長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

亀田窮楽みたいな人

2011-12-20 08:21:30 | Weblog
今日から、書の会の貞本竜児さんの個展が始まる。
彼とは、大塚の江戸一で出会って、意気投合して
長いつきあいになっている。今でも「飲みにいこう」
というと、江戸一のことをさす。

江戸時代の京都に亀田窮楽という書家がいた。歴史にもでてこないし、
あまりしられていないけど、いい字を書いた。
天真庵にも一枚、掛軸がある。
同じ時代に京都で活躍した「売茶翁」(ばいさおう)という茶人がいた。
彼は佐賀県で黄檗山の禅僧だった身分を58歳で捨て、上洛して、煎茶と道具をかついで、下鴨の糺の森(ただすのもり)あたりでお茶を商った。そこに若冲とか、池大雅
だとか、いわゆる「文人」たちがよってきて、「お茶の世界の宇宙」をともに
楽しんだといわれる。京都で煎茶が盛んなのは、翁の功績であり、物心両面を亀田
窮楽がささえた話は、煎茶の世界では、知られた話だ。

昨日、経師屋からおくられてきた掛軸を紐解いて、飾ってみた。「書の曼荼羅」
とは、こうゆう世界か、という具合に、広大無辺な空間ができた。
今日は「書の会」でもあるし、仲間たちと、彼の書を愛でながらの忘年会に
なる。こんな幸せなことはない。
昨日の順受の会(論語)の後かたずけの後、残った燗冷ましの酒をもって二階に
あがってひとり飲んだ。酒肴などいらない。これ以上の贅沢な酒を知らない。