多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

三井物産会長「外国人との交渉力重要」 価値創造フォーラム21

2012-10-03 10:28:33 | 多文化共生
(以下、日本経済新聞から転載)
=====================================
三井物産会長「外国人との交渉力重要」 価値創造フォーラム21
2012/10/2 20:10

 大企業の経営者らが企業価値を生み出す経営のあり方などを追求する社団法人「価値創造フォーラム21」が2日、創立15周年記念行事を都内で開いた。日本経済新聞社の後援で、三井物産の槍田松瑩会長がグローバル人材をテーマに講演。「異なる文化や民族と接する機会が増えているのに日本人は自己主張する能力が著しく不足している。外国人と交渉できるスキルが求められる」と語った。

空き教室に国際交流スペース

2012-10-03 10:18:10 | 多文化共生
(以下、中国新聞から転載)
=====================================
空き教室に国際交流スペース

 広島県教委は1日、東広島市内の2小学校に、空き教室を利用した国際交流スペースを初めて開設した。児童に日常的に異文化に触れる機会を提供し、外国人と積極的に交流できる人材を育てるのが目的。運営は同市教委に委託した。

 モデル校は中黒瀬小と高美が丘小。昼休憩や放課後に開き、公募で決まった日本人コーディネーター1人と外国人2人が、母国の遊びや習慣などを児童に教える。外国人は米国や中国などの出身で、市内の留学生など計9人が交代で務める。

 教室には約40冊の外国の本や地球儀などを置き、開設時間なら自由に利用できる。本年度から3年間の実施を予定している。

【写真説明】中黒瀬小の児童に自己紹介する外国人スタッフ(左端)

外国人労働者の帰国ラッシュ、人材不足が深刻化に

2012-10-03 10:17:41 | 多文化共生
(以下、バンコク週報から転載)
=====================================
外国人労働者の帰国ラッシュ、人材不足が深刻化に
02/10/2012

タイ国家経済社会開発庁(NESDB)によると、外国人労働者が自国経済成長に伴い、帰国することが予想されることから、タイの労働者不足は今後10年で深刻化する。

外国投資と賃金の上昇による経済発展が、自国民の帰国を促すこととなり、タイの工場労働者数は減少するとみられる。

タイが必要な労働人口は4652万人だが、うち536万人をミャンマーやカンボジアなど近隣国の労働者に頼らなくてはならないという。

外国人派遣労働者 目指すはスイスでの高収入

2012-10-03 10:17:08 | 多文化共生
(以下、swissinfo.chから転載)
=====================================
2012-10-01 11:00
外国人派遣労働者 目指すはスイスでの高収入
ガレージの屋根を取り付けるトーマス・シュヴェマーさん(左)とヘルマン・ディーチェさん (swissinfo)
レナート・キュンツィ, swissinfo.ch

大工のヘルマン・ディーチェさんとトーマス・シュヴェマーさんは、スイスでの赴任を命じられたドイツ人。スイスでの高給をできるだけ多くドイツに持って帰りたい2人だが、あまりすんなりとはいかない。

 ベルン州の小さな町、クライリゲン(Kräiligen)。外壁が黒いビニールで覆われている家が1軒ある。「梱包」で有名な芸術家の作品というわけではない。南ドイツからやって来た大工のディーチェさん、シュヴェマーさん、ポーランド人の同僚の仕事場だ。


 ディーチェさんはシュワルツワルド(Schwarzwald)地方出身の53歳。故郷には奥さんと3人の子どもが暮らしている。同じくシュワルツワルド地方からやって来た24歳のシュヴェマーさんはまだ独身。2人が務める小さな工務店はスイスの国境のすぐそばにある。

 上司のマティアス・ブルンナーさんは年に3~4回、2人をスイスへ短期派遣させる。1回の派遣期間は通常1週間で、時には2週間になることもある。スイスには外国への派遣業務を最大90日に制限する派遣労働法があり、賃金や社会保障費を不当に低く抑える労働ダンピングの抑止策の要になっている。

 この法律では、外国の雇用者はスイスに派遣する従業員に対し、ドイツでの給料とスイスの最低賃金との差額を支払うことが義務付けられている。スイスには最低賃金を定める法律はないが、各産業が独自に定める労働条件規約(GAV/CCT)に最低賃金が規定されている。欧州連合(EU)との間で人の移動の自由を認める条約を結んだスイスは、EUとの合意のもと、このようなダンピング抑止策に乗り出した。

