MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

Facebookはこちらです。

年末のご挨拶

2007年12月31日 | 雑想

今年一年、このブログをご愛顧いただきありがとうございました。東京ドームのキンキキッズがうるさいのでこれから別宅に避難します。
来年のことを少し言うと、二月には『翻訳研究への招待』2号が出ますので、こちらもよろしくお願いします。来年はサラリーマン最後の年になります。ゆっくりやりたいのですが非常勤をやむをえず引き受けたのと、『通訳研究』の編集も担当するので今年よりは少し忙しくなりそうです。では皆様、よいお年を。


Peter NewmarkのAbout Translationについて

2007年12月29日 | Weblog

Peter NewmarkのAbout TranslationApproches to Translationは翻訳研究の何たるかもよく知らない頃に読んだ本だ。NewmarkはNidaのように学的な記述の仕方はせず、時には断章のような文章になったり、規範的な物言いになったりもするが、決して空論に陥ることなく、つねに翻訳の理論と実務をよく見据えていた。(ちなみにNidaは日本ではなぜかえらく有名だが、一般にはその影響力は聖書翻訳の周辺に限られる。)翻訳理論上の問題にぶつかるたびに、Newmarkはこれについて何と言っていたろうかと、折りに触れ読み返すのだ。今日もパラパラ見ているとこんな文章を見つけた。

...but in principle I prefer literal translation of thematic structure to literal translation (or even literal approximation) of lexicogrammar in expressive and persuasive texts. In informative texts, where the pragmatic factor is less important, the lexis, i.e. the close description of objects and processes, is more important than the reproduction of the themattic structure. (121)

  「…しかし私は原則的に、表現や説得が重要なテキストの場合には主題構造の直訳の方が、語彙と文法の直訳(あるいは直訳的近似)よりも重要であると思う。情報が中心になるテキストの場合は、語用論的要素の重要性が薄れるから、語彙すなわち対象と過程にぴったりと寄り添うように記述することが、主題構造の再現よりも重要になる。」

 

この短い記述の中にも、長大な論文に発展する萌芽とヒントが埋め込まれている。


『翻訳研究への招待』2号原稿揃(いつつあり)

2007年12月29日 | 翻訳研究

『翻訳研究への招待』2号の原稿が徐々に集まりつつある。すでに6本。これに僕の原稿、Sさんの博論をもとにした長い論文、Yさん、Nさん、Kさん、もうひとりのKさんの原稿が来ればそれだけで12本となる。実はもう1本入る予定だったのだが、PCの事故でデータが消えてしまったという。返す返すも残念だが、まあ次回ということで。昨年は8本だったから、文字通り厚みも増す。日本の翻訳研究の水準を確実に押し上げる内容になると思う。


「フランダースの犬」は滅びの美学?

2007年12月27日 | 雑想

「フランダースの犬」日本人だけ共感ベルギーで検証映画」という讀賣新聞の記事。欧州では、物語は「負け犬の死」としか受けとめられず、日本で人気があるのは日本人の心に潜む「滅びの美学」のためだと言うんですが。でもすぐこんなのを作るやつがいたり(いや、好きなんですが)、こんなのもあるし。


発送終わる

2007年12月25日 | 雑想

学会誌『通訳研究』の発送を海外、定期購読を含めすべて終えた。もう到着した人もいるようですが国内会員はメール便ですので着くのにばらつきがあると思います。海外会員は台湾、韓国を除きSAL便ですから少し時間がかかります。

O'Haganさんなどからクリスマスカードをいただいた。どうもありがとうございます。それで思い出したが、今年義理の長兄が亡くなったので新年欠礼としました。ハガキは出したのですが、これから年賀状を出そうと考えている方は出さないで下さいね。
このブログ、年末までアリバイづくりの如く更新するつもりです。


サイレントナイト―7時のニュース

2007年12月24日 | 雑想

Silent Night-7 O'clock News

This is the early evening edition of the news.

The recent fight in the house of representatives was over the open housing section of the civil rights bill. Brought traditional enemies together but it left the defenders of the measure without the votes of their strongest supporters.
President Johnson originally proposed an outright ban covering discrimination by everyone for every type of housing but it had no chance from the start and everyone in congress knew it. A compromise was painfully worked out in the house judiciary committee.

In Los Angeles today comedian Lenny Bruce died of what was believed to be an
Overdoes of narcotics. Bruce was 42 years old.

Dr. Martin Luther King says he does not intend to cancel plans for an open housing march sunday into the Chicago suburb of Cicero. Cook county sheriff Richard Ogleby asked King to call off the march and the police in Cicero said they would ask the national guard to be called out if it is held.
King, now in Atlanta, Georgia, plans to return to Chicago Tuesday.

In Chicago Richard Speck, accused murderer of nine student nurses, was brought
before a grand jury today for indictment. The nurses were found stabbed and strangled in their Chicago apartment.

In Washington the atmosphere was tense today as a special subcommittee of the
House committee on un-American activities continued its probe into anti-
Viet nam war protests. Demonstrators were forcibly evicted from the hearings when they began chanting Anti-war slogans.

