彦四郎の中国生活

中国滞在記

寅年の初詣、虎を見に行く➋—京都嵐山の法輪寺、建仁寺塔頭の両足院の阿吽の虎たち

2022-01-04 17:42:02 | 滞在記

 正月三が日の1月3日(月)、自宅からほど近い石清水八幡宮の下宮を通って石清水八幡宮駅(京阪電鉄)に向かう。この下宮から参道を登ると、男山山頂には石清水八幡宮の本殿(国宝)がある。京都平安京の皇都の北を守護するのが前日に行った鞍馬寺、平安京の皇都の南を守護するのがここ石清水八幡宮。ちなみに、2日に行った鞍馬寺の現在の管主(貫主)は信楽香仁さん94歳。女性の貫主である。

 ここ石清水八幡宮にも、例年、大勢の初詣の人が訪れる。露店が立ち並び、たくさんの親子連れの人達が面を買ったり、射的をしたりと楽しんでいた。境内の椿が、もうかなり咲いていた。

 京阪電車で祇園四条駅へ、それから四条大橋を渡って、近くの阪急電車「河原町駅」から「嵐山駅」に向かう。虎の石像(狛虎)が鎮座する法輪寺はこの駅や渡月橋から近い。虚空蔵菩薩を本尊とすることから「虚空蔵さん」と呼ばれる法輪寺は、713年に僧・行基によって創建されている。

 この虚空蔵菩薩は、丑年(うしどし)と寅年(とらどし)の守護とされることから、本堂前の左右には牛と虎の「阿吽像(あうんぞう)」の石像が鎮座している。右の咆哮している虎が「阿吽」の「阿」、左の口を閉じているのが「阿吽」の「吽」である。ここの虎の石像は、咆哮のさまが迫力があった。

 この法輪寺は、山の中腹にあり、眼下には嵐山の渡月橋が見え、愛宕山から嵐山や嵯峨野、丹波山系から比叡山や大文字山、さらに東山三十六峰、そして京都市内が一望できた。この寺の背後の山の山頂付近には中世の嵐山城(山城)があった。こここからさらに1時間30分ほど山道を登るとその城址に到着できる。山猿がかなり多い地域で、樹上から集団威嚇(いかく)をされるので、かなり怖く要注意の山城巡りだ。

 再び四条大橋に戻ってきた。鴨川でこの冬初めて、極寒の極東ロシアから日本に渡って来たユリカモメの白い群れを見ることができた。日暮れになると、山を越えて琵琶湖湖畔に戻り、葦(よし)などの群生地で夜を過ごす。この日、この四条大橋界隈は、ものすごい人の波であった。

 四条大橋から花見小路を通り、建仁寺に向かう。建仁寺の塔頭寺院の一つ「両足(りょうそく)院」の境内に「毘沙門堂」があり、そこにも虎の「阿吽」の石像が鎮座しているからだ。

 京都祇園にある建仁寺は、禅宗の一派である臨済宗の古刹。境内の禅堂、山門(三門)、法堂、方丈などの禅宗寺院建築が美しい。中国に渡航した僧・栄西により1202年に建立されたこの寺院は、日本で初めて茶畑が栽培された地でもある。

 目指す両足院に着くと、長蛇の人の列。30分ほど並んで、ようやく境内に入った。

 境内に入ると、すぐに「毘沙門堂」の建物がある。このお堂の前にの左右に、阿吽の虎の石像が鎮座している。お堂の前の線香をたてね大きな金属製の器にも、小さな阿吽の可愛い金属製の虎がいる。ここに祀られている毘沙門天は、鞍馬寺の本尊・毘沙門像の胎内仏である。(毘沙門天のお使いは虎とされ、その俊足でもって、毘沙門天の使いとして方々に走るとされる。)