 4日間で省エネ構造の家の骨組みを完成させたシュヴェマーさんとディーチェさんは、スイスに好んで出張する。「組み立ては組み立て。ここでもやるべき作業は同じだが、スイスの方が割りに合う」。そう話すディーチェさんだが、スイスで実際どれ程収入が増えるのかは、言いたくもないし言えないという。

 ちなみに、記者がスイスの他の工事現場で出会ったドイツのタイル張り職人の場合は、ドイツの賃金よりも3分の1多い賃金をもらっていた。


シュヴェマーさんが腰につけるチェーンは、大工職人としての称号 (swissinfo)
レストランのメニューには気をつけて

 昼の休憩時。ディーチェさんとシュヴェマーさんは断熱シートの上に腰を下ろし、パン、ソーセージ、清涼飲料で空腹を満たす。スイスで食事を取るのは安くはない。2人は昨晩入ったレストランでケバブサンド1つ、ケバブの皿盛り2皿、グラスビール2杯、エナジードリンク1本を注文し、65フラン(約5400円)を支払った。

 「何を注文するのかよく考えないと、大変なことになる」。シュヴェマーさんはスイスの物価の高さに目を丸くする。ドイツでは同じものを頼んでも、せいぜい25ユーロ(約2500円)しかかからない。「まあその分、ここでは食べ物は美味しいし、量も多い」

 2人にとってスイスで特に美味しいものはソーセージ、チーズ、コーヒー。ディーチェさんは粗挽きコーヒーを買い置きし、奥さんへのお土産にする。シュヴェマーさんはパンとクロワッサンが気に入っている。スイスの食料品があまりにも良かったため、ディーチェさんもシュヴェマーさんもドイツにいるときは国境を越えてスイスまで買い物に行くことが多いという。シュヴェマーさんは「(安売り専門スーパー)アルディ(Aldi)やリドル(Lidl)と商品が違うため、気分転換になる」と話す。

 なるほど、国境を越えて買い物に行くのはスイス人だけでなく、ドイツ人もそうなのだ。ただ、ドイツ人にとってスイスで買い物をする理由は為替相場ではなく、食べ物の味によるところが大きいようだ。

 出張先が国境近くならば、2人は夕方、ドイツにある自宅に戻るという。現在の出張先クライリゲンとドイツの会社までは120キロメートル離れているため、上司のマティアス・ブルンナーさんは社員のためにスイス北西部の町ツフヴィル(Zuchwil)に別荘を借りた。その別荘で料理をする際、2人は店の閉店時間に気を付けなければならない。この町の閉店時間は、ドイツよりもかなり早い夜7時だからだ。

ガサ入れでなく親切心

 スイスで働くうえで日常的となっているのが、労働市場監視協会からのコントロールだ。各州に置かれた労働市場監視協会は国の委託を受け、違法労働がないかを監視する。ディーチェさんは言う。「チェックがあるのはいいことだ。監視員は親切だし、気さく。ある監視員は『コントロールをするのはあなたたちがきちんと給料を受け取れるようにするため』とも言ってくれた」

 一方、ドイツでは工事現場に赴いて労働状況を監視することは、まるで警察のガサ入れのようだという。告発があった場合はなおさらだ。ドイツのライプチヒ(Leipzig)では、当局が建設地を包囲したこともあるとディーチェさんは語る。

 労働現場に赴いた監査員は、そこで働く人たちの給料や手当をチェックする。次に、ドイツとスイスでの賃金格差分が支払われているかを調べる。その際の根拠となるのが、上司のブルンナーさんがスイス当局に提出しなければならない給料明細書だ。

行政手続きという障害

 コントロールで派遣労働法違反が見つかると、企業はまず警告を受ける。改善が見られなければ次に罰金が課され、悪質な場合には派遣業務の停止命令が出される。

 スイスでの派遣業務を行う際は、前もってその労働現場の州経済局に申請を行い、勤務場所、契約、委託内容、期間、派遣人数を伝えなければならない。そのほかにもしなければならない行政手続きは多く、ブルンナーさんの会社では初期のころ、コンサルティング会社に相談することもあった。

 昼休みの終了間際。シュヴェマーさんはデザートに、ヘーゼルナッツ入りのスイスチョコレートをほおばる。「ストレスを減らすため」と笑う。だが、一日の終わりにはチョコレートはもう必要でなくなるだろう。仕事をやり終えた安堵感がドイツ人大工の心を満たすだろうから。


レナート・キュンツィ, swissinfo.ch
ベルン州クライリゲン(Kräiligen)にて
(独語からの翻訳・編集、鹿島田芙美)

