お知らせ
■来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。
■『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。
■『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。
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Facebookはこちらです。
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■先週の日曜日に『奇談』を観てきた。日曜午後にもかかわらず客は30人弱。感想はと言えば、作りは比較的ていねいだし、時代設定を1970年代にするなどあまり原作をいじっていないところがよかった。まあ佳作じゃないでしょうか。(前売り券を買ったら原画のコピーがもらえた。映画館では本やプログラム以外特にグッズなどの販売はなし。)ファンの中にも神隠しのエピソードが余計だという声があるが、そんなことはどうでもいいのだ。これからもこういう映画が作られてほしい。早期上映打ち切りの可能性もあるが、大ヒットになって「パライソにいくだ」が流行っても困るし。
■ International Association for Translation & Intercultural Studies の会誌、New Voices in Translation Studies の第1号が出て、全文をPDFファイルで読むことができる(誌名をクリック)。次号が出ると会員の Archives サイトに移行してしまうようなので、興味のある論文があればいまのうちにダウンロードすることをお薦めする。
■10月にスペインで行われた New Research in Translation and Interpreting Studies という会議の内容がPPTだが読める(会議名をクリック)。Monterey の武田さんも東京裁判について発表している。
■KSCIのFORUM vol. 3 no. 2 (2005)が届いた。この号は翻訳研究の論文が多い。今回、日本からは玉置さんが寄稿している。
Table of contents:
Rozan and Matyssek: Are they really that different? A comparative synopsis of two classic note-taking schools (Barbara Ahrens)
Correlations Between Translation Unit and Readability as Identified in the Process of Japanses-Korean Translation (Cho, Sang-Eun)
The Role of Translators and Issues of Choice: Faithfulness and readability in literary translations (Choi, Jungwha)
Critical Reading: The case of culture in translation studies (Gerogios Floros)
Citation Patterns in the T&I Didactics Literature (Daniel Gile)
Reconsideration of the Lecture Methods of Korean-Japanese Interpretation and Translation - Focusing on field experience (Kim, Chul-soo)
Left Untranslated: On the function of the 'untranslatable' in literary texts (Piotr Kuhiwczak)
Translating Interactively in Tourist Brochures (Lee, Changsoo)
Proactive Efforts to Educate Attorneys and Judges on the Role of the Court Interpreter in the United States (US), at the International Criminal Tribunal for the Former Yugoslavia (ICTY) and at the International Criminal Court (ICC)(Nancy Schweda Nicholson)
Foreignization in another context: The Spanish and Japanese translation of "Alice's Adventures in Wonderland" (Yuko Tamaki)
Transcript of "Interaction Between Theory and Practice of Interpretation and Translation and Training"
CIT: Conference Interpretation and Translation の方は2002年以前がダウンロードできるようになっている。
■Babel vol. 50 no. 1 (2005)の目次
Translating (dis)ordered speech in drama (Sonia Cunico)
Katena and Translations of Literary Masterpieces (Agata Brajerska-Mazur)
On the Translation of Modals from English into Arabic and Vice Versa: The Case of Deontic Modality (Mahmoud M. Abdel-Fattah)
Thomas Gray’s Elegy in Russian Translation (James D. Garrison)
Teaching of specialized translation courses in Hong Kong: A curricular analysis (Defeng Li)
■ESTから回ってきたお知らせ。来年の5月、CopenhagenでAudiovisual Translationの会議があるようだ。
MuTra Euroconference 'Audiovisual Translation Scenarios' 1 - 5 May 2006
■同僚の小山先生がヤコブ・L・メイの翻訳を出した。
ヤコブ・L・メイ(2005)『批判的社会語用論入門』(三元社)
原著はJacob L. Mey (2001) Pragmatics: An Introductionの第2版。初版は『ことばは世界とどうかかわるか』というタイトルでひつじ書房から出ていたのでご存じの方も多いと思うが、新版の「日本語版への序」にあるように、内容的には「初版とはまったく異なった」本といえるので、この分野に関心のある人にとっては必読書だろう。翻訳についての言及はないが、現在の翻訳研究では語用論の素養が不可欠だから、翻訳・通訳研究を志す人にとっても必携の書だ。訳文は読みやすいし、内容的にはもちろん用語の訳なども信頼できるので何かと便利だ。ただ発行部数が信じられないほど少ないので、いまのうちに手に入れておくことをお薦めする。注文はこちら。
■石川圭一(2005)『ことばと心理:言語の認知メカニズムを探る』(くろしお出版)
150ページほどの薄い本で、レベル的には入門用だが、言語の獲得、生成、理解、使用について、実証的研究を具体的に紹介しながら説明している点がいい。あえて難を言えば、p.36で事実上音韻ループと構音抑制に触れていながら、実際の説明はずっと後になっているのは不親切だろう。
■今年から修士論文の予備審査というのができて、その締め切りが昨日だったため、ずっと院生の論文をチェックしてアドバイスしていた。予定していた人は全員提出できたようだ。テーマ、素材、方法論が多彩なので指導(?)するほうもなかなか大変だが、勉強になる。というわけでこのブログはずいぶんごぶさたしてしまいましたが、またぼちぼち書きますのでおつきあいを。
■まず大切なお知らせ。「翻訳研究分科会(SIG: Translation Studies)」第1回例会を12月11日に行います。分科会とはいえ学会活動の一環として翻訳研究ができるようになったことは嬉しい。記念すべき第1回会合の発表者はベテラン翻訳者の田辺さんと山田さんだ。これからはこの分科会が日本の翻訳研究の中心になるようにしたいと思う。将来は学会に、という声もあるので、志あるかたはぜひ参加を。
■翻訳研究の論文を書くことになった。Dublin City UniversityのMinako O'Haganさんから、某ジャーナルで日本の翻訳特集をやるという紹介があったので、めぼしい人には連絡したのだが、急な話だったので他にどれぐらいの人が書くのかはわからない。おそらくO'HaganさんやJudy Wakabayashi, 古野さんあたりは書くと思う。来年のいつごろ刊行されるかはわからないが、英語(ないしフランス語)で書かれた初の日本翻訳研究特集号ということになる。
■今日は立教は入試のため全学休講。これから大東です。つづき、まだまだありますが、それは今夜。コメントへのレスも少しお待ち下さい。
■今年から修士論文に予備審査が導入されることになり、その締め切りが迫っている。というわけで今週は修士論文指導をする「特別研究」が3件あり、今日も大学に行ってきた。全員なんとかクリアしてほしいのだが。
■注文していた本が毎日のように届いている。John BenjaminsのTranslation Library series などは特に報告しませんので、随時John Benjaminsのサイトで新刊をチェックして下さい。Multilingual Mattersからは以下の3冊。
Ladd, Paddy (2003) Understanding Deaf Culture: In Search of Deafhood.
