2010年冬・アニメ最終回の感想文その5

2010-03-15 23:58:08 | 2009年秋アニメ関連

 そろそろ月末には冬アニメが終わりますが、まだまだチェックするべきアニメは残っています。今回は年末に最終回を迎えた日テレ深夜アニメ「青い文学シリーズ」の最終回を視聴したのでそちらの感想を書いてみたいと思います。

Aoibungaku Aoibungaku1 「青い文学シリーズ」…集英社文庫の「夏の一冊 ナツイチフェア」企画と、太宰治生誕100周年を機に制作されたアニメ作品で、アニメ制作はマッドハウスです。夏目漱石や太宰治の代表作を、ジャンプの作家が表紙を描き下ろしたことにより始まったこの企画、第1話では太宰治の代表作「人間失格」から始まっていました。ここからは登場した作品順に感想を書いてみたいと思います。

Aoibungaku2 Aoibungaku3 まず最初に始まったのが太宰治の「人間失格」、キャラクター原案は「DEATH NOTE」や「バクマン」の小畑健でした。

この作品がこのシリーズで一番気合いが入っていた作りで、4話構成で一番尺が長かったです。そしてとにかく暗い作風で原作の雰囲気を良く出していたと思いました。主人公大庭葉蔵がバーのマダムや未亡人などと次々とフラグを立てていくのはうらやましくもありましたが、人間不信に陥ってもまだ人間として生きようとする大庭葉蔵が良く描かれていたと思います。こういうアニメを視聴率や売り上げ度外視で作る日テレ深夜アニメは大好きです。この「人間失格」は後日ディレクターズカット版が一部劇場で公開されていました。

Aoibungaku4 Aoibungaku5 続いて始まったのが坂口安吾の「桜の森の満開の下」、キャラクター原案は「BLEACH」の久保帯人でした。

この作品がシリーズで最も原作からアレンジされていると思われます。なんせ彰子役の水樹奈々がミュージカルで歌ったりしていたので、さすがにこれは原作では無いと思いました。しかも主人公繁丸が嫁数人を斬り殺す描写がありかなりグロかったです。これは正直微妙…というか意味不明でした。

Aoibungaku6 Aoibungaku7 その次に始まったのが夏目漱石の「こころ」、キャラクター原案は小畑健でした。

この回は1時間スペシャルで、最初の30分で原作に大体合わせた流れで終わり、後半の30分は原作とはひと味違い主人公の親友Kの視点で物語が独自の解釈で描かれるという今までに無かった作りで結構面白かったです。この原作は高校の時教科書で読んでいたのでちょっと懐かしかったりしました。

Aoibungaku8 Aoibungaku9 次に始まったのは太宰治の「走れメロス」、キャラクター原案は「テニスの王子様」の許斐剛でした。

こちらも原作から大胆なアレンジが施され、メロスがセリヌンティウスを助けるために都まで走るという原作通りの展開は舞台で行い、その裏で主人公が原作の「走れメロス」を執筆し、友人がそれを演じるために主人公の元に帰ってくる…といったかんじのひと味違った作品となっていました。しかし現実と舞台がごちゃまぜになって面白かったんですが良く分かりませんでした…。

そして最終話も1時間スペシャルで、前半では芥川龍之介の「蜘蛛の糸」、後半は「地獄変」で、キャラクター原案はどちらも久保帯人でした。

Aoibungaku10 Aoibungaku11 冒頭の説明でもあったんですが、道徳の授業で誰もが教わる児童小説が「蜘蛛の糸」だそうです。たしかに自分も小学生のとき読んだ覚えがありました。こちらの「蜘蛛の糸」は久保帯人のアレンジはほとんど無く結構普通に原作通りの内容でしたが、かなり人が死んで流血シーンが多かったです。

Aoibungaku12 Aoibungaku13 そして後半の「地獄変」、さりげなく前半の「蜘蛛の糸」と設定が少しリンクしていました。芸術に全てを捧げた親子の生き様が描かれていて、終盤の展開はすさまじく画面に釘付けになってしまい、こういうアニメは最近まず無いので衝撃的でした。

アニメ本編が始まる前に太宰治や夏目漱石の経歴や作品の説明が軽くあったりしたので、あまり小説を知らなくても作品ができるまでの過程がある程度分かったし、尺が短いと思うところも多かったですが主要なところは押さえてあったので全体的に良くできていたシリーズでした。しかし「桜の森の満開の下」だけは別すぎてなんとも。


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