忘却への扉

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果てしない電脳の海の入り口

2015-04-16 | 追憶
 【 地軸 】 2015/4/14 地方紙1面下段コラムより

 [「最近は『お上りさん』も上じゃなく下を見てます」。テレビの声に、そういえばと膝を打つ。道に迷い、あるいは景色が珍しくて上ばかり向いていたのは一昔前。今は皆うつむき、小さな画面をのぞいている。
 ▲スマートフォンは、果てしない電脳の海の入り口。便利この上ない「道具」ではあるが、気付けば人の方が操られ、おぼれていく。国の推計では、日本人の30人に1人がインターネット依存傾向。旅先で街角で、友の顔も空の色も見ようとしない後ろ姿を、惜しむ。
 ▲「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」。信州大の学長が入学式で学生に問いかけた。言葉は刺激的だが、功罪を知って自覚的に使いこなし、一人きりで考える静かな、豊かな時間も大切に―との含意はよく伝わる。
 ▲学生が生まれるずっと前、1983年のCМ「覚せい剤やめますか? それとも人間やめますか?」を思い出す。日本初の肩掛け型携帯電話が世に出たのは、その2年後。道具はSFさながらに進化し続ける一方で、人の心の弱さはさして変わらない。距離は開くばかり。
 ▲「受話器まだてのひらに重かりしころその漆黒は息に曇りき」大辻隆弘。黒々と重い家の電話と、軽く色鮮やかな「ケータイ」と。良くも悪くも、話される言葉や息づかいは異なろう。
 ▲たまにはスマホを休み、上を向いて歩きたい。誰かにたやすく伝えられない体験や思いを、心の糧にするために。]
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