たろの日記ページ,gooブログ版

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表現業界の自浄作用

2010-12-08 06:00:00 | 音楽・アート
山口先生が都の非実在犯罪規制について書かれているのを読みました。

東京都が条例でマンガでの性犯罪的な表現を規制しようとする動き,わたしも以前は関心が高く,条例制定に反対してました。が,今は少し関心が下がってます。なので現在の条文を読まずになんとなく思うことを書きます。

わたしもマンガとかアニメは好きだし,その中にある表現の幅が狭まることは望ましくないと思ってます。ただわたしが反対なのは,定義が曖昧なままに規制する事と,今すでにでている作品で良い作品が,その条例の元に規制されてしまう懸念です。新しい作品は,多分条例で規制されれば,表現が変わるだけじゃないか?…と思ってるので,実はあまり心配してません。

とはいえ,上記先生の案を読んでいて,少し疑問が浮かんだのも事実です。条例が曖昧で恣意的に扱われる恐れがあるので反対…というのは賛成です。ただ事業者が自主的に自主規制するというのは,本当にあてになるんだろうか?という疑問は残ります。実際に18禁規制されていない,どこで誰でも手に入るマンガ雑誌における,エロ表現は,この規制が問題になっている間にも過激化が進んでいるようにも思います。厳しくなりそうだから自主規制しようという動きよりも,売れるうちに売っておこう…という風にすら見えます。そういう業界に自浄作用があるんだろうか?…という懸念があります。

規制をしたい人はいろんな思惑があるんでしょうが,中には単純に低年齢の子供に卑猥な表現を見せたくない…という人も多いと思います。そういう人になにかしら安心する約束をせずに,自分達で自主規制するから…と言われても,多分あっさりと納得するとは思えません。そういう歩み寄りが必要なのではないでしょうか?

それから,わたし自身がマンガが好きだから思うのですが,やっぱり今のマンガにおけるエロ表現は,無意味に過激化してるのが多いと思います。もちろん,マンガは表現だから,新しい表現を模索するのも大事だし,エンターティメントとして,お色気を使うのも読む方としても楽しいです。ただ,エロとか暴力とかを使って過激さを表現するのって,たいしたことじゃないと思うのです。ある意味安易すぎる。もちろん,それを使って,本当に質の高い表現をしてる人もいます。でもそうじゃない作品が目につきすぎる…というのが,上に書いた業界の自浄作用に疑問という話です。線が引かれているから,線ギリギリをやってみよう。線を少し向こう側に押してみよう…とやってるだけのようなものも多いです。

わたしは芸術は作家性だと思ってるので,社会が引いた臨界点を踏んで新しい表現…とするのは本質じゃないと思ってます。そういう人は,線を厳しくしても甘くしても,その線の辺りで,表現をするだけですから,別にどこに線を引いてもいいじゃないでしょうか?。

再度書きますが,わたしは過度な規制には反対です。でも無責任な表現の氾濫も好ましくないと思うのです。もし本当に業界に危機感があるのであれば,今この議論がされているこの時に,やれば出来ることを示してみてはどうでしょうか?
コメント
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