高齢者に手作り品届ける、ひきこもりから一歩 南紀サポステ

2012-10-03 10:16:42 | ダイバーシティ
(以下、紀伊民報から転載)
=====================================
高齢者に手作り品届ける、ひきこもりから一歩 南紀サポステ

 南紀若者サポートステーション(サポステ)=和歌山県田辺市高雄1丁目=が訪問支援する、ひきこもりの女性7人がこのほど、手作りしたちりめん細工のストラップを通所介護施設の利用者にプレゼントした。メンバーは定期的に集まって共同作業しており、うち4人が施設を訪問して手渡した。サポステは「他人のために頑張ることで、現状から一歩踏み出せた」と話している。

 メンバーは串本町や太地町の訪問支援利用者で、いずれも20代の女性。敬老月間に向け、今年3月から8月まで月2回、串本町須江のサポステ出張所に集まり、ちりめん細工の花のストラップを合計69個作った。

 1回の作業時間は約3時間半。中には約20年ひきこもっている人もいたが、作業を通じて少しずつ会話が生まれ、全員があいさつを交わせるようになったという。

 プレゼントを届けたデイサービス施設「ケアセンターユウガ」(田辺市目良)では、高齢者にプレゼントを手渡した後、一緒にゲームをするなどして交流した。

 参加したメンバーは「高齢者に喜んでもらえ、うれしかった」「自分の気持ちに正直に行動した方が、誠意が伝わった」などと話し、「機会があればまた参加したい」と口をそろえた。

 同施設管理者の小山順さん(29)は「思ったより積極的。ゲームに一緒に参加してくれたことを、施設利用者も喜んでいた。また来ていただきたい」と歓迎している。

 訪問支援員の松井夕起さん(26)は「他人に貢献できる達成感は大きい。一歩踏み出すきっかけになれば。今後も集まりを続け、作品をバザーに出したり、福祉施設に届けたりしたいが、受け入れ先の確保が課題」と話している。

【高齢者に手作りのちりめん細工のストラップをプレゼントするひきこもりの女性(和歌山県田辺市目良で)】

(2012年09月29日更新)

ダイバーシティ(多様性)は事業機会の創出につながる

2012-10-03 10:16:04 | ダイバーシティ
(以下、DIAMONDonlineから転載)
=====================================
ダイバーシティ(多様性)は事業機会の創出につながる
――アンソニー・テニセラ 米IBMコーポレーション
LGBTマーケット担当エグゼクティブに聞く


企業がダイバーシティ(多様性)に取り組むことは、イノベーションを生み出す必要条件である。はっきりそう述べるのは、米IBMでLGBTマーケットの開拓を担うアンソニー・テニセラ氏。同性愛者であることを明かした同社のエグゼクティブの1人で、官公庁や企業相手の伝統的な市場とLGBTなどの新しい市場で事業機会の創出に取り組んできた。なぜ、IBMグループはダイバーシティを重視しているのか。どうして、LGBT当事者の数を増やす必要があるのか。米国企業の中でも先行しているIBMの事例と、根底にある考え方を聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部・池冨仁)
ダイバーシティなしでは
イノベーションは生まれない

Anthony Tenicela
1960年、米ペンシルベニア州生まれ。ピッツバーグ大学を卒業後、カリフォルニア大学バークレー校でパーソナリティ・組織心理学の修士号、UCLAアンダーソン・スクールでビジネス戦略の経営学修士号を取得。オンライン旅行サービスのプロトタイプ開発などに従事した後、96年にIBMに転じる。ダイバーシティ&LGBTマーケット担当グローバル・リーダー兼ビジネス開発担当エグゼクティブとして、世界中の顧客に対し、ビジネス戦略としてのダーバーシティの考え方、そのための人材育成、コニュニティのあり方などをアドバイスする役割を担う。サンフランシスコとニューヨークに在住。
Photo by Shinichi Yokoyama

――日本の企業でも、ようやく「ダイバーシティ」という言葉が一般的になり、その一部であるLGBTと職場の問題についても注目が集まってきた。米IBMにとって、ダイバーシティという概念はどのように重要な意味を持っているのか。

 1911年設立のIBMは、この分野ではずっとグローバル・リーダーの役割を務めてきた。過去100年以上、職場のダイバーシティに全員参加の精神で取り組んできた。そのことは、遺産であり、企業文化として定着している。

