MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

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年の暮れのごあいさつ

2006年12月31日 | 雑想
今年の大晦日は東京ドームのKinki Kidsも静かである。2006年はことのほか忙しかった気がする。しかしまあ学会関連で知り合いの3人が来年から専任に決まったし、来年は大阪で大会をやるし、いい年になるでしょう。来年もよろしくお願いします。

ラカンさんを知っていますか?

2006年12月29日 | 雑想
ラカンさんをご存じだろうか。ラカンさんといっても、あのわけのわからないジャック・ラカンではなく、及川裸観さんのことだ。以前テレビにもよく出ていて、上半身裸にたすき、半ズボンといういでたちで「わっはっはっはっ」とやっていた人と言えば、ある年齢以上の人は思い当たると思う。この人のことを思い出すきっかけとなったのは、西原理恵子の『アジアパー伝』にそれらしき人が出てきたからだ(写真参照)。鴨の子ども時代に近所に住んでいた有名人でテレビにも出ていたというのだが、雪の朝、やはり雪に埋もれて「わっはっはっ・・・」とやっていたら、翌日死んでたという話。しかし裸観さんが亡くなったのは1986年で西日暮里の病院である。(Wikipedia参照)同じような人が北海道にもいたのか、西原がマンガにするときめちゃめちゃになったのか、それはわからない。それはともあれ、ここにある、裸観さんが下谷銀座のあの「夕焼けだんだん」を幟を持って歩いていく写真を見て、5月ごろだったか、夕焼けだんだんまで行ってきたのだった。ところで「わっはっはっ・・・」といえばやはり有名なのが指圧の浪越徳治郎さんで、やはり二人には接点があった。それについてはお孫さんがちょっといい話を書いている。ここの「第4話 裸王」を参照。

翻訳研究関連日本語文献その3

2006年12月29日 | 翻訳研究
宮岡常夫(1992)『井上勤の翻訳をめぐって』(四国大学)
自費出版本のようだ。珍しい本なのだろうが、内容は井上の翻訳の紹介だけ。井上勤は「月世界一周」や「全世界一大奇書」、「人肉質入裁判」などの翻訳で有名な人だ。四国大学附属図書館に井上の翻訳が二編を除いてすべて所蔵されていたので紹介したというが、国会図書館にもほとんどあり、今はディジタル化されていて比較的簡単にダウンロードできる。

翻訳研究関連日本語文献つづき

2006年12月28日 | 翻訳研究

『笑の泉』(笑)昭和39年6月号になぜか中村白葉と米川正夫の「飜訳生活五十年-仕事の中の酒、女、音楽」という対談が載っている。中身は…ない。ただ学生時代から二人で「ロシア文学」という雑誌を出していたこと(明治末)、二人とも明治時代に青春を送った人だということがわかった。つまり我々の世代は明治の人の翻訳でロシア文学を読んでいたのである。(ロシア文学に限らないか。)

言い忘れたが先日言及した昭和28年の『言語生活』の巻末には、斉藤美津子「話し方の発達」という4ページの記事がある。肩書きは「ノースウェスタン大学マスター・オブ・アーツ」となっている。アメリカのパブリックスピーキング教育の現状を紹介しているのだが、その中に「話し方治療矯正法」についての記述がある。現在ならろう者に対する口話教育なのだろう。ギャローデット大学のウィリアム・ストーキーが「手話の構造」を書いて手話が自然言語であることを明らかにするのはこの7年後の1960年である。


翻訳研究関連日本語文献

2006年12月27日 | 翻訳研究

最近仕入れた本の中から。
『近代日本文學における外國文學の影響(近代日本文學講座II)』(昭和28年 河出書房)中身は以下の通り。

ヨーロッパ系文学との接触初期 / 太田三郎
消化吸収時代第1 / 竹内英之助
消化吸収時代第2 / 太田三郎
同時代的影響の展開第1 / 中島健蔵
同時代的影響の展開第2 / 吉田精一
近代市民文学の成熟とその危機 / 本多秋五
西洋文学の日本文体に及ぼした影響 / 山本正秀
外国文学摂取の回想 / 小宮豊隆
第一次大戦後 / 中橋一夫
外国文学の新しい理解 / 中村光夫
第二次大戦前 / 野間宏
実存主義文学の影響 / 矢内原伊作
レジスタンス文学の影響 / 渡辺淳
「大河小説」・「連鎖小説」 / 白井浩司
アメリカ文学の問題と影響 / 高村勝治
中国との文学交流 / さねとう・けいしゅう
欧米諸国と日本文学 / 久松潜一
将来の問題 / 中島健蔵

53年前の本。あまり翻訳とは関係のない論考が多く、見るべきものがあるのは山本正秀ほか数人か。いわゆる戦後文学最盛期の認識と水準を見るのにはいいかもしれない。それにしても紙質が悪い。保存状態も多少は関係があるかもしれないが、昭和初期の雑誌にくらべても明らかに落ちる。戦争に負けるとはこういうことかと思う。昭和28年で定価340円というのはかなり高かったのではないだろうか。

