MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

Facebookはこちらです。

「通訳研究」4号など

2004年12月30日 | 通訳研究
『通訳研究』4号の発送を終え一段落です。目次とアブストラクトがごらんになれます。
4号にも論文を寄せている西野かおるさんから『医療通訳ってなに?病院でぶつかるコトバの壁 』というProceedingsをいただいた。これは今年の4月18日に大阪国際会議場で開催された同名の講演会・シンポジウムの記録だ。80ページで、編集はみのお医療通訳研究会。目次は以下の通りです。

<基調講演>
米国における医療通訳の展望-新時代の挑戦 (Patrica D. Borgman)
<シンポジウム>
医療におけるコミュニケーション(中村安秀)
日本における医療通訳の現状と問題点(村松紀子)
研究会一年の歩みと今後の課題(西野かおる)
公共通訳制度の意義と展望-オーストラリア・モデルを中心に(水野真木子)
追加発言と質疑(伊藤守・連利博・林田雅至)

「翻訳と歴史:文学・社会・書誌」

2004年12月25日 | 翻訳研究
22日のNHKでの授業で今年の仕事はおしまい(『通訳研究』4号の発送作業や修士論文の指導、会社の仕事はまだあるが)。今年もあと1週間になってしまった。今日はひさしぶりに2時間の散歩ができた。神保町ですこし文庫本を仕入れ、そのまま小川町経由で秋葉原に行きプリンタのトナーを買う。これぐらい歩かないと今月に入ってようやく60キロを切った体重がもとに戻ってしまう。ほぼ一月近く59キロ台を維持しているが油断はできない。
ナダ出版センターというところが『翻訳と歴史:文学・社会・書誌』という小冊子を出しているのを偶然知って全巻を注文、入手した。主に明治期の翻訳を中心にしており、比較文学分野と思われる人たちが短文を寄せているが、面白い記事が多い。注文したらこの小冊子の前身だという「明治翻訳文学通信」1-14も頂いた。こういう地道な仕事が続けられているのだから日本の翻訳研究も捨てたものではない。この出版社は我が家のすぐ近くにあり、郵便ではなく持参してくれた。
■新刊案内。
Schaffner, C. (2004) Translation Research and Interpreting Research: Traditions, Gaps and Synergies. Clevedon: Multilingual Matters.
翻訳研究と通訳研究の関係、パラダイム、方法論の問題などを扱った論文集。Daniel Gileの問題提起を受けて10人の研究者が論考を寄せている。第2章は討論になっていてPeter Newmarkも参加している。

師走 頂きもの

2004年12月19日 | Weblog
相変わらずとびとびのエントリーですが、一応「師」なのでいろいろ走り回っているのです。金曜日に会社の忘年会を終え、昨日は授業のあと修士論文構想発表会第2部。ご存じかもしれませんが異文化コミュニケーション研究科は異文化コミュニケーション、英語教育、通訳・翻訳、環境コミュニケーションと4つの領域があります。院生の発表に対しては担当以外の教員が中心にコメントすることになっているので、専門外のテーマについてその場でコメントしなければならず、なかなか大変。的はずれのコメントがあったかもしれませんがご容赦を。それにしても発表者はコメントに対してもっと反論したり、自説を擁護してもいいんじゃないだろうか。

最近頂いた本を紹介しないと。

鈴木健『大統領選を読む!』(朝日出版社)。ひょんなことで縁ができ、頂いたもの。鈴木さんは津田塾の先生で、専門は政治コミュニケーション論とレトリック批評。だから「大統領のレトリック戦略」のようなコラムもある。ジャーナリストや政治学畑の人の書いたものとはひと味違うのだ。

ケビン・デーリー/ローラ・デーリー・カラベラ『デーリー先生の「話し方」コーチング』(東洋経済新報社)。これは院生の山田さんから頂いた。実践的なプレゼンテーション指導書。訳は枝廣淳子さんで、山田さんはその和訳チームに入っている。いつものようにあとがきで下訳担当者の氏名を明記している。これはいいことだと思う。

鶴田知佳子・河原清志『同時通訳の最前線から学ぶここまで使える超基本単語50』(コスモピア)。ともに通訳学会の仲間の本。この本はいろいろな仕掛けがあるので簡単には説明できませんので、実際に書店で手にとってみてください。

昨日池袋で頭の上にペットボトルを載せて歩いているおじさんを見た。階段をすたすたと下りていくのだが、ボトルは微動だにしない。おじさんはみんなに挨拶するように右手を高々と上げて去っていった。(くだらなくてすみません。ほんとの話ですが。)

ウクライナの手話通訳者 待望の書

2004年12月14日 | Weblog
白畑知彦・編著/若林茂則・須田孝司・著『英語習得の「常識」「非常識』(大修館書店)
第二言語学習にまつわる俗説やトンデモを専門家が検証した本。「英語耳」「日本語耳」「ものおじしない性格」「やる気」「多読」等々、おなじみの俗説を冷静に検討している。僕は専門外だが「いくらなんでもそれはなかろう」という「学習法」が多すぎた。書かれるべくして書かれた本だ。こういう本はできるだけ沢山の人に読んで欲しいので、宣伝してしまいます。タイトルは「英語習得の」になっていますが、中身はすべての外国語学習に当てはまるので、他言語の人にもお薦めだ。NHKの番組「クローズアップ現代」も批判されている。これで青くなる業者もいるかもしれない。

日本ではあまり話題になっていないようだが、ウクライナの手話通訳者の事件、一応チェックしておきます。

http://ud4all.exblog.jp/1292530/
http://blog.livedoor.jp/travelfreak/
http://www.yokonavi.jp/bbs2/bbs_main.php?bbs=special

