そんなことを昔、九州の先輩にほめられた。
昨日は「書の会」だった。
いつものように、禅僧のようなふうたいの貞本さんがやってきた。
ちょうど、同じタイミングで陶芸家の渡辺愛子さんがカウンターに
とまって、蕎麦を手繰っていた。
そこに、竹信堂の黒崎さんがやってきて、大きな額縁をくれた。
そこに、貞本さんの揮毫した「白雲幽石を抱く」に落款をして、
額に入れた。愛子お嬢が、「ええ字ですね」と、口の落款を押して
くれた。
「白雲幽石を抱く」は、寒山詩の代表的な詩。
池袋で寒山拾得の画廊、つまり天真庵をつくった時に、岐阜の陶芸家・
青山禮三さんを訪ねたことがある。あることで、自分が悩んでいる時に、
そのころ80歳を超えた老僧のような翁に、この詩をしみじみ味わって
みろ、と渇をいれられた。
深山幽谷の岩山を白い雲が抱く。人生にはいろいろなことがあるが、
あの自然のように、一物一体、というか、清濁併せ呑む大きな懐、
みたいな心境になれ、みたいなイメージを浮かべ、自分の悩んでいる
ことの小ささを恥じた。
そんな話をカウンター越しに、お嬢と話ていた。貞本さんとすこし
飲んでいたので、舌が饒舌になり、「福」と「寿」の話をした。
昔、この「ひとりごと」に書いたのいで、あとは、昔の自分の文を
引用する。
・・・(略)「草の頭窯」の青山禮三さん(86 歳)の個展に10月10日、台風が夕方上陸した日の昼に訪ねた。彼は煎茶茶碗によく 「百福文字」や「百寿文字」を書く。「福」という字は、「田んぼの上に一口と書い てある。示偏 は、神様にお供えする棚を表す。自分が耕す田んぼの恵がたとえ少なかろうが、一 口、神様に感謝の意をこめて捧げられれば、幸福」というような意味らしい。「いい 字だな~」とうなった。86歳でペースメーカを使っている禮三翁が饒舌になった。 「野村さん、寿という字はもっといいよ。あれは田んぼの上に男が立ってる象形文字 なんじゃ」と言うので、また同じような縁起の話だと思って黙ってうなずいている と、「男が立っているといっても、意味が深いんじゃ。つまりチンポがたっているん じゃ」ということだった。「瑞宝単光章」という勲章をたまわった人の言葉だけに 「ありがたく」、そのままご紹介した。そんな話を昼間から大きな声で話していたの で、伊勢丹の女性の店員さんたちが、聞こえぬふりして、近くで噴出しながら話を聞 いていた。やはりチンポがたつような話は「寿」(おめでたい)。し、ひとつのこと を極める人たちにふれることは、学ぶこと多し。
90歳を超えても、矍鑠と生きておられる「力」の源が、このへんにある。感謝。
昨日は「書の会」だった。
いつものように、禅僧のようなふうたいの貞本さんがやってきた。
ちょうど、同じタイミングで陶芸家の渡辺愛子さんがカウンターに
とまって、蕎麦を手繰っていた。
そこに、竹信堂の黒崎さんがやってきて、大きな額縁をくれた。
そこに、貞本さんの揮毫した「白雲幽石を抱く」に落款をして、
額に入れた。愛子お嬢が、「ええ字ですね」と、口の落款を押して
くれた。
「白雲幽石を抱く」は、寒山詩の代表的な詩。
池袋で寒山拾得の画廊、つまり天真庵をつくった時に、岐阜の陶芸家・
青山禮三さんを訪ねたことがある。あることで、自分が悩んでいる時に、
そのころ80歳を超えた老僧のような翁に、この詩をしみじみ味わって
みろ、と渇をいれられた。
深山幽谷の岩山を白い雲が抱く。人生にはいろいろなことがあるが、
あの自然のように、一物一体、というか、清濁併せ呑む大きな懐、
みたいな心境になれ、みたいなイメージを浮かべ、自分の悩んでいる
ことの小ささを恥じた。
そんな話をカウンター越しに、お嬢と話ていた。貞本さんとすこし
飲んでいたので、舌が饒舌になり、「福」と「寿」の話をした。
昔、この「ひとりごと」に書いたのいで、あとは、昔の自分の文を
引用する。
・・・(略)「草の頭窯」の青山禮三さん(86 歳)の個展に10月10日、台風が夕方上陸した日の昼に訪ねた。彼は煎茶茶碗によく 「百福文字」や「百寿文字」を書く。「福」という字は、「田んぼの上に一口と書い てある。示偏 は、神様にお供えする棚を表す。自分が耕す田んぼの恵がたとえ少なかろうが、一 口、神様に感謝の意をこめて捧げられれば、幸福」というような意味らしい。「いい 字だな~」とうなった。86歳でペースメーカを使っている禮三翁が饒舌になった。 「野村さん、寿という字はもっといいよ。あれは田んぼの上に男が立ってる象形文字 なんじゃ」と言うので、また同じような縁起の話だと思って黙ってうなずいている と、「男が立っているといっても、意味が深いんじゃ。つまりチンポがたっているん じゃ」ということだった。「瑞宝単光章」という勲章をたまわった人の言葉だけに 「ありがたく」、そのままご紹介した。そんな話を昼間から大きな声で話していたの で、伊勢丹の女性の店員さんたちが、聞こえぬふりして、近くで噴出しながら話を聞 いていた。やはりチンポがたつような話は「寿」(おめでたい)。し、ひとつのこと を極める人たちにふれることは、学ぶこと多し。
90歳を超えても、矍鑠と生きておられる「力」の源が、このへんにある。感謝。