お知らせ
■来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。
■『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。
■『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。
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Facebookはこちらです。
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■いまやっている「日本の翻訳論アンソロジー」関連の仕事で、どうしても気になっていたことの一つに、藤田鳴鶴・尾崎庸夫(訳)『繋思談』の実際の訳者の問題がある。柳田泉などが、実際に訳したのは学生時代の朝比奈知泉(のち東京日々新聞主筆となる明治のジャーナリスト)だと言っているのだが、典拠を示していないのだ。いったいどういう根拠で言っているのか、そこが知りたかった。たまたま目にした江藤淳(1958)「近代散文の形成と挫折―明治初期の散文作品について―」(『文学』第26巻7号)にも朝比奈説が出てきたので、江藤が典拠としている柳田泉のある本を取り寄せて見てみた。結論としては、柳田が朝比奈に直接問いただし、朝比奈が認めたということのようだ。ちなみに、尾崎は名義を貸しただけで、実際にはタッチしていない。ただし、かの「例言」を誰が書いたのかは結局わからない。柳田が聞き漏らしてしまったようなのである。「例言」の署名が「訳者等識」となっているからには、可能性としては藤田鳴鶴の単独執筆から、朝比奈執筆で藤田が加筆というまでの幅があることになる。
■昨日はしばらくぶりに長距離を踏破。本郷から水道橋―飯田橋―市ヶ谷―四谷ー紀ノ国坂を通って青山一丁目―六本木―芝公園―御成門―内幸町―日比谷―大手町―神保町―水道橋―後楽園―小石川柳丁―自宅というルートである。まあ皇居を大回りしたようなものだ。歩数3万歩であった。今回は青山一丁目―六本木―芝公園―日比谷が未踏のルートで、なかなか面白かったのである。
■明日は第11回翻訳研究分科会です。翻訳家でライターの実川元子さんをお招きして「「翻訳とは何か」を教える」というテーマでお話ししていただく予定です。場所は立教大学池袋キャンパス 太刀川記念館第1、第2会議室、時間は午後1時半からです。先日の立命館大学での翻訳研究国際会議についても簡単に報告し、翻訳研究分科会の今年の活動内容について説明します。詳しくはこちらをごらん下さい。
■立命館での会議の際、北海道大学の佐藤美希さんから「新訳をめぐる翻訳批評比較」という論文の抜き刷りをいただいた。これは「『赤と黒』、『カラマーゾフの兄弟』それぞれの新訳をめぐって提示された翻訳書評を例に取りあげ、(・・・)特に翻訳規範の変化という観点から、現在の新訳ブームの特徴について、その一端を明らかにする」という試みである。これとの関連で、トルストイ翻訳をめぐる原・北御門論争や村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』も取り上げられている。ここでは、「翻訳の場における多様な参加者の存在が翻訳規範の形成においてクローズアップされている」と指摘されている。「読みやすい」翻訳という規範が形成されているのだ。問題は、「読みやすい」翻訳とは何を意味するのかであろう。翻訳をめぐる論争を一片の新聞記事やネットの話題で終わらせるのではなく、翻訳研究の視点からきちんと考察しておくことは大事なことだ。実はこの論文、すでにここで読めるようになっている。ぜひ一読されたい。
■学校などを無断で休むと、ずるずると長引いて行きにくくなってしまうものですが、ブログにもその傾向はあります。とはいえ、9日-10日の立命館の国際会議も終わり、非常勤のシラバス書きや大学の最後の授業も昨日で終わりましたので、おもむろに再開します。ことしもどうぞよろしく。
■とりあえず立命館での会議の写真を一枚。これは山本君が撮ってくれたもので、最後のセッションの様子。5人並んでいるのは、左から坂井セシルさん、Theo Hermansさん、Judy Wakabayashiさん、水野真木子さん、そして私。右側にいる2人は佐藤=ロスベアグ・ナナさんと渡辺公三先生。同時通訳されているのでブースに通訳者の方々がいます。結局京都に三泊。面白かったです。詳しくはまた。
■学会誌『通訳翻訳研究』9号ができました。近日中に目次を紹介します。