Googleで「Ukraine sign interpreter」で検索すると件数は多いが内容は似たようなものだ。ここで通訳者の倫理について投票している。(まだ2票だけ。)
http://www.deafchurch.co.uk/phpBB2/viewtopic.php?t=199

Nicole Kidman主演「通訳者」 国会質疑

2004年12月08日 | Weblog
かなり前の話になるが、1987年の国会法務委員会で通訳者養成と研究、法廷通訳問題についての質疑があり、その議事録を読むことができる。質問者は保岡興治議員(現在も自民党の衆議院議員)。相当突っ込んだ内容で、いったいどういう背景があったのかは分からないが、その後の専門職大学院の構想もこの頃からあったようだ。(字が細かいので読みにくいですが、議事録の前半です。)一部引用しておこう。

「…そしてまた大学の方でも、通訳についても専門的な教育を継続的にかなり集中してやっているというような部門も極めて少ないのです。したがって、やはり先ほど申し上げたような民間や政府における通訳の養成というものは大学を卒業してから始めるというので、私は非常におくれをとるのではないだろうかと思います。そこで、心理学的な、生理学的な通訳過程におけるメカニズムの実証的研究とか比較言語学などの研究部門を持った通訳養成の専門高等教育機関などがあってよいのではないだろうか。そして、政府の通訳養成や各分野の通訳養成を引き受けて、政府の者も民間の者もその通訳養成のための高等教育機関で一括してやるような教育機構をつくる必要はないだろうか。そういうことなどを考えます。」

近刊紹介。
James Nolan. 2005. Interpretation. Techniques and Exercises. Multilingual Matters. 250pp. ISBN 1-85359-791-0
The book provides a structured syllabus and an overview of interpretation accompanied by exercices in the main aspects of the art. It is meant as a practical guide for interpreters and as a complement to interpreter training programmes, particularly for students preparing for conference interpreting in international governmental and business settings.

こういうテキストはこれまでなかったと思う。

今度はハリウッドで通訳者を主人公にした映画が作られる。来年公開予定の The Interpreter がそれだ。ただこれはどう見ても、主人公の職業が通訳者だというだけで、あとは追っかけっことドンパチですね。

Euroconference EST情報など

2004年12月03日 | Weblog
Euroconference "Multidimensional Translation" という会議が2005年の5月にドイツのSaarbruckenで開催される。まもなくオンラインのregistrarion formもできるとのことですが、とりあえずこれでもOK.

EST: European Society for Translation StudiesのURLが変わった。ここでは翻訳・通訳研究の有益な情報が得られるが、会員になればさらにお得な情報が利用できる。On-line journalsやOther TS resourcesの紹介もあり、後者には日本通訳学会のサイトも含まれている。最新のNewsletterにはいろいろな翻訳・通訳関連の会議の案内があるのだが、多すぎて紹介できない。しかしほとんどはまだかなり先のものなのでそのうちに。

来年4月頃に、Kroll, J. F. & de Groot, A. M. B. (Eds.) (2005) Handbook of Bilingualism: Psycholinguistic Approaches. New York: Oxford Universiry Press. という本が出るが、その中にChristoffels, I. K. & de Groot, A. M. B.: Simultaneous Interpreting: A Cognitive Perspective という論文が収録される予定だ。de Groot は比較的有名な研究者だがChristoffelsは今年 Cognitive Studies in Simultaneous Interpreting と題した博士論文を書いた人だ。

明日の「通訳翻訳リサーチ・ワークショップII」ではゲストスピーカーを招いて日英ニュースライティングの話を聞きます。院生対象で非公開ですが、卒業生ならOKです。1時10分から8501で。これが終わると1年生の修士論文構想発表が2回あり、2年生の修士論文指導が最終局面に入る。外部の仕事も2つほど入っていてかなり厳しい。乗り切れるか。

講演会情報 通訳関連書新刊

2004年12月02日 | 通訳研究
講演会情報。この前共著を出版した新崎隆子さんと高橋百合子さんが銀座で講演会をします。「インタースクール東京校移転記念特別講演会」です。詳しくは下のリンクを。

「今話題の英語学習法法を学ぶ~通訳訓練法から生まれた新しいメソッドDLSとは」
講師:新崎隆子・高橋百合子
日時:12月9日(木) 開場:17:30 開演:18:00-21:00
会場:銀座ガスホール
定員:300名(申込先着順)
参加料:無料
申込方法:往復はがきに氏名、住所、電話番号を書いてインタースクール東京校講演会申込係まで。返信用ハガキには氏名、住所を記入。当日は返信通知をお持ち下さいとのこと。
ハガキの送り先と問い合わせ先:〒105-0003 東京都港区西新橋1-7-2 虎ノ門高木ビル インタースクール東京校
Tel 03-3597-1120 Fax 03-3597-1121

通訳関連書の新刊、一応挙げておきます。原不二子(2004)『通訳ブースから見る世界』(ジャパンタイムズ)。「G7サミット、GATT閣僚会議、アフガニスタン復興会議などの会議通訳者として活躍。日野原重明医師が運営するホスピスの通訳も行ってきた著者が、同時通訳者としての半生を振り返る」という内容だそうだ。

Parkinson, G. H. R. (Ed.) (1968) The Theory of Meaning (Oxford Readings of Philosophy). (Oxford Universiry Press).というのが届いたのだが、またしても記憶なし。中にThe Theory of Translation (by W. Haas)という論文があるからたぶん注文したんでしょうね。何かを読んでいて引用されているのを見つけ、これは買わねば、と思ったのだろうが、何を読んでいたのか分からない。それにしても30年以上も前の本が1500円ぐらいの値段で簡単に手に入るのはいい。日本ではなかなかこうはいかない。