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そうだ、京都に行こう ~その3~

2019年10月25日 | 小旅行を愉しむ
■ 地蔵院(竹の寺)
延命安産の地蔵菩薩を本尊とする臨時禅宗のお寺で、正式名称は衣笠山地蔵院。室町時代の管領・細川頼之が貞治六年(1367年)に夢想国師の高弟宗鏡禅師を招請して伽藍を建立。宗鏡禅師は恩師の夢想国師を開山に仰いだために開山は夢想国師となっている。その後に北朝の三天皇の勅願時に準ぜられたために末寺を26カ寺、諸国に領地を54カ所も持つ一大禅寺となったが、応仁の乱で灰塵と化した。細川家の援助等により明治時代に復旧して今の形になった。「竹の寺」と呼ばれるくらい、門を入った両側には竹がみっしりと植えられている。


庭は十六羅漢の庭と呼ばれる平庭式枯山水庭園で、十六羅漢の修行の形を表しており、石の一つ一つは羅漢(悟りを開いた高僧)を意味している。この寺の羅漢は、男山の八幡宮に願をかけているので、その方向(左手後)に少し傾いているのだそうだ。


茶室の窓の形は猪目窓という名称で、部屋の外の景色が上手に切り取られて愉しめるように考えられている。ちょうど「コケ寺リウム」という催しがなされており、各寺院の象徴的な建物などのジオラマと庭園を苔で再現したガラス容器のミニチュアアートが展示されていた。


こちらが「モシュ印」で、モシュ印&コケ寺リウムのキャンペーンサイトはこちら


一間には、細川護熙元首相の手になる瀟湘八景の図が描かれている。中国・湖南省の瀟水と湘水が合流して洞庭湖に注ぐ地域の勝景八つを選んだものだそうだ。


決して大きな寺ではないが、縁側から庭園をゆったりと眺められる手ごろな寺でした。


■ 西芳寺
苔寺という名称で世に知られている臨済宗の有名なお寺さん。山号は洪隠山で、元々は天龍寺の境外塔頭だったが、現在は離脱して単立寺院になっている。本尊は阿弥陀如来。聖徳太子が創業、8世紀前半に行基が開山。庭園は1339年に夢想国師が中興した鎌倉式で、上段は枯山水式、下段な池泉廻遊式の二段構えになっている。

大通りから10分弱歩いていくと立派な門が見えてきますが、使用している奥にある門から入ります。


拝観時に使用されている門はこちら。


入って左側には本堂、右側には青々とした木々が茂っておりました。








庭園に入る前の休憩所にあった手水鉢。これを見ると、ほっと力が抜けたのがとても不思議。


庭園内は120種類以上もの苔に覆いつくされているそうですが、違いはよく分かりません。庭園下段の中心は心の字を象った黄金池で、2つの茶室があり、一つは湘南亭という国の重要文化財だそうですが、正直言って古く寂れたぼろ屋にしか見えませんでした。


こちらは、もうひとつの茶室である潭北亭。


世界的に有名なお寺であるだけあって、拝観は事前予約が必要。立派なHPがありますが、予約は往復はがきにて受け付けています。私が行ったのは午前10時の会で、70~80人の会でした。外国人も多く、英語圏よりもフランス語圏の方が多かったように思います。庭の参観は写経をしてから許される仕組みで、早めに写経を終わらせた私は暫くは一人で庭を愉しむことができました。

庭の印象はと言えば、確かに苔で覆われた美的な空間なのでしょうが、あちらこちらに茶色になった苔が見られました。昨今の環境変化の影響なのか、それとも維持が追い付いていないのか。写真にあるような緑の苔の絨毯というわけにはいきませんでした。


■ 桂離宮
本日のメインイベントが桂離宮。17世紀初めに建てられた宮家の別荘。総面積は6万9千平米。建築家のブルーノ・タウトが「泣きたくなるほど美しい」と評した日本建築物を始めて見学できることに心が逸る。宮内庁のHPから事前に予約しておいたので、予約時間の12時ちょっと前に現地に到着。

ツアーが始まり、何てことない門をくぐる。


と、そこに広がったのは異次元ワールド。入り口が何気ないだけに、くぐった先に眼前に広がる光景は、広くて鮮やかで息を呑むほど美しかった。前後のギャップが見事なうっちゃりをかましてくれました。






庭園内には4つのお茶室があるのですが、第一の茶室に入る前の控えの場の足元に敷き詰めてある石。道なりが曲線であるために入り口から控えの場が見えず、又控えの場からも入り口を見えなくすることで、それまで属していた空間から切り離される感覚をもたらしてくれる。しかも、足元の石は、小さな石から徐々に大きくすることで遠近法を活かした空間設計がなされているという凝りよう。


自然のままの石と切って加工した石とが組み合わせれ、漢字でいう行書体(茶道でいう真行草の行)にあたる格式を表しているのだという。


そして、いよいよ最初の茶室である松琴亭。




茶室の前に広がる池の景色。




二番目の茶室は賞花亭という名前で、夏を愉しむための作りのために江戸時代の茶店のような佇まい。説明されないと、これが茶室だとは思わない。池を眺めるための休憩所かと勘違いしてしまいそうな簡素な作り。