 ここ建仁寺は、俵屋宗達の「風神雷神図屛風」(国宝)や海北友松の山水画や龍の図など、数々の画人たちの名画があり、まるで国立美術館のような古刹寺院でもある。

 建仁寺から四条大橋に向かう道に、京菓子の老舗「虎や(とらや)」があった。この老舗の創業は室町時代後期、御所にお菓子を納める和菓子屋でもあった。この「とらや」の和菓子を、1月1日に我が家の新年会に来た息子夫婦が土産にもってきてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 


寅年の初詣に虎を見に行く➊雪景色の鞍馬山に登る―阿吽(あうん)の虎、四体鎮座

2022-01-04 08:22:38 | 滞在記

 今年の十二支は寅年(とらどし)。京都の神社や寺で、狛犬(こまいぬ)ではなく狛虎(こまとら)が鎮座している最も有名なところとしては、京都の町の北方にある鞍馬寺。今年の私の初詣は、この鞍馬寺から始めることとなった。虎と雪景色が見たくなったからだ。

 京阪電鉄の終点「出町柳駅」には、京福電鉄(叡電)の駅が隣接していて、ここから二両編成の叡電に乗って25分ほどで、終点の「鞍馬駅」に着く。この叡電の鞍馬線は、2020年7月上旬の台風時の大雨で「貴船口駅」付近200mの線路区間に渡り山の土砂崩れが発生し、長く運休(市原-鞍馬間)となっていた。そして、1年と2カ月間の修復工事により、昨年2021年9月中旬にようやく全線が開通した。

 一昨日の1月2日、鞍馬寺に向かった。貴船口に電車が近づくと、あたりは雪が積もっていた。終点の鞍馬駅あたりも白い銀世界。この冬、初めて見る雪景色だった。駅舎の前にある天狗像の長く赤い鼻にも雪が積もっていた。この日、天気も良いので、たくさんの人が参拝に訪れていた。

 駅からほど近い鞍馬寺の仁王門(山門)の前の左右に、二体の虎の像が鎮座していた。一体は阿吽(あうん)の「阿(あ)」、大きな口を開けて咆哮(ほうこう)[吠えている]している。対(つい)のもう一体は阿吽の「吽(うん)」、口を閉じている。堂々たる「阿吽」の「虎」の石像だ。

 仁王門からはつづら折りの山道の参道が延々と続く。歩いてゆっくり登れば30分ほどで本堂に着くことができるが、この日は積雪が参道の地道に残り、凍結もしているので、初めて山頂近くまで登るケーブルカーを使うことにした。たくさんの参拝者が、ケーブルカー乗り場に並んでいた。「30分待ち」の看板がかかる。

 ようやくケーブルカーに乗って本堂近くまでくると、けっこう積雪があった。多宝塔下の山道を本堂に向かう。山々の景色が美しい。

 本堂の裏山をさらに登れば、奥の院や木の根道へと続く。牛若丸(源義経)の修行の場伝説のところだ。その木の根道を下ると貴船に至る。本堂の前の左右、ここにも虎の阿吽像がある。左は吽像。

 右は口を開けて咆哮する阿像。吽像の横には、「虎石」が置かれていた。

 ここ鞍馬寺は、中国から渡来した中国僧・鑑真の高弟である鑑禎により770年に創建され、毘沙門天が本尊として祀られた。その後、千手観世音菩薩と護法魔王が祀られ、「三身一体尊天」として信仰されている。毘沙門天の使いの動物は「虎」。このため、ここ鞍馬寺の仁王門前や本堂前虎の像が鎮座している。

 山を下る時、凍結や積雪のある参道山道は危ないので、ケーブルカーを使って下りようと思ったが、たくさんの人が並んでいた。このため慎重に参道の山道を下ることにした。仁王門が近づくころ、由岐神社が見えてきた。樹齢800年の杉の大木が数本。この神社は毎年10月に執り行われる奇祭「鞍馬の火祭」の神社。

   麓のケーブル―カー乗り場にはたくさんの人が乗車を待っていて、「60分待ち時間」の看板が。もう時刻は3時半になってきている。あと1時間で日暮れとなりそうだ。