Former vice-President Richard Nixon says that unless there is a substantial
increase in the present war effort in Viet nam, the U. S. should look forward to five more years of war. In a speech before the convention of the Veterans of Foreign Wars in New York, Nixon also said opposition to the war in this country is the greatest single weapon working against the U. S.
Thats the 7 oclock edition of the news, Goodnight.

 

Silent night
Holy night
All is calm
All is bright
Round yon virgin mother and child
Holy infant so tender and mild
Sleep in heavenly peace, sleep in heavenly peace.


封筒求めて幾千里

2007年12月22日 | 

海外会員に学会誌を送るための封筒にはいつも詰め物入りを使っている。ところがこれを売っているところがなかなかない。東急ハンズなどは高くて役に立たない。去年までは湯島の会社の近くにあった文具店で買っていたのだがこれが閉店してしまった。本社が水道橋(三崎町)にあることを覚えていたので、今日は雨模様の中を探しにでかけた。歩けど歩けどその店はみつからず、どうしたものかと思っていたところ、幸い三崎町の九段寄りのところで別の大型文具店を見つけて購入。値段も比較的やすかった。

ついでに神保町に出て、出版されたばかりの四方田犬彦『翻訳と雑神 Dulcinea blanca』(人文書院)を買う。今のところ関心はつながらないが、ポストコロニアル翻訳理論に興味のある人には面白いかもしれない。人文書院のサイトに簡単な紹介文がある。


発送開始 Interpreting最新号など

2007年12月21日 | 通訳研究

学会誌の発送を開始しました。明日までに国内会員分はすべて発送予定。会費納入との関連で、振り込み用紙の入れ方が3通りあるので手間取るわけです。海外会員はたぶん年明け。今回は光沢のない表紙ですが、別にケチったわけではありません。くっつくとかいろいろ問題があったからです。

Interpreting Vol. 9 No. 2 (2007)が到着。目次とabstractsはJohn Benjaminsのサイトで読めるようになっています。National Taiwan UniversityのChia-chien Changさんの中英同時通訳のdirectionalityの論文がトップ。

『翻訳研究への招待』2号の原稿が集まり始めました。すでに海外からも2編。今回はサプライズのインタビューもある。レベルも高く、何だ、国際的にもひけをとらないじゃないかと自画自賛しております。2月中には必ず出します。

 


『通訳研究』7号ができました

2007年12月18日 | 通訳研究

通訳研究』7号が完成しました。国内の会員には2-3日中に発送できると思います。目次と内容の一部は以下で読むことができます。
http://www.someya-net.com/10-JAIS/Kaishi2007/index.html

会員以外の方で購入ご希望の方は事務局までメールでご注文下さい。メールアドレスは
secretariat(アットマーク)jais-org.net あるいはa-muzuno(アットマーク)fa2.so-net.ne.jpです。価格は3,000円+送料340円です。


『改訂新版 通訳教本 英語通訳への道』届く

2007年12月15日 | 

日本通訳協会/編 向鎌治郎/ほか著 石黒弓美子/ほか(2007)『改訂新版 通訳教本 英語通訳への道』(大修館書店)が届いた。リンク先はAmazon。目次は細かすぎるので章だけです。

 

序章 通訳の現場から
第1章 通訳の世界(歴史と現状、将来展望、通訳の種類と特徴 ほか)
第2章 通訳への基礎訓練(通訳とは何か、基礎訓練を始める前に ほか)
第3章 通訳技術の訓練(通訳技術の訓練、英日逐次通訳 ほか)
終章 More Helpful Information (日本通訳学会について、通訳関連の書籍 ほか)

 

主要執筆者11人を入れて、実に30人が執筆に関わり、他にCD作成協力者が1人。これじゃあ執筆の調整だけでも大変だったはずだわ。他で紹介されていないので執筆者だけでも紹介しておこう。[主要執筆者]向鎌治郎、石黒弓美子、稲生衣代、河原清志、草柳益和、小沼順子、篠田顕子、新崎隆子、高橋百合子、戸谷比呂美、水野真木子 [執筆協力者]浅見忠司、柴田バネッサ清美、水野 的、八十川弘子、若松顕治 [コラム等の執筆協力者]田中祥子、小川浩美、飯田雅美、森田治恵、松延博子、曽根京子、二宮友佳子、三明幸江、柴田八重子、原不二子、小松達也、藤本敦子、堀田朝子 [編集アシスタント、執筆]野尻和宏 [CD作成協力者] Bill Sullivan。

 

会議通訳だけでなく、放送通訳やコミュニティ通訳、社内通訳にもページを割いているあたり、時代の変遷を感じさせるものがあります。中味はまだ読んでいないのでコメントできませんが、「参考文献」に僕の大学院での配付資料なんか入れてどうすんの(僕もどの資料のことか見当つきません)。英文文献の2つめ、GilleはGilliesの間違い。増刷の際に訂正したほうがいいでしょう。