三番目の茶室は笑意軒。秋を愉しむための茶室なのだとのこと。




笑意軒から右手にある渡橋と池の風景。


離宮にある石灯篭は背が低い。これは、当時の愉しみがお茶、月見、舟遊びであったために、目障りにならないように低くしてあるのだとか。


四つ目の茶室は月波楼。ここの奥座敷からは池は見えず、その代わりに月を眺められるように開放的なつくりになっている。


お泊りになられる新御殿。


新御殿から続く古書院からの出口である中門。




1時間ほどの拝観の間に何度も息を呑みこむほど、この上なく美しく、古来の日本人の風雅な世界が建物と庭園とが一体化した空間芸術として昇華した傑作なのだと思う。


■ 霊亀山天龍資聖禅寺 (天龍寺)
臨済宗天龍寺派の大本山で、1339年に亡くなった後醍醐天皇の菩提を弔うために足利尊氏が創建。開山は夢想国師。


広大というのが第一印象。門をくぐってから左右に塔頭が数多く並んでいる様は、さすがに大本山だと思させるに十分な貫禄があり、拝観する前から期待が盛り上がってくるのが分かる。庫裏の白い壁がシンプルだが力強く印象的で、中に入ると達磨禅師絵と本尊が出迎えてくれる。






大方丈の中にあった雲龍襖絵は若狭物外(わかさぶつがい)画伯が描いたもの。




「方丈」の扁額は関牧翁老師(天龍寺第8代管長)の筆で、中には藤原時代の釈迦如来坐像が安置されている。


大方丈の前にある曹源地の景色が見物でした。池中央正面にある鯉魚石を配した2枚の巨岩を龍門の滝として、龍と化す途中の姿を現している。曹源池の名称は国師が池の泥をあげたとき池中から「曹源一滴」と記した石碑が現れたところから名付けられたという。
正面から見た曹源地。


右側(書院・小方丈)から見た曹源地。嵐山が借景となっている。


左側(大方丈側)から見た曹源地。


広々とした開放的な庭園とそれを縁取る緑の木々が美しく、あちこちに腰かけて見る方向を変えると庭の構図が別のものとなって様々な味わいが愉しめる。日本で最初の史跡・特別名勝指定となったのも頷けるお寺でした。


■ 常寂光寺
1596(慶長1)年に創建された日蓮宗の仏教寺院で、山号は小倉山。百人一首にも読まれた紅葉の名所「小倉山」の中腹にひっそりと佇むお寺ではあるが、山の傾斜を利用してあるために高低差がかなりあって、実際よりも広く感じられる寺です。山門から仁王門、本堂、さらには多宝塔へと続く山道は上り路ですが、青々とした木々と苔に囲まれる風情はとても素晴らしい反面、訪れる観光客も多くないせいか人寂しさを感じてしまうお寺でした。

山門


茅葺の屋根のある仁王門。 境内建築物の中で最も時代の古い建物で、その先に傾斜のある石段が続きます。


本堂


境内はこんな感じで、美しく苔や竹、木々に覆われています。




京都の街を一望できる高台に建つ多宝塔。


この前から見渡す京都市街。



■ 祇王寺
嵐山の奥に建つ竹林と楓に囲まれたつつましやかな寺院。寺院というよりも草庵と呼んだ方が適した風合いのお寺。山号は高松山、院号は往生院、本尊は大日如来の真言宗大覚寺派。平家物語にも登場する白拍子の祇王が庵だ尼寺。

入り口を示す標識。


そして門。非常に地味です。


庭園は非常に小ぶりで、ゆっくりと歩いても2分あれば一回りできる程度の大きさですが、苔の美しさは半端ない。私は苔寺よりもこちらの苔むす庭の方が好みです。










敷地の隅には、祇王と平清盛の墓が並んでいます。


悲劇のヒロインが入寺して草庵だけあって、華麗さはないものの、しっとりとした落ち着きがあるお寺です。庵の中に座って庭を眺めていると、悲恋の物語のせいか、ここだけ俗世とは隔離されて時間がゆっくりと進んでいるように感じられる不思議な時空に彷徨ったような感覚になった一時でした。小ぶりの雨の中での参拝だったために、青々とした苔が特に引き立って愉しめた時間でした。

このお寺もモシュ印&コケ寺リウムのキャンペーンに参加しておりました。




モシュ印



■ 大覚寺と大沢池
嵯峨天皇が檀林(だんりん)皇后と成婚した際、新たな居住地として作った離宮「嵯峨院」を、弘法大師・空海が876年(貞観18年)に寺院として改めたために真言宗大覚寺派の総本山となったお寺。

入り口の門。


明治時代初頭まで、代々天皇もしくは皇統の方が住職を務めた寺院でもあるために、門には菊のご紋がついていました。


心経宝塔


書院造の正寝殿には狩野山楽(かのうさんらく)筆の襖絵や墨絵などの障壁画が多数所蔵されている他、宸殿(しんでん)には狩野山楽筆の牡丹図・紅白梅図など貴重な重要文化財があるとのこと。




そして、大覚寺の隣が日本最古の林泉式庭園である「大沢池」。平安時代に唐の洞庭湖(どうていこ)を模して造られ、池畔に桜や楓が約700本、約3,000株もの蓮が自生している。






JRのキャンペーンポスターでは、池畔の桜が咲いている景色や紅葉のもみじが美しかったが、10月下旬は大したことありませんでした。

■ 渡月橋
嵐山といえば、外せないのが渡月橋。川の水が多かったために、音をたてて流れゆく水の勢いがダイナミックで一興でした。




橋のすぐ横に日帰り温泉がありました。



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