MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

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実践的通訳テキスト

2005年04月27日 | 通訳研究
■徹底的に実践的な通訳のテキストが出た。Nolan, James (2005) Interpretation: Techniques and Exercises. Clevedon: Multilingual Matters.この本はProfessional Interpreting in the Real Worldというシリーズの2冊目になる。通訳コースの学生が、通訳者になるために身につけなければならない技能と知っておかなければならない知識が詰め込まれている。とりあえず目次だけ挙げると、

1. Speaking 2. Preparation/ Anticipating the Speaker 3. Complex Syntax/ Compression 4. Word Order/ Clusters 5. General Adverbial Clauses 6. Untranslatability 7. Figures of Speech 8. Argumentation 9. Diction/ Register 10. Formal Style 11. A Policy Address 12. Quotations/ Allusions/ Transposition 13. Political Discourse 14. Economic Discourse 15. Humor 16. Latinisms 17. Numbers 18. Note-taking

これを見るだけでも言語知識の習得に圧倒的な比重があることがわかるだろう。ノートテイキングなどは最後に簡単に触れられているだけだ。以前、ジュネーブ大学のIlg先生が大東文化大学でワークショップをしたときの内容とかなり似ている。Ilg先生がテキストを書いたとしたらやはりこんな感じになるだろうか。実例は英語、フランス語、スペイン語などになるが、その点を差し引いても魅力は減じない。例によってぱらっと見ただけだが、お薦めの1冊。ペーパーバック版もある。


『Let's Interpret 通訳実践トレーニング』

2005年04月22日 | 通訳研究
以前紹介した通訳の入門用テキスト、水野真木子・鍵村和子(2005)『Let's Interpret 通訳実践トレーニング』(大阪教育図書)が正式に(?)発売になったようで、テキスト+教授用資料+CD(3枚組)が届いた。CDを少し聞いてみたが録音のスピードは入門用に最適だと思う。(ただしこれの準備段階用として『通訳トレーニングコース』(大阪教育図書)がある。)こういう体系的な実技用テキストを作るのにはいろいろ苦労があったと思う。まだまだ少ない通訳関連書に新しい一冊が加わったのは嬉しい。


新刊紹介3点

2005年04月20日 | 通訳研究
久しぶりにJohn Benjaminsの新刊が到着。

Chernov, Chelly V. (2004) Inference and Anticipation in Simultaneous Interpreting. Amsterdam: John Benjamins.
これはAmazonでは取り寄せられなかったもの。結局今になってしまった。著者は1929年生まれで2000年に亡くなっている。戦後のロシア会議通訳者の第一世代で、国連のロシア(当時はソビエト連邦)通訳チームのチーフだったようだ。Robin SettonさんとAdelina HildさんのEditors' critical forewordというのがついている。Chernovの論文はこれまで何編か読んだことがあるが、かなりユニークなアプローチと言っていい。同時通訳の理論研究に関心のある人にとっては面白いだろう。

Tennent, Martha (ed.)(2005) Training for the New Millennium. Amsterdam: John Benjamins.
こちらはスペインで行われた国際フォーラムに基づいていて、通訳・翻訳教育を中心に12編のやや長めの論文を収録している。実証研究志向の理論とカルチャル・スタディーズにインスパイアされた理論の認識論的ジレンマを論じていると言う。

META創刊50周年記念号が着いた。EditorialとPrefaceがフランス語なのでよくわからない(orz)が、特集テーマはProcesses and Pathways in Translation and Interpretationで、翻訳25編、通訳8編、全部で33編の論文を収め、500ページ近いボリュームになっている。数が多すぎるので翻訳は別の機会にゆずり、通訳の論文のタイトルだけ紹介します。

Franz Poechhacker: From Operation to Action: Process-Orientation in Interpreting Studies.
In-Kyoung Ahn: Pedagogical Considerations of Perspective Coherence Problems in Simultaneous Interpreting as a Result of Linguistic Structure, Illustrated by German-Korean Examples.
Daniel Gile: La recherche sur les processus traductionnels et la formation en interpretation de conference.
Barbara Moser-Mercer: Remote Interpreting: Issues of Multi-Sensory Integration in a Multilingual Task.
Akira Mizuno: Process Model for Simultaneous Interpreting and Working Memory.
Alessandra Riccardi: On the Evolution of Interpreting Strategies in Simultaneous Interpreting.
Sylvia Kalina: Quality Assurance for Interpreting Processes.
Benoit Kremer: Reflexions d'un praticien sur une etape de la formation des interpretes de conference: approch methodologique et pedagogique.


