ミャンマーチーク屋さんのわが道を行く

日々の出来事と旅と愚痴と文句を勝手に語る日記。

バックパッカーの人類学

2012-10-02 21:28:07 | 
「旅を生きる人々」大野哲也著を読んだ。

確か3ヶ月くらい前に、朝日新聞の書評に掲載されていて、なんでもバックパッカーを学術的に
考察した云々…という触れ込みだったので、面白かと思い読んでみた。

が、これがまったくのダメ本だった。

一応人類学の観点からの研究ということを謳っているにもかかわらず、海外での調査は、サンプル調査に
7年もかけたわりには、データをとった相手はたったの43人で、しかもそのデータは、本書のインタビュ
ーを読む限りでは浅はか限りない。こんなの安宿に一週間もいれば、このくらいの話は山ほど聞ける程度
のもである。

現在のバックパッカーのスタイルを移動型、沈没型、移住型、生活型(ずっと旅を続けようとする職業的
バックパッカー)の4つに分類して話を展開しているのはまぁ、いい。今や旅のスタイルも多様化している
のはわかる。しかし、「バックパッキングによって多様なアイデンティティが生み出され、それによって
人々の生も多様化され、それが社会に風穴をあけて云々…そして新しい社会への変革が展望できるのである
」とまとめるのはいいが、バックパッカーごときに新しい社会への変革など、展望できるとはどう考えても
ありえないし、社会に風穴など絶対にあかない。

そもそも、バックパッカーなど一般社会から見れば、そこから脱落した日蔭の存在であり、国を発展させ
るという側面からしても、税金や社会保障費などを出来る限り納めようとしないまったく役に立たない厄介
者である。そのくせ、変に世界を知った気になり屁理屈だけは達者だから、余計にたちが悪い。
それに、多くのバックパッカーは、多様なアイデンティティなどどうでもよく、ただ単に、「楽に生きたい」
だけである。この辺は、自分がそうであったのと、旅先で出会った多くの人らと接してみて感じたことである。
(もっとも、これに当てはまらない人も少なからずいた。)

従って、バックパッカーの行動様式をあたかも難しい言葉で学術的に述べようとすることに、全く意味はなく
また、無理があるように思えてならなかった。

これが著者の個人的な体験記というなら、まぁ、、許せるが、著者はこれをフィールド調査の結果で学術的考察
したなどとのたまうので冷めた目でみてしまうのかもしれない。

また、これが、2415円(税込)(高い!)というのも許せない一因かもしれない。

とはいっても、あくまでも、個人的主観である。
CENTER>


コメント    この記事についてブログを書く
« ビルヂング | トップ | 3枚1000円 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