MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

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光藤京子さんの『誤訳0トレーニング』

2017年02月19日 | 

光藤京子さんから新刊の『誤訳0トレーニング』(秀和システム)をいただいた。別宮貞徳の『誤訳辞典』をはじめとして誤訳に関する本は多い。しかしこれらは誤訳の指摘が中心で、せいぜい大ざっぱな誤訳の分類がある程度である。最も体系的と思われる『誤訳辞典』でも文法項目による分類が中心になっている。本書はATAのエラーカテゴリーを採用してより幅広い誤訳チェックができるようになっている。

 

第1章は15のエラーカテゴリーにもとづき、右のページに訳の間違いを訂正する問題があり、ページをめくると解答と解説というように、問答形式で進む。英日だけでなく若干の日英翻訳も含まれており、より実務に即した内容になっている。この章だけで全体の半分以上を占める。第2章は「誤訳ゼロのための翻訳テクニック10」で、誤訳を失くすために何をすべきかを教える。第3章は比較的長い文章を用いての添削編である。ここにも日英翻訳が含まれている。第4章は仕事術として、実務翻訳者の心構えが述べられる。

本文は2色刷りで随所にイラストや著者のコメント・アドバイスが入り、著者と編集者の力の入れ具合がよくわかる。著者の会議通訳者・翻訳者としての経験と翻訳研究に裏打ちされた良書である。英語のタイトルとしてProfessional Guide for Translatorsとあるように、実務翻訳者が対象であり、入門レベルの学習者はもちろん、プロもチェック用に使える本であろう。