MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

Facebookはこちらです。

関西支部例会 コミュニティ通訳分科会

2006年03月31日 | 通訳研究

明日1日(土)は大阪で関西支部例会、翌2日(日)には名古屋でコミュニティ通訳分科会があります。いずれも詳細は日本通訳学会のサイトをごらん下さい。残念ながら僕は国際研修室の講師会と立教のガイダンスがあるので参加できませんが。

最近また翻訳論の古い文献を集めている。面白いものはここでもすこしずつ紹介していきたい。岩波書店の雑誌『文学』が1980年に「翻訳I」「翻訳II」と2回にわたり特集号を出し、それを少し増補して1982年に『翻訳』という分厚い単行本にまとめているが、実は1956年5月号でも「翻訳文学」の特集をやっている。主な記事は「聖書和訳史とその文学的影響(笹淵友一)」「翻訳文学の問題-『ファウスト』翻訳をめぐって(道家忠道)」「『ハムレット』の翻訳(小津次郎)」「二葉亭のツルゲーネフものの翻訳について(木村彰一)」「フランス文学の功罪(杉浦民平)」。この中で木村彰一の論文は二葉亭の翻訳をロシア語原文と対照させて分析しており、とてもいい内容だ。「あひびき」よりも、その後に出た(同じ年だが)「めぐりあひ」の方がより直訳的で、ときには日本語のシンタックスを無視しているという指摘もある。二葉亭の翻訳についてはその言文一致や自然観への影響はよく語られるが、翻訳技法自体についてはあまり突っ込んだ議論が見つからなかったのだ。(島田謹二が『翻訳文学』の中で引用しているのは英訳である。)
ところで、こういう文献は「芋づる」方式でもたどり着くことはできるが、ネット上の「日本の古本や」や「スーパー源氏」などを使う方法もある。ネット古書店、なかなかあなどれない。


Cowanの新著

2006年03月29日 | 

Nelson Cowan の新著、Working Memory Capacity (Psychology Press)は2001年にBehavioral and Brain Sciencesに発表したMagical Number 4 in Short Term Memoryの内容を整序したものだが、その序文に面白いというか、恐ろしい話が書いてある。この論文の査読プロセスはきわめて厳しいもので、最初8人のreviewerが見て、さらに8人のreviewerの査読を経て、さらに5人による査読があったという。ダブりもあるが延べ21人の査読者というのはちょっと考えられない。まあMillerのMagical Number 7の神話(都市伝説)を粉砕する内容だったのだから、それだけの手続きが要ったのかもしれない。でも査読結果提出の期限を決めないと時間がかかりすぎることにならないか心配だ。

夕方、人影まばら(というかほとんど見かけない)大学に行き、ヨーロッパ某国の大使館の方に日本の通訳事情を説明する。ヨーロッパもEU拡大にともなっていろいろ動きがあるようだ。池袋西口の大学近くの公園の桜はすでに満開に近い。


夢二記念館の猫

2006年03月27日 | 雑想
弥生門から出て立原道造記念館、竹久夢二記念館へ。夢二記念館の前にはいつも招き猫のような猫がいる。去年の夏以来だったがやっぱりいた。ちょうど記念館の人からエサをもらう時間だったようだ。

今年の桜(その1)

2006年03月27日 | 雑想
うららかなお天気に誘われるように東大に桜を愛でに行く。東大病院前の桜はすでに5分咲きぐらいか。早々とお花見をしている人もいる。三四郎池の桜は少し遅れている。写真は安田講堂前にある八重桜の一本。

修了式 通訳翻訳公募

2006年03月25日 | 大学院

昨日は昼から非常勤講師との懇談会、その後公開講演会、夕方から大学院の修了式、懇親会、9時半から二次会と続き、二次会を早く引き上げたものの帰宅は11時半になった。修士論文を担当した卒業生たちからワインと花束をいただく。(嬉しいです。)
今日は9時半からインターの代講。昨日はアルコールを一滴もいれなかったもののさすがに疲れて寝る。

JREC-IN研究者データベースで「通訳」のキーワードを入れると3件ヒットする。大学教員をめざす人は誰でも見ているはずだから情報としての価値はないのだが、数は少ないとはいえ通訳翻訳で毎年公募があるようになったことは慶賀すべきことだろう。獨協大学が2件(比較文化寄りの通訳翻訳と言語学・英語教育寄りの通訳翻訳)、明星大学は通訳翻訳とは言っても担当科目は翻訳中心で、将来は観光通訳関連科目も担当というもの。こういう公募をみていつも思うのは、大学側がどういう人材が欲しいのか、いまひとつはっきりしないということ。まあ、とにかく若い人は応募してみてはどうだろうか。(あ、獨協は今日が締め切りでした。)


第5回連続講演会のお知らせ

2006年03月23日 | 大学院

明日は大学院の修了式と懇親会。その前に第5回目の連続講演会がありますのでお知らせしておきます。

連続公開講演会(第5回)
「U.S. First Ladies and Gender Norms」(米国ファースト・レディーとジェンダー規範)
*使用言語:英語、通訳なし

