MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

Facebookはこちらです。

本郷の木通

2009年10月23日 | 雑想

木通は「あけび」と読む。本郷5丁目の廃屋のようなところで見つけた。熟すと紫色や茶色になる(はず)。野生のはずはないから、この家の住人が植えたのだろう。

毎日のように10キロから15キロぐらい歩いているので、午後は半日つぶれてしまう。先日柴又の帝釈天に行った帰り墨田区内でさんざん道に迷ってしまった。それなのに道を聞いてくる人がいる。おとといは矢切の渡しの対岸にドーム状の建物が見えたので金町で降りて松戸まで足を伸ばした。栗山浄水場の給水塔であった。途中に「野菊の墓文学碑」があったのでついでに立ち寄る。「野菊の墓」が松戸の江戸川近辺の話だったとは知らなかった。帰り道、例によって今度は荒川区内で迷う。ようやく千代田線の町屋駅を見つけて帰る。今日は今日とて、西武線の練馬駅から東上線の下赤塚に出て、そこから光が丘公園を周回して、また迷いながら何とか目白通りに出て桜台で時間切れとなる。というわけで、いろいろたまっているのですがブログの更新もままなりません。

明日は例会があります。お忘れのないよう。


「国際会議 翻訳学の行方」事前受付開始

2009年10月14日 | 催し
2010年1月9日(土)と10日(日)の両日、立命館大学京都衣笠キャンパスで開催される「国際会議 日本における翻訳学の行方」の事前受付が始まりました。本会議で使うカンファレンスルームの収容人数がそれほど多くないため(約100名程度)、参加希望者はお早めに申し込んで下さいとのことです。

申込み方法は以下のサイトの中頃にあります。発表者、発表要旨も掲載。

http://translationstudies.net/tsc2010/registration%20Japanese.htm

招待講演はTheo Hermans、Judy Wakabayashi、坂井セシル、真島一郎、水野真木子、そして不肖私。発表者として日本通訳翻訳学会からは武田珂代子、佐藤・ロスベアグ・ナナ、オヘイガン統子、毛利雅子、稲生衣代、齋藤美野、南條恵津子の各氏が参加します。なお、この会議では同時通訳がつきます。

GileのBasic Concepts...改訂版

2009年10月10日 | 
明日は通訳サミット2009というのがあるのだが、所用で行けない。代わりに、というわけでもないが、基調講演をやるDaniel GileのBasic Concepts and Models for Interpreter and Translator Training, Revised editionが出たようなので紹介しておく。初版が1995年だから14年ぶりの改訂になる。どこをどう直したのかはまだわからないが、2,3の章のタイトルが若干変わり、10章はI/T Training LiteratureだったものがIntegrating more theory into training: The IDRC framework に変わっている。ページ数はほとんど同じだ。ペーパーバックも同時発売。
John Benjaminsの秋の新刊としては他に、
The Critical Link 5, Decentering Translation Studies, The Metalanguage of Translation, Testing and Assessment and Interpreting Studiesがある。

Anthony Pymの新著

2009年10月05日 | 翻訳研究

Anthony Pymの新著、Exploring Translation Theories (Routledge)が届いたのでごく簡単に紹介。ご覧のように表紙はMundayやPochhackerのIntroducing...に似ている。序文によると実際、この二著のcompanion volumeという位置づけになっている。違いは、研究や応用ではなく「理論」に焦点を合わせている点だ。つまり「批判的考察」が中心であり、翻訳理論に重要なオリジナルな貢献をしたとみなされない研究は除外されている。翻訳の理論であるから、「等価」の問題が正面から取り上げられ、自然的等価natural equivalenceと指向的(一方向的)等価directional equivalenceという概念が導入される。この辺りにこの本の核心部分があるようだ。
なお本書の邦訳はすでに完了し、出版に向けて最終作業が進行中。


ユーモアの分析

2009年10月02日 | 雑想

『月刊言語』(大修館書店)が今年いっぱいで休刊だそうである。言語学全般と一般読者の間の橋渡しの役目を果たしていた雑誌なので残念だ。以前ここから「通訳の科学」特集号を出してもらったことがある。翻訳研究特集号も出したかったなあ。
さてその10月号は[実践]認知言語学という特集で、鍋島さんが「お笑いと認知言語学」というコラムを書いている(あと「チャレンジコーナー」も)。最近の漫才やコントを例にして、フレームやイメージ、メンタルスペース理論で説明していて大いにためになった。鍋島さんのコラムにもあるが、ユーモアは基本的にはコントラスト(不調和incongruity)と優越感superiorityから説明される。コントラスト(不調和)の方は、「相容れない二つの規範」「相容れない二つの連想脈絡」(アーサー・ケストラー)と言ってもいいだろう。いわゆる「お呼びでない」状況である(復刻版はこちら)。笑いやユーモアは翻訳でも問題になる。ユーモアが言語や文化の壁を越すことができるかどうかという問題だ。数年前にユーモアの翻訳について講義をしたこともあるが、この方面の研究はあまり進んでいないようだ。ユーモアにはだじゃれによるパロディやparodic allusion等もあり、さらにアイロニーもからむからやっかいだ。Curcoなどが関連性理論によって説明しようとしているが結局はincongruityなので新味はない。Pikingtonも関連性理論だが、そこではcontextual garden-pathingという言葉を使っていて、その結果ある種のbrain activityが生ずるというのだが、問題はそこだろう。「ずれ」はなぜ笑いをもたらすような脳活動を生むのだろうか。

すでにお知らせしたように、明日は立教大学で「翻訳学への招待」という公開講演会があります。午後3時からです。お忘れなきよう。