忘却への扉

 日記? 気づいたこと 何気ないひとこま 明日への伝言 願い 子供たちに 孫たちに そしてあなたに・・ 

弱点は立ち位置

2014-02-13 | 平和を
 《 日本、対中反論本格化 》 【 「歴史」避け軍拡矛先 】 《 周辺国 応酬激化を懸念 》 2014/2/12 地方紙記事より
 [日本政府が、安倍晋三首相の靖国参拝に絡めて対日非難を繰り返す中国への反論を本格化させている。中国が仕掛ける歴史認識論には深入りせず、「高圧的」(防衛白書)な中国の対外姿勢と軍拡路線に批判の矛先を向ける戦略だ。中国の軍事動向に警戒を強める国際社会を味方につける狙いがある。ただ、周辺国からは日中の応酬激化を懸念する声も出そうだ。
 「不透明な軍事費増大と、東シナ海などでの一方的な現状変更の試みを中止すべきだ」。南米コロンビアで、中国を厳しく批判する渡部和男駐コロンビア大使の寄稿文が5日付の現地週刊誌「セマナ」に掲載された。中国の駐コロンビア大使が1月26日付同紙に首相参拝を非難したことへの対抗措置だ。
 《 首相の意向 》
 外務省によると、各国に駐在する日本の外交官が海外メディアに出した同種の寄稿文やコメントは、2月10日現在で58件に達し、中国の69件に近づきつつある。外務省幹部は「売られたけんかは買う」と力を込める。
 日本がボルテージを上げる背景には、首相自身の意向がある。1月上旬、外務省に「しっかり反論し、中国の誤りを国際社会に伝えるべきだ」と指示。16日には佐々江賢一郎駐米大使が米誌への寄稿で「中国と違い、日本は戦後、戦いで弾を一発も撃っていない」と強調し、旧ソ連やベトナムと紛争を繰り返してきた中国を痛烈に皮肉った。
 安倍政権は、歴史問題に関し「日本は戦後一貫して平和路線を歩んできた」(菅義偉官房長官)と説明することで、国際社会の理解を得たい考えだ。
 《 言動「弱点」 》
 だが、靖国神社参拝に加え、首相自身の言動が「弱点」になっている面もある。首相は「日本が侵略しなかったと言ったことはいままで一度もない」と説明しながらも、昨年4月には「『侵略』という定義は国際的にも定まっていない」と答弁した経緯があり、歴史認識をめぐる立ち位置の分かりにくさは否めない。
 中国はこうした点を突き「安倍首相は侵略を認めようとしない」と主張、正解各地の在外公館を総動員して「日本は軍国主義復活を目指している」とのプロパガンダを展開している。
 日本政府筋は「歴史論争に引き込まれると危険だ。言葉尻を捉えて非難したい中国の術中にはまりかねない」と警戒する。首相の言動が一因だけに、政府は中国に反論する際に軍拡を対象とせざるを得ないとの事情もある。
 《 見えぬ兆し 》
 中国は6日まで続いた春節(旧正月)後も「日本たたき」をやめる気配は見せない。習近平国家主席は6日の中ロ首脳会談で「来年、抗日戦争の70周年を祝う行事を共同開催しよう」と事実上の対日共闘を呼び掛けた。
 来年は日本が1915年に山東省の旧ドイツ利権の譲渡などを求めた「対華二十一カ条要求」から100年、終戦から70年に当たり、中国で半日世論が一段と盛り上がる公算が大きい。
 外務省は「米国や東南アジア諸国が日中対立の激化を心配しているのは事実」と話すが、沈静化の兆しは見えない。]

小さなおうち

2014-02-13 | 共に
 《 百科争明 》 【 条文「その他」検閲拡大 秘密法に重なる怖さ 】 《 戦前の映画法 》 地方紙記事より
 [ゼロ戦設計者の青春を描いた「風立ちぬ」、特攻隊員だった祖父の足跡を追う「永遠の0」、戦争が日常を侵食してくる不気味さを描いた「小さなおうち」。戦争へ向かう時代を背景にした日本映画が最近、次々に公開されている。
 「あの時代」に対する評価には、それぞれの違いがある。だが、戦争を実際に体験した人が少なくなる中で、歴史の真実を今に伝えたいという思いは、度の制作者にも共通しているようだ。
 ところで、これらの映画が描いている戦前の日本に、映画法というとんでもない法律があったのはご存じだろうか。
 映画法は、ナチス・ドイツにならい、映画を政府の統制下においてプロパガンダに活用とする狙いで制定され、1939年に施行された。
 「国民文化の進展に資するため映画の質的向上を促し映画事業の健全なる発達を図ることを目的とす」とうたった法律を、当時のマスコミは「わが国最初の文化立法と期待した。国家の保護を受けられると期待した映画業界からも歓迎の声が上がったという。
 だがこの法の「脚本の撮影前届出」という事前検閲を定めた条文が、映画の自由を奪っていく。検閲の不合格事項は「皇室の尊厳を冒瀆(ぼうとく)しまたは帝国の威信を損する恐れのあるもの」」から始まり「製作技術著しく拙劣なもの」「その他国民文化の進展を阻害するおそれあるもの」まで7項にわたった。気付いた人もいるだろう。昨年成立した特定秘密保護法の条文に多用され、拡大解釈の根拠になりかねないと指摘された「その他」という表現が、ここでも効果的に使われているのだ。
 戦局悪化に伴い、戦意高揚映画が求められる。映画法に基づきいかにばかげた検閲が行われたか。黒沢明監督は回顧録「蝦蟇の油」でこう書いている。「時の権力に飼い馴らされた木端役人ほど怖いものはない」「彼等のことを思い出すと、思わず体が慄えて来る」
 安倍晋三首相は特定秘密保護法は「一般の国民に悪い影響が出ないことを約束する」と言っている。だが、法律は独り歩きすることがある。そのことを戦後直ちに廃止された映画法は教えている。同じ過ちを繰り返してはならない。] (共同通信編集委員 立花珠樹)