《 日本、対中反論本格化 》 【 「歴史」避け軍拡矛先 】 《 周辺国 応酬激化を懸念 》 2014/2/12 地方紙記事より
[日本政府が、安倍晋三首相の靖国参拝に絡めて対日非難を繰り返す中国への反論を本格化させている。中国が仕掛ける歴史認識論には深入りせず、「高圧的」(防衛白書)な中国の対外姿勢と軍拡路線に批判の矛先を向ける戦略だ。中国の軍事動向に警戒を強める国際社会を味方につける狙いがある。ただ、周辺国からは日中の応酬激化を懸念する声も出そうだ。
「不透明な軍事費増大と、東シナ海などでの一方的な現状変更の試みを中止すべきだ」。南米コロンビアで、中国を厳しく批判する渡部和男駐コロンビア大使の寄稿文が5日付の現地週刊誌「セマナ」に掲載された。中国の駐コロンビア大使が1月26日付同紙に首相参拝を非難したことへの対抗措置だ。
《 首相の意向 》
外務省によると、各国に駐在する日本の外交官が海外メディアに出した同種の寄稿文やコメントは、2月10日現在で58件に達し、中国の69件に近づきつつある。外務省幹部は「売られたけんかは買う」と力を込める。
日本がボルテージを上げる背景には、首相自身の意向がある。1月上旬、外務省に「しっかり反論し、中国の誤りを国際社会に伝えるべきだ」と指示。16日には佐々江賢一郎駐米大使が米誌への寄稿で「中国と違い、日本は戦後、戦いで弾を一発も撃っていない」と強調し、旧ソ連やベトナムと紛争を繰り返してきた中国を痛烈に皮肉った。
安倍政権は、歴史問題に関し「日本は戦後一貫して平和路線を歩んできた」(菅義偉官房長官)と説明することで、国際社会の理解を得たい考えだ。
《 言動「弱点」 》
だが、靖国神社参拝に加え、首相自身の言動が「弱点」になっている面もある。首相は「日本が侵略しなかったと言ったことはいままで一度もない」と説明しながらも、昨年4月には「『侵略』という定義は国際的にも定まっていない」と答弁した経緯があり、歴史認識をめぐる立ち位置の分かりにくさは否めない。
中国はこうした点を突き「安倍首相は侵略を認めようとしない」と主張、正解各地の在外公館を総動員して「日本は軍国主義復活を目指している」とのプロパガンダを展開している。
日本政府筋は「歴史論争に引き込まれると危険だ。言葉尻を捉えて非難したい中国の術中にはまりかねない」と警戒する。首相の言動が一因だけに、政府は中国に反論する際に軍拡を対象とせざるを得ないとの事情もある。
《 見えぬ兆し 》
中国は6日まで続いた春節(旧正月)後も「日本たたき」をやめる気配は見せない。習近平国家主席は6日の中ロ首脳会談で「来年、抗日戦争の70周年を祝う行事を共同開催しよう」と事実上の対日共闘を呼び掛けた。
来年は日本が1915年に山東省の旧ドイツ利権の譲渡などを求めた「対華二十一カ条要求」から100年、終戦から70年に当たり、中国で半日世論が一段と盛り上がる公算が大きい。
外務省は「米国や東南アジア諸国が日中対立の激化を心配しているのは事実」と話すが、沈静化の兆しは見えない。]
[日本政府が、安倍晋三首相の靖国参拝に絡めて対日非難を繰り返す中国への反論を本格化させている。中国が仕掛ける歴史認識論には深入りせず、「高圧的」(防衛白書)な中国の対外姿勢と軍拡路線に批判の矛先を向ける戦略だ。中国の軍事動向に警戒を強める国際社会を味方につける狙いがある。ただ、周辺国からは日中の応酬激化を懸念する声も出そうだ。
「不透明な軍事費増大と、東シナ海などでの一方的な現状変更の試みを中止すべきだ」。南米コロンビアで、中国を厳しく批判する渡部和男駐コロンビア大使の寄稿文が5日付の現地週刊誌「セマナ」に掲載された。中国の駐コロンビア大使が1月26日付同紙に首相参拝を非難したことへの対抗措置だ。
《 首相の意向 》
外務省によると、各国に駐在する日本の外交官が海外メディアに出した同種の寄稿文やコメントは、2月10日現在で58件に達し、中国の69件に近づきつつある。外務省幹部は「売られたけんかは買う」と力を込める。
日本がボルテージを上げる背景には、首相自身の意向がある。1月上旬、外務省に「しっかり反論し、中国の誤りを国際社会に伝えるべきだ」と指示。16日には佐々江賢一郎駐米大使が米誌への寄稿で「中国と違い、日本は戦後、戦いで弾を一発も撃っていない」と強調し、旧ソ連やベトナムと紛争を繰り返してきた中国を痛烈に皮肉った。
安倍政権は、歴史問題に関し「日本は戦後一貫して平和路線を歩んできた」(菅義偉官房長官)と説明することで、国際社会の理解を得たい考えだ。
《 言動「弱点」 》
だが、靖国神社参拝に加え、首相自身の言動が「弱点」になっている面もある。首相は「日本が侵略しなかったと言ったことはいままで一度もない」と説明しながらも、昨年4月には「『侵略』という定義は国際的にも定まっていない」と答弁した経緯があり、歴史認識をめぐる立ち位置の分かりにくさは否めない。
中国はこうした点を突き「安倍首相は侵略を認めようとしない」と主張、正解各地の在外公館を総動員して「日本は軍国主義復活を目指している」とのプロパガンダを展開している。
日本政府筋は「歴史論争に引き込まれると危険だ。言葉尻を捉えて非難したい中国の術中にはまりかねない」と警戒する。首相の言動が一因だけに、政府は中国に反論する際に軍拡を対象とせざるを得ないとの事情もある。
《 見えぬ兆し 》
中国は6日まで続いた春節(旧正月)後も「日本たたき」をやめる気配は見せない。習近平国家主席は6日の中ロ首脳会談で「来年、抗日戦争の70周年を祝う行事を共同開催しよう」と事実上の対日共闘を呼び掛けた。
来年は日本が1915年に山東省の旧ドイツ利権の譲渡などを求めた「対華二十一カ条要求」から100年、終戦から70年に当たり、中国で半日世論が一段と盛り上がる公算が大きい。
外務省は「米国や東南アジア諸国が日中対立の激化を心配しているのは事実」と話すが、沈静化の兆しは見えない。]