忘却への扉

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それでも戦前を夢見る安倍政権

2014-08-03 | 平和を
 《 言 論 》 『 新アメリカ財団 戦略問題部長 スティーブン・クレモンス 』 【 米の影響力衰退 】 《 即効薬なく混乱続く 》 2014/7/31 地方紙記事より
 [ヒマラヤ、富士山はその大きさゆえに周囲の天候に影響を与える。同様に超大国は世界に影響を及ぼしてきた。しかし、超大国であれ、帝国であれ、国家の栄枯盛衰は地形の変動より圧倒的に早い。
          安保の大転換
 長年、米国の緊密な同盟国は米国の築き上げた安全保障、経済上の領域内で活動してきた。かつての敵である日本とドイツもアジア、欧州で強固な同盟となり、イスラエルは米国の援助を頼り、サウジアラビアも米国に依存している。
 この4カ国は興味深い。最後は米国が守ってくれるという信頼感を基盤にして米国と契約を交わし同盟国になり、そして繁栄を享受してきたからだ。
 20世紀、米国は国際機関の創設や他の国際的な活動で主導的な役割を果たしてきたが、こうした時代は終わりを迎えつつある。米国の影響力は衰退し、世界は混乱、混沌(こんとん)の最中にある。そして、同盟国も敵も米国の影響力の縮小を受けて、行動の仕方を変えているのが実態だ。
 ロシアはクリミアを併合した。中国は南シナ海、東シナ海で領土の拡大を主張しているためベトナム、日本などが警戒感を強めている。安倍晋三首相は集団的自衛権の行使容認により日本が同盟国である米国や他の国が攻撃されたあ場合に、軍事的に支援できるのだと宣言し、これまでの制約を振り払ったこれは日本の安全保障政策の大転換と言える。
 アフリカではナイジェリアやスーダンなどがイスラム過激派の伸長に苦しみ、リビアはカダフィ政権の全体主義から今は無政府状態に陥っている。[アラブの春]を経験したエジプトはかつてこの国を支配したような強権的な新大統領が登場し、イスラエルとパレスチナは戦争状態に入っている。過激派の「イスラム国」はイラクの存続を脅かしている。これはイスラム教スンニ派とシーア派の戦争と言えるかもしれない。
 皮肉にも世界の秩序に動揺と不安を与えている変化は北朝鮮やイランといった敵からではなく、意外にも同盟関係からきている。
 例えば、中国の台頭を目の当たりにするアジアでは米国は同盟国として本当に頼っていいのかという疑問が浮かんでいる。安倍首相はドイツのヒトラー政権に対する融和政策を批判したチャーチル英首相と同じ対応を取っている。日中全面対決の懸念を持つ安倍首相は日米の結束を願う一方で、米国に頼らない戦略も臨もうとしているのだ。
 ブラジルやインド、日本、欧州各国は市場経済、民主主義の促進や温暖化対策、対テロという多くの課題で米国と共同歩調を取ってきた。だが、米国が衰退している中で、自己達成できる目標を新たに掲げ始めている。超大国が存在しない世界は地域ごとに力の均衡を実現しようとする動きがあり、それが失敗しては新たな不安定をもたらすのだ。
 即効薬はなく混乱は続きそうだ。世界はこれまでの秩序という惰性で飛び続けることはできない。昨日したことを明日もなぞらえる手法は通用しないのだ。
 米故国の衰退はオバマ大統領の失敗ではない。イラク、アフガン戦争後、ブッシュ政権は米国にも軍事的限界があることを示した。無限大の力を持っていた米国が疲弊するのを見て、同盟国は米国に頼らなくなってきた。
 また、米国は2008、09年のサブプライム危機で経済的ウイルスを世界にまん延させた。経済をどう回していくのかという点で。米国の信用は失われ、中国の株を引き上げたのである。
          道徳観も弛緩
 米国の道徳観も弛緩(しかん)している。米国市民に対するスパイ活動や捕虜への不当な扱い、無人機による市民を含む非合法な殺害が行われてきたからだ。米国と主要同盟国との信頼関係は打ち砕かれた。このことを疑問に思うなら米情報機関がスパイ活動をしていたドイツに尋ねたらいい。
 今は世界の地政学、経済の強弱を見つめ直す必要がある。国際情勢は変わってきたし、予測不能になってきた。これに対処する答えは簡単に見つからない。もはや力の均衡が保てない状態で今後、多くの混乱や紛争を経験するかもしれない。]

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