッパでは実際には新規感染者数の10倍は存在していると見積もられている。そのことを参考としたら、日本での1日の新規感染者数は85万人と推定もされる。こんな状況だ。

—「いつピークアウト(第六次感染拡大のピーク)が来るのか」―

 まだまだ分からない。2月中旬なのか下旬なのか、それとも3月上旬なのか中旬なのか‥。一つの仮説がある。政策研究大学院大学の土谷隆教授の最新予測。土谷教授は第2波のピークが2020年7月~8月にやってくると予測したデーターを発表し、的中させたことでも知られている。その土谷教授の最新予測とは、「東京都で第6波がピークに達するのは2月上旬」との予測。第6波のピークは2月4日で、新規感染者数は3万668人にのぼるとしている。シュミレーションによると、第6波は2月上旬にピークを迎えたあと、急速に低下し、3月までにほぼ収束するとしている。また、2月中には100万人~150万人の待機濃厚接触者も発生すると予測もしている。

 まあ、少なくとも2月中旬ころまでに第六波のピークが到来してしまえばいいのだが‥。

 だが別の予測もある。オミクロン株の亜種(変異種)である「ステルスオミクロン株」の出現。これは今のオミクロン株の2倍の感染力をさらにもつとされ、現在40カ国で確認されている。すでに感染の中心がステルスオミクロンに置き換わりつつあるデンマークのような国もある。日本では一昨日までに空港検疫で198例が確認された。東京大学佐藤圭准教授は、「第6波が長引く可能性及び、ステルスオミクロンによる第七波が来るおそれ」を指摘している。

 1月31日付朝日新聞には、「重点措置後初の週末"変わらぬ客数(人出)"   措置法の効果はどこまで?」の見出し記事が掲載されていた。

 今度のオミクロン第六波の感染大爆発の状況は、ちょっとそら怖ろしい‥。とても身近な人や家族の誰かや、自分がいつ感染してもおかしくない状況だ。感染しないためにいくら気をつけてはいても‥。

 

 

 

 

 

 

 


オミクロン株の感染大爆発➊—"2月は「阿鼻叫喚」の見出し記事"が現実的にもなりつつある

2022-01-31 06:55:11 | 滞在記

 1月22日付「日刊ゲンダイ」に、「ピークアウトいつ」「ピークアウトはいつだ!?」の大きな見出しに続いて、「おそらく2月は収束どころか、阿鼻叫喚(あびきょうかん)」との見出し記事が一面に掲載されていた。「いつものこの日刊紙の大げさすぎる見出し」と思っていたが、その見出しの言葉が、明日から入る2月には現実的になりつつある感もある。

 1月23日付京都新聞には、「国内ピーク見通せず—追加接種は出遅れ」「大阪 検査キット不足深刻/陽性者自覚せず、市中感染拡大か」の見出し記事。

 同じく1月23日付読売新聞には、「厚労省発表10万人あたりの新規感染者 2回接種 感染大幅減/オミクロン 未接種 若者でも肺炎」の見出し記事が掲載されていた。この記事によると、コロナワクチンを2回接種した人のオミクロン感染率は、未接種の人の4分の1だったとの厚労省の発表を掲載したものだった。(この比較を、年代別に表した棒グラフも掲載されていた。) ワクチン接種のオミクロンコロナへの有効性が注目される中、一つの参考にはなる情報だが、オミクロンコロナに対するワクチン接種(2回目・3回目)の有効性については、今も情報が錯綜(さくそう)している。

 1月19日、コロナ基本的対処方針分科会の尾身会長が、「人流抑制ではなく、人数制限がキーワード」との見解を公式発表した。この会見発表内容について1月20日、全国知事会の平井会長は「会食の人数制限をすれば出歩いてもいいと聞こえる」と、尾身会長の公式発表を批判。その後、尾身会長は前記の発言内容について誤解を招いたと謝罪することとなった。日本の感染対策のトップ機関の責任者が、相変わらずこのような状況なので、国民は右往左往させられてしまう。

 また、医療専門家有志の提言案として、「若者層にはPCR検査などを実施せず、臨床症状のみで診断を行うことを検討する必要がある」との見解に対し、「検査を確実にできる体制づくりをする必要がある」との反論も起きている。この検査を巡る問題も、方針が錯綜し、右往左往してきた。まあ、日本の検査体制及び医療体制が、オミクロンコロナの爆発的な感染急拡大の進行により、手が回らない、崩壊的な状況が急激に進行している感がある‥‥。