抜き刷りを依頼していると時間がかかりそうなので、自前で作ることにしよう。


寒気

2005年04月17日 | 雑想
2月に東京で雑誌の重みで床が抜けて一階に転落し、重傷を負った人がいた。(まだそのニュースが残っている。)そのときは笑ってしまったが、笑い事、人ごとではなくなってきた。床が抜けるというわけではない。実は机の上に四段の作りつけの本棚があるのだが、これは壁にくっついている形式で、床には接していない。この本棚と天井が接する部分に隙間ができてきたのである(写真参照)。本棚は奥行きが深いので、奥と手前に二重に本を詰めてある。しかもハードカバーの洋書が多い。(アメリカの本によくあるような軽いハードカバーではなく、小さくてもかなり重いのだ。)で、この本棚が壁からはがれて落下してきた場合どうなるかを冷静に考えてみた。全重量は少なく見積もって400キロから600キロはある。…運がよくて重傷だな。というわけで、応急処置として数百冊抜いて少し軽くし、机と本棚の間に一箇所だけ本を重ねて下から支えるようにした。しかし根本的な解決にはならない。やはりこの本棚は本棚ではなく飾り棚程度に使うべきだろう。

最近(でないのもあるが)聞いたきもちわるい言葉。
御社(おんしゃ):面接でこんな言葉を言わざるをえない学生がかわいそうである。「この会社」でいいんじゃないの。
従業員様((c)ほりえもん):きもちわるいというよりも笑った。ついでにニッポン放送の従業員組織だという
いちご会:何考えてんだか。


新刊紹介

2005年04月13日 | 
■三島篤志・小倉慶郎両氏のコンビがまた本を出した。『BBC WORLD 英語リスニング シャドーイング』(DHC). 前回はサイトトランスレーションとリスニングを組み合わせていたが、今度の本ではシャドーイング(+リプロダクション)との組み合わせだ。そして今回は、素材のBBC Newsをデジタル処理で減速(ただし音の高さはそのまま)して、初心者でも十分についていけるように配慮してある。実際、通訳学校などの講師の中には、理想的な内容の入門用教材を見つけてもスピードが速すぎるということで使用をあきらめる人もいたと思う。リスニングの導入ではスピードがかなり大きな障害になる。個人的に使うのであれば、ピッチを変えないでスローダウン(逆も可能)できるソフトやハードがあるので問題はある程度解決される。僕もあるハードを使っているが、権利関係のやかましい市販用の教材でこれをやったのは功績だと思う。章毎のエクササイズの他に、巻末には十分な量のディクテーション問題がついている。大学入試のセンター試験にリスニングが導入されようとしているが、その対策用にも最適な一冊だろう。

■去年の夏に論文を投稿したMETAのVol. 50 No.2(通訳プロセスモデル研究特集号)ができたという連絡がきた。あと半年ぐらい後だろうと考えていたので意外な速さにちょっと驚く。まだ内容はわからないのだが、メールの宛先から推測すると、Gile, Poechhacker, Riccardi, Kalina, Ronowicz, Loercherさんなどが書いているようだ。

入学式など

2005年04月06日 | 雑想
昨日は立教の入学式と新入生歓迎懇親会。今日は履修相談。いよいよ来週から新学期である。
気温が急上昇したため、昨日まで三分咲きだった東京の桜も場所によってはほぼ満開になってしまった。池袋西口の立教近くの公園には早くも花見客が繰り出していた。大学内にはあまり桜の木はない。写真は3号館横の桜。ちょうど松の木の陰になっているあたりが僕の研究室のあるところ。背後の高い建物は新築の11号館だ。

六義園の夜桜

2005年04月02日 | Weblog
今日は講師会の後、6時から六義園の夜桜を見に行く。南北線の駒込駅を出るとすでに六義園入り口から1000人ほどが並んでいた。昨日テレビでライトアップされたしだれ桜が紹介されたせいだろう。園内にはベンチや椅子があって、本来ならゆったり観桜できるのだろうが、こう人が多くては無理だ。まあ最初からゆっくり見るつもりはないのでさっさと帰る。

献本2点

2005年04月02日 | 
通訳理論研究会の時代にいろいろとお世話になった原さんが『地図でみる世界の女性』(明石書店)という訳本を出した。ジェンダー統計を見やすいカラーアトラス形式にしたものだ。労作です。
玉井健さんからは『決定版英語シャドーイング入門編』(コスモピア)をいただいた。入門編とは言っても、スピーチや論説文も含まれていて、センター試験のリスニング対策にも大学の授業にも使える内容になっている。