長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

ムラの生命をマチの暮らしに、マチの活力をムラの正業に

2011-09-29 08:52:14 | Weblog
「九州のムラへ行こう」という雑誌がある。
今年の夏休に、福岡の星野村の宿で見つけた。
その理念が今日のタイトルだ。「いいな!」と思った。
エコだのロハスだの、マチのマスコミとかマチの人が声高に叫んだ
ところで、なんとなく空虚で、内容がともなわない流行り言葉程度
にしか感じない。小さなトレンドの浮き沈みの中で、ピーチクパーチク
口をあけるのではなく、はらわたにしみこむような「言葉」を発したいし、
そんな生き方をしたいと思う。

昨日は、いつもの休みと同じように、朝起きて、お店の掃除を簡単にすませ、
焙煎を一回し、それを石臼で挽いて、珈琲を入れ、それをポットにいれて、
マチを離れた。
向かうは茨木縣石岡。筑波さんの景色も秋めいて、道にはすすきや、ときどき
いがくりなんかが転がっていて、農家の軒先には「かき」とか「なし」
とかの看板が目立つ。田んぼはもう稲が収穫されていた。すっかり秋だ。
いつもいく農家を訪ねる。まだこちらがマチの時間で、ナシだけ買って
先を急ごうとすると、「ま、座ってお茶でも飲んで」と茨木弁のイントネーション
でいわれる。車のエンジンを切って、座ってお茶をいただく。昔から「喫茶去」
(きっさこ・まあお茶でも一服)という茶道の真髄は、こんななにげない日常の
中にこそ生きる。しわだらけで、腰もまがったおばあちゃんに、茶道のこころを
教わった気がした。つくばさんからの風も心地よい。まさに清風なり。

そのおばあちゃんの家から5分ほどで、町営の温泉がある。そこの露天風呂に
つかりながら、山を眺めていると、いつも「ふるさと」をくちずさんでいまう。
♪山は青きふうる~うさあと 水は清き ふ・る・さ・と~

ムラの生命をマチの暮らしに、マチの活力をムラの正業に

いい言葉だ。温泉につかっていると、もうひとりのおばあちゃんに会いたく
なった。そこから車で15分くらい走る小山の中にある「そばや」の
おばあちゃん。「手打ちそば」という看板をナビでたどりつくと、ときどき
猪の毛皮(とれたての)なんかが干してある。お店の外にスピーカが設置されていて、
村田英雄や鶴田浩司の歌などが、大きな声で聴こえている。不思議なお店だ。
名物は「猪そば」(1500円)。店主が命がけで、しとめた命を大事にいただく。
帰りにのれんをくぐると、つい毛皮に手をあわせてしまう。ここで蕎麦を担当
するおばあちゃんも、腰がまがり、しわだらけだけど、いつも元気をもらう。
年をとっても、若い人たちに元気を与えられる老人力を持ちたいものだ。

夜は「順受の会」
大分から送られてきた「かぼす」を焼酎にしぼって飲む。
先生の松田さんは鹿児島の人だ。幹事の清水さんが長崎。
蕎麦を担当するぼくが福岡。
みんな「でかせぎ」みたいに東京で働いている。でもときどき
大分の人がきて、竹を教えてくれたり、鹿児島の人や沖縄の人がきて
薩摩琵琶や三線をひいてきれたりする。マチとムラが、うまく交流
するのは、とても大事なことだと思う。

「竹の展覧会」は明日まで。9月(ながつき)も、明日まで。