 1月24日付朝日新聞には、「コロナ飲み薬 行き届かぬ恐れ/米メルク製 発症5日以内に服用必要—受診遅れ処方できぬ例/供給限られ在庫逼迫」「PCR検査 数日待ちも」「感染対策 欧米の学校混乱/マニュアル不満 仏の教員スト/NYの生徒 対面授業ボイコット」などの見出し記事。週刊現代の最新号には、「オミクロン最前線レポ"医療現場は もうとっくに壊れている」の特集記事が掲載されていた。

 同日のテレビで、「2月8日には、東京の濃厚接触者数は約146万人と試算されている。(都民の10人に1人)このまま濃厚接触者の隔離を続けると、社会機能がマヒする恐れがある」と報道もされていた。

 同日のANN(朝日放送系)では、コロナ問題を巡る世論調査の結果が発表されていた。それによると、①「まん延防止等重点措置について」は、「1、この対応で良い42%、2、もっと厳しい対応が必要だ31%、3、制限は必要ない21%」となっていた。②「会食・旅行控えるか」は、「1、大幅に控える45%、2、ある程度控える44%」と合わせて約9割にのぼっていた。③「政府のコロナ対策について」では、「1、評価する46%」と前回調査よりもマイナス15%となっていた。翌日の朝日新聞にも、「政府コロナ対策 評価45%/治療受けられぬ不安69%」の見出し記事が掲載されていた。

 この世論調査の発表から1週間が経過したが、現在では、錯綜する情報や、政府のコロナ対策の弱さなどから、国民のさらなる不安が増大していて、政府の対応への評価はさらに低下しているかと思われる。

 世界保健機構(WHO)のデドロス事務局長は1月24日に開幕したWHO執行理事会において、2021年1月末に宣言した新型コロナウイルスによる「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」について、「各国が新型コロナウイルスワクチン(2回接種)の接種目標を達成すれば、コロナの緊急事態は、今年に終えられる可能性がある。」と表明をした。WHOは新型コロナについて警戒を繰り返し呼びかけており、緊急事態(世界的パンデミック)の終了のめどについてトップが言及するのは異例だった。

   WHOは今年半ばまでに、世界各国が人口の70%にワクチンを接種することを目標としている。ただ、WHOが昨年に掲げた「世界各国で人口の40%へのワクチン接種」との目標は、加盟国の半数しか達成できず、現在も世界各国へのワクチン供給が改善されていない。デドロス事務局長は、接種目標が達成できなければ、新型コロナ収拾は「ほど遠い」とも語った。

 「WHO 今年中に世界的パンデミック収束の可能性あり」の発表の言葉が先行し世界に伝えられたため、その後、デドロス事務局長は、その言葉の一人歩きの打消し的な対応に追われることともなった。

■ウクライナ侵攻も辞さぬという姿勢のロシアプーチン大統領だが、彼への国民の最近の支持率の低下の中、これをくい止めて支持率上昇を図るためであることは明らかだ。ロシアは世界に先駆けて2020年10月に国産ワクチンを承認し接種を開始した。しかし、プーチン政権や国産ワクチンへの不信感とも相まって、その後の1年間でワクチン接種が進んでいない。2021年の12月段階で、なんと、1回目接種率は38%、2回接種率が32%にとどまったままだ。

 世界的には、ワクチン接種を望まない人々の存在もけっこうあり、世界的には「接種率70%」が一つの壁となっているが、ロシアでは「接種率40%の壁」となっている。2回目接種が終った人は、32%となっていて、WHOの昨年の目標達成国内にも入っていない。「支持率アップのために戦争している場合じゃないだろうが!」と、プーチン大統領に対しては強く思う。

 共同通信のネット記事には、「若者層、受診せず自宅療養も容認—コロナ、外来逼迫回避へ方針転換(後藤厚生労働省1月24日発表)—自身でウイルス検査を行い、結果を行政側ら連絡する―」の見出し記事。1月26日付朝日新聞には、「救急搬送困難 最多4950件/コロナ病床増 一般病床を圧迫」「検査一気に逼迫/キット不足"全員に対応厳しい"」「感染拡大 学校に変化 増える自宅学習 近畿の小中高 相次ぐ休校」などの見出記事。

 1月31日現在、「まん延防止等重点措置」は34都道府県に適用されているが、歯止めのかからない感染拡大と病床使用率の増加により、「緊急事態宣言措置」への切り替えが多くの都道府県において、この数日間で進むかと予測されている。このコロナ禍下の2年間で、ちょっと、かなり、最も深刻な状況を、私たちは迎えようとしている。「阿鼻叫喚」という言葉が当たらずとも遠からずという状況に‥‥。かなり恐ろしい‥‥。