 そして現在、ダイバーシティという概念は、企業がグローバルにビジネスを展開していく上で、必須の事項となった。いまや、多様性は、企業の競争力や差別化の源泉であり、それなくしてイノベーションは生まれなくなっている。多様性自体がイノベーションを生むと言ってもよい。そんななかで、LGBTを含むダイバーシティの概念は、企業がマイノリティ・グループと“関係性”を構築し、育んでいくためにも、鍵を握る重要な概念となっているからだ。

 IBMの顧客は多様化しているし、ニーズもまた多様化している。そのような流れの中で、私は職場と市場の“橋渡し”をしようと取り組んでいる。

――IBMは、「ダイバーシティの分野でグローバル・リーダーを務めてきた」という点について、もう少し具体的に教えてほしい。

Photo by Shinichi Yokoyama

 ちょっと歴史を振り返ってみたい。IBMは、1984年に「性的指向による不当差別禁止」の条項をコーポレート・ポリシーに組み込んだことはよく知られていると思う。だが、じつはもっと以前から、今日でいうダイバーシティの概念を体現するような取り組みを行っていた。たとえば、その70年前の14年にIBMは身体障害者の社員の採用を始めており、43年には女性のバイス・プレジデント(事業部門の責任者)が誕生している。

 そして後年、93年にルイス・ガースナーが会長兼CEOに就任してから一気に加速した。彼は、世界中で成功を収めたグローバル企業は多様性を重視していることを熟知していたので、IBMグループとして社会に対してどのような役割を果たすべきかを考え続けていたし、各種のプログラムを打ち出した。

 現在、IBM社内のLGBT当事者のネットワーク活動の基盤となっている「EAGLE」(Employee Alliance for Gay and Lesbian Equality)がスタートしたのは95年だった。そして、いまでは自分がLGBT、すなわち性的少数者であることを明かしているエグゼクティブは42人いる。
多様性維持のプログラム整備は
優秀な人間を集めることにつながる

――なぜ、IBMでは、世界規模でカミングアウトする(自らも当事者であることを明かすこと)社員を増やそうとしているのか。

 社員にとって、ロール・モデル(お手本)になるからだ。

 少し個人的な話をしよう。私は、1960年に米ペンシルベニア州西部で生まれ育った。そこは、ものすごく保守的な土地柄で、現在のようにインターネットもなかったので、LGBTに関する情報を得ることができなかった。大学院生になって西海岸に向かうまで、LGBTに関するNPO(非営利組織)が存在することや、当事者たちのコミュニティがあることすら知らなかった。

 96年にIBMに入社したのは、LGBTを含むダイバーシティの取り組みがしっかりしていたからだった。私は、ゲイであることを明かして働いている。そのことを偽らずにいられるということは、本当の自分でいられるということで、本当の自分のままで顧客と仕事上の信頼関係が構築できるのは幸せなことだと感じている。私もまた、若い世代のためにロール・モデルでありたい。

 企業が、多様性を維持するための各種プログラムを整備することは、結果的に優秀な人間を集めることにつながる。LGBTの当事者が働きやすい職場であれば、LGBTに限らず優秀な人間が集まりやすくなるし、忠誠心を持って働いてくれるようになる。加えて、一定の人数が集まれば、組織としての層の厚さにつながり、ひいては組織全体の生産性も大きく上がる。

――現在、IBMが行っている「多様性を維持するための各種プログラム」には、どのようなものがあるか。

2012年のWorldPride celebration in Londonに参加したIBM社員。アンソニー・テニセラ氏提供

 たくさんあるので、ユニークなものを挙げよう。

 まず、「リバース・メンタリング」がある。これは、LGBT当事者が社内横断的なチームを編成し、LGBTについてよく理解していないマネジメントに対して研修の機会を設けている。啓蒙活動の一種だが、双方にとってプラスになることなので、いまも盛んに行われている。

 次に、「ストレート・アライ・プログラム」がある。アライとは、LGBT当事者への理解者を指す言葉で、LGBT当事者のコミュニティが、LGBTの実態をよく知らない社員に対して支持を訴えるための取り組みだ。こちらも自主的な啓蒙活動ではあるが、知らない人は知らないままというケースが多いので、地味ながら大きな意味があると考えている。

