MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

Facebookはこちらです。

分科会など

2006年07月31日 | 通訳研究
また間が開いてしまったが、まあいいことにしよう。(特別研究+コンパ、某研修室の採点などあって、結構忙しかったのである。)
土曜日の午前中、暑い中を上智大学まで歩く。途中で道に迷い(日テレ通りの方に行ってしまった)時間をロスするが何とか到着。実は上智大学言語学会というのがあって、知り合いが発表するのであった。午後2時に抜け出して、南北線、丸の内線と乗り継いで立教大学へ。通訳教育分科会なので一応顔だけ出さないと。会場はほぼ満員。50人以上参加したらしい。ゲストの草柳さん(日本コンベンションサービス)のお話は面白かった。PCO(いわゆる通訳エージェント)も通訳者を育てようとしているのがよく分かった。新崎さんから「青山国際コミュニケーション研究」に載った「日英ニューススタイルと聞き手の受けとめ方」という論文の抜き刷りもらう。その後いつもの「懇親会場」へ。
日曜日はうって変わって秋口のような涼しさ。毎年やっている石黒さんの語りの会のために銀座へ。鶴田さん、横山さんたちも来ていた。そうこうするうち、早くも8月である。

歩く

2006年07月23日 | 雑想
昨日は国際研修室の講師会だったので、南北線で四谷に出てそこから渋谷まで歩いた。四谷駅前では今年初めて蝉の声を聞く。神宮外苑を抜けると明治公園では蚤の市が開かれていた。公園前のビクタースタジオ(外装を変えたようだ)の先のガードの上が墓場になっているようなのが気になっていたので確認のためちょっと覗く。階段を登るとお寺があった。竹下通りは相変わらず人で埋まっていた。代々木公園入口付近にはロック系のバンドが3,4グループ、NHK前の並木通りにはアコースティックのグループというように棲み分けている。所要時間約1時間半。
今日は本郷三丁目から秋葉原へ。駅の反対側がずいぶん変貌している。つくばエクスプレスが見えた。そこからJRの神田駅に至り、須田町回りで神保町へ。このルートは町並みがつまらないので疲れる。所要時間2時間ちょっと。

国際会議のお知らせ

2006年07月23日 | 翻訳研究

■9月と10月に開催される翻訳関連の国際会議を2件紹介します。

1) Second International Translation Conference

Arab Thought Foundation (ATF) in collaboration with CIUTI and FIT offers a unique opportunity to create your own network at an international level. Don't miss the chance: Open your own door to the world of interdisciplinarity and diversity.
Beirut, 18-20 September 2006
詳しくはATFのサイトで。

2) New Research in Translation and Interpreting Studies

Tarragona, Spain, 20-21 October 2006

Following the success of the conference in Tarragona in 2005, the Intercultural Studies Group is pleased to announce the second international conference for graduate students and young scholars engaged in research on Translation and Interpreting Studies, many of whom will be presenting their first papers. The format is designed to promote international contacts among young researchers and to
encourage extensive feedback from peers.

Languages: English, Spanish.
Keynote speakers: Minako O'Hagan (Dublin City University) (second speaker to be announced)
Venue: Hotel Ciutat de Tarragona.
詳しくはこちらのサイトで。


訂正

2006年07月21日 | 通訳研究
訂正です。昨日青山学院大学の「通訳寄附講座開設特別記念講演・ワークショップ」はすでに満員となり、受付を終了したと書きましたが、満員になったのはワークショップの方で、記念講演はまだ十分余裕があります。申込は特に必要ないとのことです。ふるってご参加下さい。

