お知らせ
■来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。
■『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。
■『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。
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■Interpreting (Vol.21 No.1, 2019)のRosiers他によるInvestigating the presumed cognitive advantage of aspiring interpretersという論文は、タイトルだけ見たときはまたこれかと思ったが、案に相違してまともな論文だった。簡単にまとめるとmasterとしての訓練を始めた段階の通訳の学生と高度な言語使用者(2グループ)の作動記憶容量と実行機能(executive function)の対照研究をしたら、三つのグループ間にはほとんど差がなかったというものだ。何が重要かというとこれまでの研究では通訳者とバイリンガルを比較して、通訳者の方が作動記憶容量と実行機能に優れているというだけで、その差が通訳訓練によるものかどうかについては何も言えなかったのだが、それにもかかわらず作動記憶のスキルに優れていることが通訳訓練の前提とされ、入学試験では作動記憶容量を計ることも行われているからである。ここからRosiersらは選抜試験の内容の見直しを提言している。
■さらにもうひとつねじれがある。仮に通訳者の作動記憶スキルが優れているにしても、それが通訳に役立つかどうかはわからないのである。今でも(日本の通訳学校も含め)記憶力強化訓練のようなものが行われているが、それが作動記憶スキルを伸ばすかどうかはわかっていないし、通訳に役立つかもわからないのである。私自身は記憶訓練や(おそらくその一環であろう)reproductionのような訓練は苦痛でしかなかった。効果はたかが知れていると思う。作動記憶容量が増加するわけではないし、「頭はよくならない」のである。実際のところ、通訳者の優れた作動記憶スキルなるものも、チャンク化の効率化とか、タスクの自動化によるものである蓋然性は大きい。(Hervais-Adelmanら*に至っては、通訳訓練が脳(尾状核)の構造変化を引起すと言うが、それも自動化された学習や運動によるものと思われる。)人間に記憶の制約があるのは大前提なのだから、通訳訓練の本筋は、普通の記憶力しかない学生が記憶の過負荷にどのように対処するのか、その管理方法や方略、すなわち訳出方略を教えることだろう。それをせずに一般的な記憶力強化訓練をするのは本末顚倒ではなかろうか。(*Hervais-Adelman, A., Moser-Mercer, B. and Golestani, N. (2015). Brain functional plasticity associated with the emergence of expertise in extreme lnaguage control. Neuroimage, 114: 264-274.)
■6月中の学会関連の催しについてお知らせです。
(1) 日本通訳翻訳学会 関東支部第52回例会
【日時】 2019年6月8日(土)14:00~17:00
【場所】東京女子大学 本館0101
〒167-8585 東京都杉並区善福寺2-6-1
アクセス:http://www.twcu.ac.jp/univ/access/
キャンパスマップ:http://www.twcu.ac.jp/univ/about/campus/map/
(正門をはいってまっすぐ正面つきあたりの建物)
【タイトル】パネルディスカッション 「通訳教育の現状と課題」
【発表者】蜂屋美季子(サイマル・アカデミー)西畑香里(東京外国語大学)大竹純子(日本会議通訳者協会)鶴田知佳子(東京女子大学)
【参加費】会員:無料 非会員:1000円(学生500円)
【出席のご連絡・お問い合わせ】鶴田知佳子(ctsuruta@lab.twcu.ac.jp)まで。
(2)「通訳翻訳研究における会話・談話分析の可能性プロジェクト」ワークショップ
日時:2019年6月14日(金)13時-15時
会場:立教大学池袋キャンパスセントポールズ会館2階 芙蓉の間
〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1
https://koyu.rikkyo.ac.jp/service/stpauls/map/index.html
講師 Dr. Eva Ng, Assistant Professor of the Translation Programme in the School of Chinese, The University of Hong Kong
題目:Jury comprehension: English trials heard by Chinese jurors
(3) 関西英語教育学会(KELES)2019 年度(第24回)研究大会6月15日(土)16日(日)。
プログラムはこちら。
16日には石塚さんが発表します。
(4)TILT研究プロジェクト第7回会合
日時:6月30日(日)13:00~16:00
会場:名古屋市立向陽高等学校
名古屋駅から地下鉄桜通線で「桜山」駅下車、徒歩10分程度です。
http://www.koyo-h.nagoya-c.ed.jp/1_access.html
参加費:不要(JAITS会員・非会員にかかわらず)
プログラムはこちら。
■日本通訳翻訳学会のいくつかあるプロジェクトの中に「日本の通訳翻訳史」がある。メンバーではないが私も何度か会合に出たことがある。そのプロジェクトの成果の一部が『JTF Journal』(一般社団法人日本翻訳連盟機関紙)に掲載されている。中には現地取材の貴重な写真もある。普通の紙の冊子もあるが、Web版もあって、登録すれば無料で読める。