2011年のCopenhagen Pride Paradeに参加したIBM社員。アンソニー・テニセラ氏提供

 最後に、「ティーチング・リスペクト」がある。米国には、「GLSEN」(Gay, Lesbian and Straight Education Network)という、年少のLGBTコミュニティのためのサポート組織がある(参考:本連載第13回)。現在、学校では、LGBTの子どもたちに対する中傷や虐めが問題になっている。このNPOは、学校での教育環境の向上に対してさまざまな働きかけを行ってきた。彼らに話を聞きに行き、他者を尊ぶ必要があることを学ぶ。もともとは、IBMの社内向けに始めた活動だったが、いまでは一部の顧客を連れて行くようになった。顧客と一緒になって、社会の問題解決に関与するということは、非常に意義深いことだからだ。そうした取り組みを通じて、新しい事業機会につながったケースも多々ある。
州によって異なる許容度
二極分化が進んでいる

――日本では、米国はLGBTと職場の問題について、ものすごく進んでいるようなイメージがある。しかしながら、米国社会全体で、まったく偏見がなくなっているとは考えられない。現実問題として、どうなのか。

 とてもよい質問だ。

 おそらく米国は、世界の国々の中でもLGBTに対してオープン・マインドのように見えると思う。私としても、「本当だ」と答えたいところが、実際はそう言えない。ある州では進歩的だが、ある州ではそうではないという現実がある。LGBTに関しては、“二極分化”が進んでいる。

 だが、この10年で変わってきたのは、同性愛者の権利を擁護する「HRC」(ヒューマン・ライツ・キャンペーン)や、「GLAAD」(Gay & Lesbian Alliance Against Defamation:中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟)などの存在が認知されて、多くの企業が「私たちはLGBTを支持します」と表明してくれるようになったことだ。

 さらに、LGBTの当事者が声を上げるようになり、各種のメディアを通じてLGBTの主張が世の中に出やすくなった。それで、“存在の可視性”が高まってきた。まだまだ、偏見を持つ人は少なくないが、社会の理解が進んできたという手応えは感じている。

――日本IBMでは、独自の取り組みとして、2011年の春に「結婚祝い金」(3万円)の適用範囲を一気に広げた。過去には男女の結婚に限っていたが、LGBTの当事者に加えて、事実婚の人たちも含めた。ただし、範囲を広げる代わりに2回目以降の結婚は適用外とするなど、現実的なものだ。これまでに4人が申請しているというが、この話は聞いているか。

 もちろん、知っている。それは、日本IBMが、「私たちは同性結婚を支持しています」と、社会に対して宣言しているのと同義になる。

 世界規模では、IBMグループは170カ国で約40万人の社員が働く。それぞれの国は歴史も違えば文化も違うし、法律や制度なども異なっている。個人の価値観も異なるし、実際の運用面を考えれば、そう簡単な話でもない。それでもIBMは、同性愛者も男女の夫婦と同等の福利厚生を提供していきたいと考えている。実際に、IBMの社員の約75%は、そのような機会が与えられているし、権利を享受できるようになっている。でも、まだ約25%の社員はそうではない。だから、会社として、やるべきことは残されている。

 日本の企業では、「LGBT? 知らないし、わからない」というエグゼクティブが多いと聞く。第1ステップとして、まずダイバーシティを入り口に、LGBTについて知ることから始めてみてはいかがだろうか。LGBTと職場の問題に取り組むということは、企業の人事部門に任せっぱなしでよいという話ではなく、ただ単に女性管理職の数を増やせばよいという話でもない。

 歴史的な背景が異なる日本の皆さんにとって、「多様性を尊ぶ」というダイバーシティという概念は、欧米特有のものと感じるかもしれない。確かに、欧米には、国籍や人種の多様性を無視しては社会がまとまらなくなるという根源的な事情があった。

 だが、自分と他人の違いや価値観を尊重し、互いの能力を発揮して最大限の成果を出す。企業にとって、生産性を上げるという命題は、ダイバーシティという言葉を用いなくても「普遍的な考え方」であり、エグゼクティブにとっては「新しい市場にリーチするためにはどうするか?」という経営課題の1つである。繰り返しになるが、これは人事部門の担当者に限った話ではない。

企業トップが語るダイバーシティーマネジメント

2012-10-03 10:15:32 | ダイバーシティ
(ITmediaエンタープライズから転載)
==================================-
企業トップが語るダイバーシティーマネジメント
今回は、企業のグローバル化に向けて注目度が高まりつつある「ダイバーシティーマネジメント」について考察したい。
[松岡功,ITmedia]

