光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
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JAM2024に思うこと感じること

2024-09-11 05:42:41 | 思いつくままに・考察
 今回はやや感想めいたはなしから。

 やたら捉えどころのない文章になってしまっていますが、今のわたしにはこれが精いっぱいなのでご勘弁ください。

 今回、わたしがJAMに行きたいと思った理由のひとつは松本吉之氏や須津谷急行の車両展示、そして会場先行発売の小林信夫氏の本の購入がありました。
 この三つはどれもがわたしのホビーライフに少なからず影響を与えた存在でしたし、中でも松本、小林両氏はここ1年ほどの間に相次いで物故されただけに、その足跡を模型と言う形のある展示で偲びたいという思いもありました。

 わたしがこの趣味の中断中に手にした「鉄道模型考古学」はわたしにとっては中断期間中もこの趣味への興味と関心をつなぎとめたばかりでなく、趣味の再開後の方向性を決定づけた点でも大きな影響を与えたものでしたし、須津谷急行が掲載されていたGMのカタログは50年経た今でも私の宝物にして一種の経典となっています。
 亡くなる直前までTMSで活動されていた小林氏の功績は言うまでもありません。

 これらの展示や復刻はいずれも鉄道模型やHO/Nゲージなどの黎明期から勃興期にかけての進化の軌跡を俯瞰している性格を併せ持つもので、その意味からも単なる追悼以上の意味のある物だったのではないかと思います。

 何事もそうなのですが、鉄道模型の趣味それ自体も開拓者や先人が幾つものジャンルや新機軸を切り開いて行く中で、深さと広がりを形成してゆく過程を経ています。
 そして趣味のとっかかりの段階でそれらにリスペクトされた層が、成長するにつれて徐々に次代の主役になって行き、更にその後継者たちがまた新たなジャンルや深化を重ねてゆく繰り返しを経ていくものです。

 これはあらゆる「文化」に共通したプロセスであり、先人の残した有形無形の中から何かが次の世代(年齢ではなく新たなビギナーという意味で)に夢を与え、引き継がれてゆく事で次への文化の華が開いて行くものかもしれません。

 松本氏や小林氏の業績のひとつに、自分の年代よりやや上の、それらの先人たちの辿って来た進化のプロセスを旧製品の紹介とか、趣味のコンセプトの変化という形で文章化、書籍化する事で、次世代に興味と意欲を繋げてゆく橋渡しの役割となった事が上げられると思います。

 数年前からJAMでもこれらの先人を偲ぶ形の展示がいくつかありましたが、鉄道模型全般のイベントの中でこうした時代の節目を感じさせる展示・企画が続いている事は、次代のビギナーの中の何人かにでも夢と意欲を与えている点で大きな意味を持っていると思います。

 鉄道模型の趣味もこれまで紹介したレイアウトや車両模型のジャンルがあらゆる方向に広がりを見せる中、一方で趣味の原点回帰の一環としてこうした回顧展に足を運び、リスペクトされる人も増えています。
 それらを見るにつけ、趣味として80年は経過している鉄道模型のジャンルもようやくここにきて「歴史」とか「文化」を語れる趣味としての厚みと深みを加え始めている事を改めて感じました。


 今回の展示を眺めていてふと、そんな事を思ったりしました。