今年のアニメ、今年のうちに。今回はTBSで放映された「うみものがたり~あなたがいてくれたコト~」とローカル局で放送された「涼宮ハルヒの憂鬱 新アニメーション」の最終回を視聴したのでそちらの感想を書いてみたいと思います。
「うみものがたり~あなたがいてくれたコト~」…三洋物産の超人気パチンコ作品「海物語」を原案にしたアニメーション作品で、アニメ制作はZEXCSです。癒し系アニメの傑作「ARIA」で監督を務めていた佐藤順一氏が再び監督を務めたこの作品の第1話は、原作の海物語とはほぼ完全に別物と化した魔法巫女ファンタジーもので、悪の化身セドナが復活するところから始まっていました。
2話以降は復活したセドナの闇の力に対抗するために海の巫女マリンと空の巫女夏音が巫女の力に目覚めて、セドナに操られた海の生き物たちの心を取り戻すために戦うストーリーが展開されていましたが、見事なまでに原作の海物語とキャラクターデザインも設定も別物で、妹のウリンなど原作のパチンコにいないオリジナルキャラクターもいました。かろうじて残っているのはマリン・ワリン・サムくらいでここまで別物ならばオリジナルでも良かったのではと思うことも少々ありました。
しかし純粋に魔法巫女ファンタジーものとして見てみるとこれがかなり作りが丁寧で、作画は非常に良く最後まで安定してたし、沖縄をモデルにしていて実際にロケまで行って方言や訛りまでも忠実に再現してたし、音楽も「ARIA」と同じように弦楽器をベースに明るい曲から暗い曲まで多彩で良い曲だったし、正直なところ思っていたよりかなり良かったです。
さりげなくしゃべる亀と同居したり一緒に漬け物を食ってたりするシュールな場面もあり、ヒロインの一人夏音が巫女とは思えないほどの邪悪なオーラを持っていたりと面白い部分もあり、前評判に反して予想以上に素晴らしい作品でした。
終盤には佐藤順一監督作品では初めてみた直接対決のバトルシーンがありましたが、ものすごく気合いが入った作画でびっくりしつつ、最終回は専用の特別オープニングが流れ最後をちょっともの悲しくも見事に締めていたので全体的に良い作品だったと思います。
あえて気になったというかちょっと残念だったのは、意表を突く展開や思わず続きが気になるという話はあまり無かったので見ていてちょっと退屈を感じるシーンが多かったところでしょうか。でも全体的に落ち着いた感じの作品だったのでかえってこのくらいが丁度良かったかもしれません。
余談ですがこのアニメの原作となった「海物語」シリーズの最新作「CR スーパー海物語in沖縄2」で、歴代で初めてアニメーション演出が導入されたんですが、そのアニメーションがご覧の通りでどうやらテレビで放映されたこのアニメ作品は黒歴史だったようです。
しかしこのテレビ放映されたほうの絵がパチンコで出たほうが困るか。
「涼宮ハルヒの憂鬱 新アニメーション」…谷川流の超人気ライトノベル「涼宮ハルヒの憂鬱」のアニメ化第2期作品で、アニメ制作は京都アニメーションです。第1期で異例の大ヒットを飛ばして海外にまで影響を与えたこの作品、第1期から実に3年ぶりとなる新作ということで前評判は極めて高く春アニメ…いや2009年の大本命と言われていたこの作品、今回は前作14話+新作14話を加えて時系列順に再構築して放映…と最初から今までにない放映をしてきました。
今回の新作では時系列順ということで最初は「涼宮ハルヒの憂鬱」をⅥまで一気に放映していました。そのためいつになったら新作が放映されるのかとネットで議論になっていた当時、テレビ和歌山で番組表に「涼宮ハルヒの憂鬱 笹の葉ラプソディ」と情報が流出するという出来事があり(角川の自作自演説もある)、最速で放映されるサンテレビを受信できるホテルに遠征する猛者まで現れるという異例の事態にまで発展していました。
こうしてついに新作「笹の葉ラプソディ」が放映された当時は実況含めアニメ関連のニュースでは大いに盛り上がり、涼宮ハルヒ人気がいまだに健在で根強いファンがいることが証明されていました。その後「孤島症候群」や「ミステリックサイン」と第1期の作品が放映されたあとに、次の新作が来たわけです。
そして次に放映されたのが今年最大の問題作「エンドレスエイト」でした。最初の1話は「ハルヒの水着エロい!」などと話題になりその回はそのまま普通に終わっていましたが、次の回もまた冒頭からキョンのところにハルヒから電話がかかり、「あれ?先週と同じじゃん?」と視聴者が思いはじめ、そして再び次の週もハルヒから電話がかかる…というストーリーが延々と毎週繰り返されていてネットでは大きな話題になっていました。
登場人物の服装や視点は毎回全然違うし、台詞も毎回撮り直しているのはわかりましたが、いくらなんでもほぼ全く一緒のストーリーを延々と繰り返す行為に実況は阿鼻叫喚でした。数々の地雷アニメを見続けてきた自分でも4週目あたりから頭が痛くなってきたのでリアルタイムで見ていた人はいつ終わるか分からなかったため相当なダメージだったと思います。元京都アニメーション所属で涼宮ハルヒ人気に最も貢献した一人山本寛も「あれは2回が限度」と発言しネットではさらに議論に。自分もあれはいくらなんでもやりすぎだと思います。例えるならサウンドノベル「かまいたちの夜」でサバイバル・ゲームに毎回行ってしまうかんじでした。
その後の新作「涼宮ハルヒの溜息」ではハルヒが朝比奈ミクルに対して○○をさせようとしたりしてもうキョンも視聴者も怒りが有頂天状態になっていましたが、朝比奈ミクルの冒険の撮影エピソードが明かされていて結末も良かったと思います。しかし先のエンドレスエイト事件があり、3年前と違い今年は「化物語」という話題作もあったことから今回のこの作品は非常に評判が良くなく、涼宮ハルヒ人気は相当落ちていたようでした。
そして涼宮ハルヒシリーズで最高傑作と呼ばれ、今回の新アニメーションで放映が期待されていた「涼宮ハルヒの消失」は結局やらないまま最終回を迎えてしまい、視聴者が落胆したときに最後の最後で
特報「涼宮ハルヒの消失」映画化決定!と告知されました。
「エンドレスエイト」以外話題になるものは無かったし、正直3年ぶりの新作でこの結果は期待はずれでした。おそらく来年の「涼宮ハルヒの消失」の出来次第でこの作品の運命は決まるんじゃないでしょうか。
余談ですが今回の「エンドレスエイト」、BDのリリース予定は無くDVD発売のみで、しかも2話収録で5079円(amazon価格)という超強気な価格です。角川恐ろしや。