ろう文化について幅広い分野に目配りした理論的大著。500ページ以上ある。
Armstrong, Nigel (2005) Translation, Linguistics, Culture: A French-English Handbook.
フランス語を学ぶ英語圏の学生のための翻訳入門書。
Adaltonen, Sirkku (2000) Time-Sharing on Stage: Drama Translation in Theatre and Society.
かなりの改変が行われるのが常態になっている戯曲の翻訳論。
■鴻巣友季子(2005)『明治大正翻訳ワンダーランド』(新潮新書138)
ユゴー「探偵ユーベル」、バアネット「小公子」、ボアゴベイ「正史実歴鉄仮面」、レルモントフ「浴泉記」、ゾラ「女優ナナ」、トルストイ「復活」、ウイダ「フランダースの犬」、アンノウンマン「いたづら小僧日記」、イプセン「人形の家」、「模範家庭文庫」、リットン「ポンペイ最後の日」、グリズリー「東への道」、モオパッサン「美貌の友」、ルルー原作・カーニー改作「オペラ座の怪人」を取りあげている。「オペラ座の怪人」って大正14年に訳されていたのか。
■META Vol.50 No.3は翻訳と通訳の歴史の特集。18世紀の翻訳と女性、バチカン、ブラジル、アフリカ、オスマントルコの翻訳、中国の科学翻訳史など。通訳は逐次通訳の歴史(フランス語)、1919年第1回国際労働会議における会議通訳、中国の通訳の歴史など。
■ビジネス通訳検定というのが始まるらしい。これは小松さんがやっているCAIS(通訳技能向上センター)が主体になっている。以前にも日商が同じようなことをやったが1回ぐらいで消えてしまった。今度はどうなりますか。
■New Trends in Translation Studies: In Honour of Kinga Klaudy edited by Krisztina Károly and Ágota Fóris.という本がハンガリーのAkademiai Kiadoという出版社から出るようだ。Amazonなどでは多分買えないので、ISBNだけ書いておきます。ISBN 9630582570 22p pages. EUR40。
■最近またリスニングの理論を考える機会があったので最近の進展具合をちょっと調べてみたのだが、どうもあまり進展と呼べるほどのものはないようだ。タイトルにListeningが入っている本はたいがいESLやEFL分野のもので、なぜか理論的には「いかがなものか」というのが多い。しかしその中でもMichael Rost (2002) Teaching and Researching Listening (Applied Linguistics in Action series). Harlow: Pearson Educationはちょっと変わっている。関連性理論やChafeの理論、CowanのWorking Memoryモデルなど、様々な理論を取り込もうとしている。いずれも当然リスニングの理論に組み込まれるべきもののはずだが、これまではそういう動きはなかった(と思う)。しかりRostはまだそういう理論を組み込んでモデルを作るところまでは行っていない。
■一方、Townsend, D. J. and Bever, T. G. (2001) Sentence Comprehension: The Integration of Habits and Rules. Cambridge: MIT Press.は、リスニングという言葉は一切出てこないが、文の理解と言うからには当然listening comprehensionを含む。これはsymbolic-computationalアプローチとassociative-connectionistアプローチを統合しようという内容だ。何だか難しそうだが、前者はボトムアップ、後者はトップダウン処理と考えていい。センテンスはこの2つのレベルの情報が理解の過程で統合される自然なレベルであると言う。この説明に使われるのがAnalysis-by-Synthesisモデルという実に懐かしいモデルなのだ。「総合による分析」は最新の認知科学的研究でも活かされ、生き延びているということらしい。これは基本的に正しい方向だと思う。
■Target Vol. 16 No. 2 (2005)にA nonlinear approach to translation (by Victor M. Longa)という論文が載っている。何でも、非線形動学とかカオス理論などを翻訳研究に適用するというらしいのだが、一体何ごとであろうか。興味のある人、読んで見て。
(明日に続く)