三宅雅明(1986)『翻訳の表現(表現学大系 各論篇第25巻)』(教育出版センター)
一応学術書なのかもしれないが、ここまで「翻訳論」を無視する記述というのもいっそすがすがしいというべきか。表現学って何なのだろうか。文献の引用も極めて少ない。


押し詰まりまして

2006年12月26日 | 翻訳研究

論文集を入稿し、大学の授業もようやく終り。あとは修士論文の大詰めの指導を残すだけとなった。この間、『通訳研究』6号の発送作業もやったのだった。(部数不足でまだ終わっていません。あとは来年になります。)

翻訳関連の資料を少しずつ集めている。以下は最近入手したもの。
『書物展望』6巻4号(昭和11年)。これは「特輯・飜譯文學の展望」と題して、30人以上の翻訳に関連したエッセイを収めている。片々たるものも多い。
『理想』昭和12年8月号。「飜譯の問題」特輯。詩、聖書、資本論の翻訳の問題など。
『新潮』昭和15年8月号。「飜譯文學の諸問題」特輯で、10人のエッセイを収録。ちょうどパリ陥落の直後で、それについてのアンケートも載っている。
『飜譯論 澤村寅二郎・譯詩論 山宮允』(昭和9年)。これは「英語英文学講座」の1冊。内容は割といいものだ。この講座にはあと2冊翻訳論がある。
『言語生活』昭和26年11月号。「翻訳について」という座談会(河盛好蔵・西川正身・竹内好・高橋義孝)の他2編。
変わっているのが『季刊 悠久』87号(平成13年)「開国期の翻訳」特集号。発行は鶴岡八幡宮である。内容は、翻訳(柳父章)・誤訳の歴史(倉島節尚)・「God」と「神」(平川祐弘)・「宗教」と「Religion」(島薗進)・近代技術の導入と翻訳語(中山緑朗)・蘭語の時代 阿蘭陀通詞(原田博二)・蘭語の時代 医学書の翻訳事情(石田純郎)。
最後のものを除けば、古いものなのでそれなりの値段になるが、図書館にないものも多いので揃えておきたい。


ヤマを越した、か?

2006年12月14日 | 翻訳研究

先週から4人の修士論文指導と同じく4人の構想発表相談が重なり、構想発表会の1回目をやり、並行して論文集の作業をやるというのはやはり結構ハードでしたが、今日ようやく論文集を入稿し、ヤマを越えたかなという感じです。印刷所の方では年内に仕上げますかと聞いてきたが、なりゆきでいいですと答えておいた。まもなく学会誌ができあがり、その発送作業があるのでずらしたいのだった。というわけで論文集は年明けになる可能性があります。(奥付けの発行年度も2007年にしておいた。)乞うご期待。タイトルもその時まで非公開。思っていたよりもずいぶん安くできそうだ。

論文集は「翻訳研究分科会・編」にしたのだが、執筆者の一人、田辺さんが最近インタビューで翻訳研究分科会のことに触れている。→ここ(写真入り)。


新刊紹介など

2006年12月07日 | 翻訳研究

翻訳研究論文集の原稿が出そろった。あとは細かい修正をして通しページを入れ、表紙、目次、まえがきをつけて印刷所に入れるだけだ。最後のまえがきに手間取っている。年内に出るかどうかはわからないが、期待して待つように。

来週になると修士論文関連で忙しくなるので今の内に新刊を紹介しておこう。
田辺希久子・光藤京子『Practical Skills for Better Translation 英日日英翻訳実践トレーニング』(マクミラン・ランゲージハウス)
ベテラン翻訳者によるニュース、小説、字幕、絵本、Eメール、スピーチなど様々な素材を使った翻訳のテキスト。考えてみればこういう翻訳テキストはこれまでなかったのだ。たんに問題と答を並べたテキストではなく、こうすればうまくいくという実践的なヒントを盛り込んでいる。中級編、上級編も欲しいところだ。筆者は2人とも日本通訳学会の会員だ。

KSCI(韓国会議通訳者学会)のFORUM: International Journal of Interpretation and Translation, Volume 4 No.2 (2006)が届いています。
Lexical Transfer in Simultaneous Interpreting (Magdalena Bartlomiejczyk)
Relevance as Effort and Reward: A translation & interpreting perspective (Basil Hatim)
Translator Training: Beyond the dichotomy of theory vs. practice (Lee, Hyang)
What Readers Want - Translation Norms for Published Books in Korea (Lee, Sangwon)
Categorization of Strategies in SI: Implications for SI research and training (Lee, Sohhee)
A Post-Mortem of Note-Taking (Lim, Hyang-Ok)
L'evaluation en traduction pedagogique, technique et scientifique: deuxieme partie (Patricia Minacori-Vibert)
Makins Sense of it All: Public service interpreters as reflec(x)tive practitioners? (Rebecca Tipson)
Translation, Interlingual, Mediation and the Elusive Chimera of Equivalence (Sergio Viaggio)
Notes from the Field
A Proposal for Globally Competitive Graduate Level Translation and Interpretation Curriculum Based on a Comparison of Existing Curricula of Graduate Schools in Korea and Abroad (Choi, Jungwha)
Les douze commandements de la formation d'interpretes de conference (Karla DeJean Lefeal)