(以下、中日新聞から転載)
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アートNPOヒミング(5) 人と人をつなぐ空間
2009年7月14日
ヒミングアートセンターの前で会話を弾ませる人たち=氷見市で
写真
氷見市のアートNPOヒミングの活動拠点がヒミングアートセンター。蔵を改造したこの場所が、地域の人らが集うコミュニティーセンターの役割も担っているという。
氷見市を流れる上庄川の河口にたたずむヒミングアートセンター。近所のおじちゃんたちが「おうっ、今日はどうや」と声をかけて入って来る。蔵の大家さんも交え、お客さんも一緒にわいわいとにぎやかに話が弾む。ちょっと氷見に来ただけじゃ味わえない会話がここにはある。アートセンターは現代美術の展覧会を開きレクチャーやワークショップも行う場所。でも、コミュニティーセンターとしての役割も大いに担っている。
そもそもこの場所は、メンバーのアーティスト平田哲朗が大家さんや近所の方との会話から蔵と場所の歴史や思いを知り、それを反映した形に改修した。改修の間、みんなが進行具合を見にやって来る。そうして蔵のこと、場所のことを、いろいろ伝えてくる。その会話自体が価値ある空間作品に見えた。
オープン後は子どもたちもやって来る。自転車をこぐと発電して電車が動いたり風船が膨らんだりする創作自転車の展覧会を開いたとき、近所の男の子は「僕が作ってほしい自転車」だと、発電して流しそうめんができる機械を紙に書き始めた。こちらからなにか提案したわけではないのに、何かを受け取ってくれた。
それからも彼はしょっちゅうヒミングにやって来る。そして、おじちゃんたちがくれたカキをほおばりながら、どうやって殻を開けるかを見ている。ささいな会話から自分が暮らしている場所のことをより深く感じるんだなと思う。最高の空間だと思う瞬間だ。
ふらっと氷見に来た人も入りやすいようカフェスペースがあったり、上映会を月に一回開いたり。氷見在住で常連になった外国人が、気ままに話す英会話教室を企画したりと、さまざまなことが起こり人と人をつないでいく。
環境が人にとても影響を与えると思うことがある。だから、ここでの話のやりとりや、この場所で起こることが未来をつくる。そんな現在進行形のコミュニティースペースになるといいなと思っている。 (アートNPOヒミング代表 高野織衣)
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アートNPOヒミング(5) 人と人をつなぐ空間
2009年7月14日
ヒミングアートセンターの前で会話を弾ませる人たち=氷見市で
写真
氷見市のアートNPOヒミングの活動拠点がヒミングアートセンター。蔵を改造したこの場所が、地域の人らが集うコミュニティーセンターの役割も担っているという。
氷見市を流れる上庄川の河口にたたずむヒミングアートセンター。近所のおじちゃんたちが「おうっ、今日はどうや」と声をかけて入って来る。蔵の大家さんも交え、お客さんも一緒にわいわいとにぎやかに話が弾む。ちょっと氷見に来ただけじゃ味わえない会話がここにはある。アートセンターは現代美術の展覧会を開きレクチャーやワークショップも行う場所。でも、コミュニティーセンターとしての役割も大いに担っている。
そもそもこの場所は、メンバーのアーティスト平田哲朗が大家さんや近所の方との会話から蔵と場所の歴史や思いを知り、それを反映した形に改修した。改修の間、みんなが進行具合を見にやって来る。そうして蔵のこと、場所のことを、いろいろ伝えてくる。その会話自体が価値ある空間作品に見えた。
オープン後は子どもたちもやって来る。自転車をこぐと発電して電車が動いたり風船が膨らんだりする創作自転車の展覧会を開いたとき、近所の男の子は「僕が作ってほしい自転車」だと、発電して流しそうめんができる機械を紙に書き始めた。こちらからなにか提案したわけではないのに、何かを受け取ってくれた。
それからも彼はしょっちゅうヒミングにやって来る。そして、おじちゃんたちがくれたカキをほおばりながら、どうやって殻を開けるかを見ている。ささいな会話から自分が暮らしている場所のことをより深く感じるんだなと思う。最高の空間だと思う瞬間だ。
ふらっと氷見に来た人も入りやすいようカフェスペースがあったり、上映会を月に一回開いたり。氷見在住で常連になった外国人が、気ままに話す英会話教室を企画したりと、さまざまなことが起こり人と人をつないでいく。
環境が人にとても影響を与えると思うことがある。だから、ここでの話のやりとりや、この場所で起こることが未来をつくる。そんな現在進行形のコミュニティースペースになるといいなと思っている。 (アートNPOヒミング代表 高野織衣)