日本時事英語学会夏季セミナーのお知らせ

2006年07月19日 | 通訳研究

日本時事英語学会夏季セミナーが以下の要領で開催されます。第一部で船山さんが会議通訳関連の話をしますので関心のある方は申し込んで下さい。

「21世紀の時事英語教育の課題-コミュニケーション、ESP、クリティカル・シンキングの視点から」

開催日:8月5日(土)
会場:国際基督教大学 本部棟206号室
会費:一般 1,500 会員 1,000 学生 500
受付開始:12:30  開始:13:00
第一部 「時事英語の中の専門用語をどう活用するか-会議通訳に学ぶ」(船山仲他会員 神戸市外国語大学教授)
第二部 「時事英語教育とESP」(深山晶子会員 大阪工業大学教授)
第三部 「時事英語教育とクリティカル・シンキング」(竹前文夫会員 目白大学教授)
・参加希望者は7月25日までにe-mail(atsuko@icu.ac.jp)またはハガキ(〒181-8585 東京都三鷹市大沢3-10-2国際基督教大学英語教育プログラム内)でセミナー担当渡辺敦子まで申込をお願いします。


Mona Bakerの新著

2006年07月18日 | 翻訳研究

Baker, Mona (2006). Translation and Conflict: A Narrative Account. London: Routledge.
「この手があったか」と唸らされてしまうBakerの新著。解説文から引用すると、「本書は翻訳が戦争という制度の一部であり、翻訳者と通訳者は暴力的紛争の知的・道徳的環境を作り出す物語narrativeの流布と同時にそれへの抵抗にも参与することを明らかにする。著者は物語理論にのっとり、歴史的紛争と現代の紛争の多くの実例を使ってオリジナルで一貫性のあるモデルを提供する。翻訳における物語の流通のマクロとミクロの局面、翻訳と通訳、そして支配と抵抗の問題に等しく目配りしている。…」というのであるが、Bakerの使っているのは文学理論としての物語論ではなく、社会的理論、コミュニケーション理論としての物語論だ。フーコーのdiscourseやバルトの「神話」と一部重なる概念のようだ。驚いたことに、日本についても黒岩涙香が毒婦物で勧善懲悪のストーリーラインへの翻案を行ったことや「従軍慰安婦」の話まで取りあげられている。じっくり読んでみる必要があるが、ポストコロニアル翻訳研究よりいいのではないか。

夏ですので新しいテンプレートにしてみました。


手話通訳の国際ジャーナル 講演会のお知らせ

2006年07月18日 | 通訳研究

手話通訳の国際ジャーナルが来年発刊される。The Sign Language Translator and Interpreter (St. Jerome Publishing)で年2冊。理論から応用までほとんどの問題を扱うようだ。詳しくはSt. Jerome Publishing のサイトを参照。

すでに通訳学会のHPにはアップしてありますが、ここでも紹介しておきます。

「通訳」寄附講座開設特別記念講演会・ワークショップのお知らせ

・青山学院大学文学部では日本コンベンションサービス(株)による寄附講座「通訳ワークショップ」(07年度開講予定)の開設を記念して以下のとおり特別講演会および通訳ワークショップを開催します。
講演会=9月16日(土)10:00~12:00(受付 9:30)
通訳ワークショップ=同 14:00~17:00
青山学院大学(渋谷キャンパス)
講演会=9号館 901教室
通訳ワークショップ=15号館5階 CALL教室

1.  特別講演会
講師:横田 謙氏(外務省指名の歴代首相付き通訳者、株式会社リンガバンク代表取締役)
演題:通訳者から見た国際コミュニューケーションの極意
2.  通訳ワークショップ
講師(初級クラス):早崎 鐘基氏(会議通訳者)
講師(中級クラス):石黒 弓美子氏(会議通訳者)

注)本ワークショップは公開で行われ、一般の方でも参加を申し込むことができます。使用言語は英語・日本語です。参加資格はとくにありませんが、初級クラスで TOEIC 700点以上、中級クラスで 800点程度
の基本的な英語力があることを前提とします。

[参加費] 無料(ただしワークショップは資料代実費として500円徴収)
[申し込み] 講演会は申し込み不要。通訳ワークショップは以下の URL に掲載されているオンラインフォームを使って申し込み(先着順)。http://www.cl.aoyama.ac.jp/english/newSite/
[問い合わせ] 染谷 (someya@someya-net.com) まで


