MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

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マンガ、DVD各1点

2004年11月30日 | 
西原理恵子『上京ものがたり』(小学館)
これは西原の前半生の自伝的マンガ。うーん、やっぱり西原すごいわ。僕の若い頃はこんなに生活力ありませんでした。

DVD『下妻物語』。予約していたのが届いたのでようやく見られました。監督の中島哲也は以前たしか山崎努と豊川悦司が卓球をやっているビールのコマーシャルを撮った人だ。最後は山崎努が球を追いかけてひっくり返り、両足が空中に泳ぐシーンがスローモーションで表現されていたが、桃子が軽トラックと衝突して空を飛ぶシーンにその感じがよく現れている。テンポもいいし、音楽もいい。

日本の翻訳研究の論文3編

2004年11月28日 | 翻訳研究
久しぶりにJohn Benjaminsの新刊をチェックしたら、続々出ている。

Topics in Audiovisual Translation(Edited by Pilar Orero)
これはほとんど字幕翻訳と吹き替え翻訳についての論文集だ。モノグラフ以外にはあまりまとまったものがないので、この分野の研究者は必読だろう。

Translation in Undergraduate Degree Programmes (Edited by Kirsten Malmkjar)
Training for the New Millennium: Pedagogies for translation and interpreting(Edited by Martha Tennent)
この2点は主に翻訳教育に関する論文集。

Translation and Cultural Change: Studies in history, norms and image-projection(Edited by Eva Hung)
おお、日本の翻訳研究の論文が3篇ある。古野さんのは博士論文の要約版か。Judy Wakabayashiの18世紀の中国語からの翻訳とは何だろう。
The Japanese experience
The Reconceptualization of Translation from Chinese in 18th Century Japan (Judy Wakabayashi)
Translationese in Japan (Yuri Furuno)
The Selection of Texts for Translation in Postwar Japan ? An Examination of One Aspect of Polysystem Theory (Noriko Matsunaga-Watson)

これで行きますか

2004年11月26日 | Weblog
いろいろなブログを見てみましたが、機能的には結局みんな似たりよったりなのですね。タグはある程度使えるようなので、結局いちばんやりやすいのは、原稿は今使っているHOTALLで書いて、そのドキュメントソースをブログ編集ページに貼り付けるという方法であるという結論になりました。なんだかバカみたいな話ですが、当面は仕方ないですね。ではこれからはブログの方をよろしくお願いします。

新しい通訳入門用テキスト 柳父章の新刊

2004年11月25日 | 通訳研究
水野真木子・鍵村和子(2005)『Let's Interpret 通訳実践トレーニング』(大阪教育図書)の見本を頂いた。このテキストは以前よりも内容が少し高度になっていて、英日・日英の逐次通訳の導入によりふさわしいものになっている。(秋葉広島市長のスピーチもある。)テープあるいはCDも利用可能とのこと。学部レベルから使えると思います。(発行日が2005年4月1日になっているのはなぜでしょうか。)たぶん書店には出回らないので、大阪教育図書のHPで直接注文して下さい。ただしまだHPにはアップされていないようです。

柳父章(2004)『近代日本語の思想:翻訳文体成立事情』(法政大学出版局)が出た。法大出版局から出ていた柳父の本は長らく絶版になっていたものが多いが、最近ほとんど復刊されている。ただしこの本は新刊。一部、既刊書を流用した部分もあるが、基本的には最近の論考を集めている。係助詞「は」についても書いていて、三上章の説を援用している。ここで疑問に思ったのは、三上章とプラーグ学派はどういう関係だったのかということだ。どうも三上説の先行、あるいは並行ということだったらしいのだが、三上はプラーグ学派とはまったく独立に「題目」などの概念を構想したのか。三上の本にはTopicやThemeという英語が出てくるのだが、出典がわからないのだ。ところで柳父の記述はプラーグ学派には触れておらず、オリジナルの理論構成になっている。つまりTranslation Studiesとは直接的な接点はないということだ。しかしこのあたりは我々がやるべきことだろう。

最近マンガ研究の方で、スクリーントーンがいつ頃から使われ始めたのかが話題になっているが、たまたま見つけた「カバヤ・マンガブック」に、どうもそれらしいものが見えるのである。写研の正式のトーンではなく何か代用したのかもしれない。ちなみに岡山県立図書館の「デジタル岡山大百科」のところでかなりの数の「カバヤ文庫」と「マンガブック」を閲覧できる。(直接リンクできないようなので岡山県立図書館→デジタル岡山大百科とたどってください。)こういうのを本当の文化事業と言うのではないかな。箱ものばかり作っているところは少しは見習って欲しいものだ。

J. R. Firthの翻訳研究・他

2004年11月23日 | 翻訳研究
Palmer, F. R. (Ed.) (1968) Selected Papers of J. R. Firth, 1952-1959. Bloomington & London: Indiana University Press.
もはやなぜ注文したのか憶えていないのだが、Linguistic analysis and translation と Linguistics and translation という2つの論文が収録されているので、多分何かに引用されていたのだろう。ぱらっと見たが役に立ちそうもない。

An Introduction to Textlinguisticsで有名なRobert de Beaugrandeさんが新しい本A New Introduction to the Study of Text and Discourse以下のHPで公開した。焼き直しではなく、全く新しい内容だそうだ。今回はwritten discourseだけでなくspokenの方も扱っている。

http://www.beaugrande.bizland.com/

忙しいといいながらも時々は新刊の小説も読んでいる。最近面白かったのは熊谷達也の『邂逅の森』(文藝春秋)と荻原浩の『僕たちの戦争』(双葉社)だ。熊谷の方は直木賞受賞作ということもあって売れているようだが、よく調べていて重厚な味わいがある。マタギものである。荻原の小説はタイムスリップ=入れ替わり物だが、これまた戦争中のことをよく調べていて破綻がない。ニューヨークの貿易センタービルにハイジャックされた旅客機が突入した日に、主人公(の一人)はサーフボードとともに1944年にタイムスリップする。どちらも見事なできばえで、買って損はしません。