米国のファースト・レディーの行動については、アメリカ建国以来、常に議論されてきたが、そのほとんどが批判的なものであった。今回の講演では、特に辛辣な攻撃を受け続けたヒラリー・クリントン、および他のファースト・レディーが直面した様々な困難の要因がどこにあるかを考察する。そして、それらの困難を、社会的規範の影響力と、ファースト・レディーとしての役割変化に対する大衆の抵抗という点を歴史的に振り返り、政治、ジェンダー、コミュニケーションの視点から論じる。

日時: 2006年3月24日(金)15:00から16:30
場所: 池袋キャンパス8号館8202教室
講師: K. K キャンベル博士.(Karlyn Kohrs Campbell, Ph.D.)
ミネソタ大学大学院コミュニケーション学研究科教授
(Professor, Department of Communication Studies, University of Minnesota)
獨協大学外国語学部客員教授(2005年度)
対象: 異文化コミュニケーション研究科学生、本学学生、教職員、一般市民
受講料: なし
申込:不要
主催: 大学院異文化コミュニケーション研究科(リサーチワークショップ運営機構)
問い合わせ先: リサーチワークショップ運営機構 TEL/FAX03-3985-4732
E-mail: irw@grp.rikkyo.ne.jp
 


英語関連の話題

2006年03月23日 | 

安藤貞雄『現代英文法講義』(開拓社)。個人で書いた950ページある英語の文法書だ。「はしがき」によるとこの本の拠って立つ文法理論は「言語事実から機能的に原理原則を導き出すという手順によって、いわば、伝統文法を"科学的に”見直したもの」だという。Amazonのレビューでは絶賛されているようだが、僕には善し悪しは分からない。安井がやっているようにこの本も「情報構造」の章を設けている点はいいと思う。ただ記述の内容は入門程度。何か分からないことが出てきたときに辞書代わりに使えばいいだろう。

今年の大学入試センターセンター試験の英語の平均点は127.52点(200点満点)で、前年度より11.34点上昇。初めて実施した英語のリスニングは36.25点(50点満点)だったという。比較的いい成績だが、問題別の点数が分からないのが困る。最後の長文の平均点はどのぐらいだったのだろうか。今年の問題はハリケーンにまつわるエピソードで、試行テストのように数字がたくさん出てくるわけではないが、数字の点を除けば試行テストよりも難しかったのではないか。


「座シェイクスピア」公演2日目

2006年03月20日 | 雑想

■「座シェイクスピア」公演2日目はおかげさまで無事終了しました。強風の中、鳥飼先生はじめ、鶴田さん、永田さん、新崎さんご夫婦、お名前はここでは挙げませんが学会のメンバー、院生の皆さん、来て頂いてありがとうございました。

さて、野坂昭如の本の文章、

「福井市は直前、空襲でほぼ全滅。この駅を降り、すぐ正面、道路から少しひっこんだ場所にあった郵便局へ足踏み入れてから、少なくともこの月いっぱい過ごした春江での日々は、明け暮れ克明によみがえらせ得るような、もとより錯覚だが、ある。」

この構文ですが、たぶん、構文の骨格は「…郵便局へ足踏み入れてから、春江での日々は、ある。」、入れかえて、「春江での日々は、…郵便局に足踏み入れてから、ある。」

なんでしょうね。分かりやすく書き換えると、

「福井市は直前、空襲でほぼ全滅。春江での日々は、春江の駅を降り、すぐ正面の道路から少しひっこんだ場所にあった郵便局へ足踏み入れてからある。ここ春江で僕は少なくともこの月いっぱい過ごした。その日々は、明け暮れ克明によみがえらせ得るようだ。もとより錯覚ではあるのだが。」

やはり「日々は」と述語「ある」の間に、省略を含む挿入語句があるのがわかりにくさを増幅しているのだろう。ただし、書き換えた文にくらべると原文の方に圧倒的に力があることは確かだ。


「座シェイクスピア」公演初日

2006年03月18日 | 雑想

今日の「座シェイクスピア」公演は無事終了しました。わざわざ来て頂いた山田さん、加藤さん、どうもありがとうございました。二日目の明日は友人、知人、親類縁者30人ほどが来てくれる予定です。どうなりますことやら。

通訳教育分科会は盛況だったようです。久しぶりに遠方から参加してくれたOさん、Mさん、公演と重なったためお会いできず残念でした。


通訳教育分科会と細野晴臣講演会

2006年03月18日 | 通訳研究
リマインドしておきます。今日は通訳教育分科会と異文化コミュニケーション研究科主催の細野晴臣氏講演会がいずれも立教大学で行われます。くわしくは日本通訳学会のトップページからごらんください。分科会は8号館ですからお間違いのないよう。時間的には分科会が1時-4時、講演会は4時からですが、細野講演会の方は申込がすでに500人もいて、直接行っても入れない可能性大です。
細野晴臣って、昔岡林信康のバックでやっていたような気がするが。