関西支部例会など

2006年07月17日 | 

久しぶりのエントリーです。土曜日に大阪で行われた通訳学会の関西支部例会に行った折りに平松さんから激励を受けたのでがんばってみます。支部例会では(日本の)通訳(翻訳)研究の問題点、特に方法論の弱さについて少し話しました。方法論が弱い(rigorous or relevantでない)ことは何も日本に限ったことではないのですが、学問disciplineとしての通訳研究、翻訳研究を制度的に確立するためには避けて通れない問題で、その対策は速いにこしたことはありません。もう少し具体的に言うと、このテーマの場合はこの方法論を使い、厳密さrigourの程度はこれぐらい、という基準でコンセンサスができることでしょう。通訳翻訳研究の場合、他の分野と違って、言語学的手法から解釈学的手法、批判的議論(主に理論)、仮説+事例研究、歴史学的研究、観察研究、実験研究(これにも様々な程度あり)など、幅広い手法が使われるため、なかなか見通しにくいという事情があります。

St. Jerome PublishingからThe Interpreter and Translator Trainerという新しい通訳翻訳教育の雑誌が出る。年2冊刊で最初の号は来年の3月を予定している。創刊号には船山さんがEnhancing Mental Processes in Simultaneous Interpreter Trainingという論文を書いている。

頂き物です。鶴田知佳子、横山直美 編著(2006)『通訳のための EXERCISES in ENGLISH』大阪教育図書)が出た。以前にちょっと紹介したテキスト本体に解説と原文、訳例ののったSeparate Booklet、それにCD2枚のセットで箱入り。Textbookは全12課から構成され、最初の2課は導入で、大意の把握とシャドーイング、3課~12課は、主にサイトトランスレーションと逐次通訳。Separate Bookletでは、通訳訓練方法を一通り解説し、Textbookの解答、英文とその和例訳を収録している。対象は中級以上の大学生とこれから通訳の訓練をはじめようとする人。通訳訓練の手法を使った英語力増強のためのテキストだ。サマリーやディクテーション、クイックレスポンスも取り入れるなど、いろいろ工夫しているのが見て取れる。ただ、サイトトランスレーションや逐次通訳のためのノート・テイキングなどはBookletのほうではなくテキストに入れた方がよかったかもしれない。(独習ではなく教師が指導する場合を考えての措置か。)B5判でメモや解答のための余白をたっぷり取ってあるので、書き込みもしやすいだろう。3,200 (本体3,048)

Hermans, T. (Ed.) (2006). Translationg Others Vol. 1 and Vol. 2. Manchester: St. Jerome.
様々な翻訳の実践によってのみならず、西欧の翻訳研究によっても行われている「投射」「認識」「排除」「他化othering」の複雑なプロセスを、ポストモダンあるいはポストコロニアルの問題として捉え、翻訳におけるヘゲモニックな思考に意義を唱える論文集。取り立てて新しい問題ではないが、この2冊本は取りあげている範囲が広い。アラブ、ベンガル、中国、ヒンドゥ、アイルランド、イタリア、日本、ラテン、ラジャスターニー、ソマリア、スワヒリ、チベット、トルコ、アフリカにおけるヨーロッパ語文学、中世ヨーロッパの言語、エジプトの主要言語。そしてグローバル化や倫理といった現代的問題だけでなく、世界各地の歴史的な翻訳概念や翻訳の実践と理論の関係なども取りあげている。視点は、人類学、記号論、ミュージアム・フォークロア研究、図書館、書記システムの歴史など幅広い。日本関連はSemizu, Y.: Invisible Translation: Reading Chinese Text in Anciant JapanとGallimore, D.: Measuring Distance: Tsuouchi Shoyo and the Myth of Shakespeare Translation in Modern Japanの2本。