MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

紹介(続き)

2006年02月14日 | 翻訳研究

 ホミ・K・バーバ『文化の場所:ポストコロニアリズムの位相』(法政大学出版会)
一応翻訳についての言及もあるので。「多文化主義のエキゾチズムでも複数文化の多様性でもない」文化の混淆性Hybridityというアプローチは見るべきものがありそうだが、政治的にはナイーブにすぎるかもしれない。

                  

管啓次郎『コヨーテ読書:翻訳・放浪・批評』(青土社)
多くの移民・亡命者文学の翻訳を手がけている著者のエッセイ集。3部構成で、第1部が「翻訳という手仕事」で翻訳にまつわる8編のエッセイを収録している。

鈴木宏昭『類似と思考(認知科学モノグラフ1)』(共立出版)
キース・J・ホリオーク/ポール・サガード『アナロジーの力:認知科学の新しい探求』(新曜社)
汎用思考ルール(推論規則)の限界から新しい思考の基盤としてのアナロジーへ。アナロジーは新しい知識の発見や仮説形成、批判などに有効だが、翻訳の分析にも役に立つのではないかと思い始めた。たとえばGuttは関連性理論を援用して「解釈的類似」という概念を翻訳に適用したが、その場合の類似は目標言語が同様の「文脈効果」をもたらすということにすぎず、テキストとしてのAとBが類似するとはどういうことなのかについては何も言っていない。「似る」とか「類似する」の中身がない限り、「等価」を言葉だけで置き換えただけにすぎないことにならないか。


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