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2023年12月25日 弁理士試験 代々木塾 補償金請求権

2023-12-25 07:43:21 | Weblog
2023年12月25日 弁理士試験 代々木塾 補償金請求権


問題


 次の記載は、適切であるか。


 特許出願Aの特許出願人甲は、第三者である乙に対し、出願公開があった後に特許出願Aに係る発明イの内容を記載した書面を提示して警告をした。
 警告後、甲は、特許出願Aの出願審査の請求をし、特許請求の範囲に記載された発明イを発明ロに補正をし、特許をすべき旨の査定を受け、特許権の設定の登録をした。
 乙が警告を受けた後、特許権の設定の登録前に業として発明ロを実施した場合に、乙に対し特許法第65条第1項に規定される補償金の支払を請求するために、甲は、出願公開後の警告に加え、補正後の発明ロに基づいて再度警告することが必要となる場合がある。


解答


 昭和63年7月19日 最高裁判決 補償金請求権と補正
 実用新案登録出願人が出願公開後に第三者に対して実用新案登録出願に係る考案の内容を記載した書面を提示して警告をするなどして、第三者が右出願公開がされた実用新案登録出願に係る考案の内容を知つた後に、補正によつて登録請求の範囲が補正された場合において、その補正が元の登録請求の範囲を拡張、変更するものであつて、第三者の実施している物品が、補正前の登録請求の範囲の記載によれば考案の技術的範囲に属しなかつたのに、補正後の登録請求の範囲の記載によれば考案の技術的範囲に属することとなつたときは、出願人が第三者に対して実用新案法一三条の三に基づく補償金支払請求をするためには、右補正後に改めて出願人が第三者に対して同条所定の警告をするなどして、第三者が補正後の登録請求の範囲の内容を知ることを要するが、その補正が、願書に最初に添附した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において補正前の登録請求の範囲を減縮するものであつて、第三者の実施している物品が補正の前後を通じて考案の技術的範囲に属するときは、右補正の後に再度の警告等により第三者が補正後の登録請求の範囲の内容を知ることを要しないと解するのが相当である。第三者に対して突然の補償金請求という不意打ちを与えることを防止するために右警告ないし悪意を要件とした同条の立法趣旨に照らせば、前者の場合のみ、改めて警告ないし悪意を要求すれば足りるのであつて、後者の場合には改めて警告ないし悪意を要求しなくても、第三者に対して不意打ちを与えることにはならないからである。


 甲は、乙に対し、特許法65条1項の警告をした後、特許請求の範囲に記載された発明イを発明ロに補正をしているので、その補正がもとの特許請求の範囲を拡張、変更するものであつて、乙の実施している対象製品又は対象方法が、補正前の特許請求の範囲の記載によれば発明ロの技術的範囲に属しなかつたのに、補正後の特許請求の範囲の記載によれば発明ロの技術的範囲に属することとなつたときは、甲が乙に対して特許法65条1項に基づく補償金の支払の請求をするためには、当該補正後に改めて甲が乙に対して特許法65条1項の警告をするなどして、乙が補正後の特許請求の範囲の内容を知ることを要する。


 よって、本問の記載は、適切である。




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