 「企業にとってダイバーシティーへの対応は、人材獲得をめぐる戦いだ」

 米IBMのジニー・ロメッティCEOは9月11日、日本IBMが都内ホテルで開催した同社設立75周年記念イベントのパネルディスカッションでこう語った。

 企業のグローバル化に向けて、「ダイバーシティーマネジメント」への注目度が高まりつつある。

 ダイバーシティーは日本語で「多様性」を意味する。多様な人種を抱える米国で生まれた思想を発展させたもので、人種に限らず、性別、年齢、学歴、民族、信仰、価値観、さらには働き方の違いなど、あらゆる多様性を積極的に受け入れることで、優秀な人材を幅広く確保し、ビジネスの成長につなげようという考え方だ。

 企業活動においてダイバーシティーというと、人材管理の観点からダイバーシティーマネジメントの意味で使われることが多い。ダイバーシティーマネジメントは、多様な人材あるいは人材の多様性を生かすことができる組織の構築を目指す取り組みだ。その考え方の背景には、多様な人材あるいは人材の多様性を生かすことが組織の活力や創造性を高めることに貢献する、との前提がある。

 人材の多様性については、大きく2つの類型に分けて議論されることが多いようだ。1つは人々が生まれ持った1次的属性(性別、年齢、人種、民族など)、もう1つは社会的に獲得された2次的属性(信仰、価値観、学歴、未既婚、家族構成、ライフスタイルなど)である。こうした多様な属性を持った人材が活躍できるような組織を構築し運営することが、ダイバーシティーマネジメントの課題となる。

 日本でダイバーシティーマネジメントが重視されてきた背景には、経営のグローバル化によって日本とは異なる社会文化環境の下で事業活動を展開する必要性の高まりや、女性の活躍の場を広げる必要性などがある。

 このダイバーシティーマネジメントについて、冒頭のように発言したIBMのロメッティCEOとともに、日本IBMの設立75周年記念イベントのパネルディスカッションに臨んだ日立製作所の中西宏明社長と、三菱東京UFJ銀行の平野信行頭取が、それぞれ自身の海外勤務などの経験をもとに見解を述べた。
意識すべきGゼロ時代のダイバーシティー

 まず、中西氏は「日本の企業にとってダイバーシティーへの対応は、経営をグローバル化するうえでますます重要な取り組みになりつつある。日本人は島国で単一の民族および単一の言語で育っていることから、ダイバーシティーに対する受け止め方や感度が、グローバルからみると少々偏っているというのが率直な印象だ」と語り、次のような見解を示した。

 「ダイバーシティーへの対応は、組織を活性化させるうえでも個人が能力を発揮するうえでも非常に重要だ。単に外国語を話すだけでなく、ダイバーシティーにいかに柔軟に対応していくかを、日本人はこれから真剣に考えていく必要がある」

 一方、平野氏は「日本でダイバーシティーというと女性の活用がクローズアップされがちだが、そろそろ次のステージに移るべきだ。それは端的に言うと、多様性が生み出す創造性に目を向けるということだ」と語り、次のような見解を示した。

 「これからはGゼロ時代を迎えるといわれている。Gゼロとは、グローバルにおいてG7やG8、G20といわれる先進国や主要国の存在感が薄まり、すなわちリーダー不在になることを意味する。グローバルな環境がそのように変化する中で、企業として各国・地域の多様なニーズにいかに対応していくか。Gゼロ時代のダイバーシティーというのも今後、しっかりと意識する必要がある」

 さらに、両氏が口を揃えて強調したのが、若い世代への期待だ。中西氏が「ダイバーシティーへ柔軟に対応できるようになるには、やはり経験が大事。とくに若い世代には、どんどん海外経験をさせて、単に海外に馴染むだけでなく、多様な考え方や習慣があることを肌で感じてもらいたい」と話すと、平野氏も「日本の企業にとって、ダイバーシティーへの対応は若い世代をいかに活用するかが非常に大事なポイントになる」と力を込めて語った。

 こうした両氏の発言を受けるように、ロメッティ氏がこう話した。

 「ダイバーシティーへの対応で最も求められるのはインクルージョン(受容)。つまり、あらゆる多様性を受け入れるということだ。さらに、もう1つキーワードを挙げれば、グローバルシチズン(地球市民)という考え方だ。グローバルシチズンという立場からいえば、ダイバーシティーは必然のものとなる。私の頭の中ではグローバルシチズンを目指すことが、ダイバーシティーへの対応と直結している」

 日本の企業でグローバルシチズンを意識しているところは、まだほとんどないと言っていいだろう。ロメッティ氏の発言には、IBMの懐の深さを感じさせられる。企業のグローバル化は、すなわちダイバーシティーマネジメントへの取り組みといっても過言ではない。日本の企業にとっては、まさしくこれからが正念場である。