MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

雑誌『地上』と東京裁判

2010年07月06日 | 通訳研究
『地上』という雑誌の1948年(昭和23年)4月号を入手した。この雑誌は家の光協会の発行で昭和22年創刊である。『家の光』が家庭雑誌であるのに対して、『地上』は農業総合雑誌という位置づけのようだ。この号にヘンリー島内の「法廷通訳の手記・東京裁判」という2頁ほどの記事が載っている。主に通訳が困難だった日本語の問題を取り上げている。(具体的には、「皇道」「八紘一宇」「ハラ」「内奏」「よく記憶しません」。)ちょっと不思議なのは、この時期はまだ最終弁論が続いていることだ。島内は通訳回数が最も多かったとされているが、書き方を見るともう仕事は終わったような印象を受ける。
この号には「ナタネの一生」「肥料はどうなるか」といった農業関連の記事と一緒に、弁護人の戒能通孝「戦争裁判は何を教えるか」や丸山真男「明治の悲劇」、真下信一「欺かれた世代」、長谷川如是閑「職能社会の文化と道徳」のような論文が掲載されている。

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1 コメント

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モニターによる朗読 (たけだ)
2010-07-07 08:00:19
貴重な情報ありがとうございます。おそらく、2月に最終論告が始まった時点で、日本人通訳者の出番はほとんどなくなったということでしょう。準備された翻訳を朗読したのはモニターでしたから。
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