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好きなことを好きなだけ楽しみたい欲張り人間の雑記帖

「なにしろ自制心以外のものならなんだってついているんだから」

2006年07月22日 | パルプ小説を愉しむ
『輝ける日々へ』(テレンス・ファハティ)の主人公のスコット・エリオットは元映画俳優の私立探偵。上司パディが車のライターで葉巻に火をつけようと車の窓を覗き込みつつ、

 「おまえさんのこの宇宙船なら、ライターもついているだろうと思ってな」

と言ってのけたパディに返した台詞が上。

映画監督ドルリーから身辺警護の依頼を受け、ハリウッドで、そして出資者の地元のインディアナでドルリーの身の周りを警護する中、広報担当者が殺される。出資者は地元の名家の人間で、この手のお話のお決まりごととして家族内の関係がドロドロ状態。家族の会社を運営する責任を務めている義姉、毅然として家族内に存在する母親、そして何をしたら良いのか分からず母親離れしない当人。ここに、戦争中に味方の砲撃を食らって醜い傷跡を顔と体に受けた傷痍軍人の別荘管理人、一族の言いなりの保安官、一族の会社で働くならず者たち。怪しい人物だらけ。しかも義姉は、スコットに気があるような振る舞い。ハードボイルドに決めるスコットが事件の核心に迫る、途中で何度かヘマをしながらも。

映画俳優・女優、映画のシチュエーションを会話の一端に入れながらの洒落た会話(知らないマイナーな映画ばかりだが)。主人公のスコットもすこぶる魅力的。ストーリー展開も面白い。だが、義姉が多重人格者で、自分の中にある死んだ夫の人格が人殺しをしていたなんてことが、物語の最後であるような展開は、探偵者としては如何かな?それまでのお話が面白いから構わないという人もいるだろうが、探偵ものに拘るファンには裏切りだろう。

でも、お話はおもしろいことは請合う。
コメント
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