お愉しみはココからだ!!

映画・音楽・アート・おいしい料理・そして...  
好きなことを好きなだけ楽しみたい欲張り人間の雑記帖

今日も元気だ!ビールが美味い! キリンビアビレッジ

2013年11月24日 | 美味しいを愉しむ
キリンの国内最大のビール工場にして見学&試飲コースがあるキリンビアビレッジは大人のテーマパークだ。天気が良かったので散歩がてらにキリンビアビレッジに寄ってみた。予約無しで訪れたのだが、待つこと10分程度で工場見学コースに入れました。

6分程度のビデオを見た後に工場内の見学コースを廻る。コース内はホップの匂いがしてビール工場に来たんだなぁ、という気になる。それにしてもホップの匂いは生乾きの洗濯物に似ていないかい?


50分程度の工場見学の後は、待ちに待ったビール試飲タイム。一人3杯まで飲めるとは豪儀ではないか!しかも一杯目は一番搾り フローズン<生>を出してもらえた。ラッキー。


泡が見事にソフトクリーム状になっており、口に含むとシャリシャリする。それでもしっかりとアルコール分が含まれており、飲むというよりも齧り付くと言うほうが合っている。

2杯目は、黒ビールの一番絞りスタウトをいただく。黒ビールならではの甘~い味わいが口の中に広がる。コクと黒ビール独特のフレーバーが何とも言えない。ビールが入っているグラスは250cc程度の容量だろうか。普通のビアグラスよりも高さが7割程度しかない。でもプラスチックではなくガラスのグラスでサーブするところが偉い。

3杯目は普通の一番絞りを味わう。う~ん、満足。ビールを食堂から持って出られないのが残念。外の芝生に寝そべりながらゆっくりと味わってみたい。できればチーズと生ハムを持ち込んで、ピクニック気分でビールを飲めると最高なんだがなぁ。キリンさん、もう少し大目に見てよ。
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美女が二人だと二倍愉しめる 映画『ルームメイト』

2013年11月24日 | Cinemaを愉しむ
北川景子と深田恭子が出ているというので『ルームメイト』を観て来た。何の事前情報も無しに観にいったのだが、ホラーだとは思いもしなかった。



深田恭子は『恋愛戯曲 私と恋におちてください』を観て好きになった女優だ。氷細工のような冷たさを秘めた美貌がある。その美しさはどことなく人工的な美なのだが、それが触れがたさを感じさせる美しさを生んでいるのだろう。そんな深田恭子だからこそ、『恋愛戯曲』よりもこの『ルームメイト』の方が向いていた。

入院中に親切にしてくれた看護婦(深田恭子)とフームシェアを始めた北川景子が、一緒に暮らすうちに深田恭子の存在に怯えるようになる。深田恭子扮する元看護婦は二重人格っぽく設定されており、悪女の方の深田恭子が北川景子を追い詰める。でも観ている内に「何だこの感覚は?」と思うようになり、それがデジャブだと分かると、この映画は一種の『ファイトクラブ』モノなんだとネタばれしてしまった。

ただ、二重人格では『ファイトクラブ』と同じになってしまうので、北川景子扮する春海は三重人格にしている。その上で、似たような境遇の女子高校生を登場させることで、春海が四重人格だと思わせるようなトリックさえ仕込んでいるが、これは余計だ。

ロケ場所も少なく登場人物も限られているから、大した予算を掛けていないことが見て取れるが、作りはしっかりとしていてチープな感じはまったくしない。二重人格のお話はヒッチコックの『サイコ』と『ファイトクラブ』という名作があるので、これらを超えることはとても難しいことだろう。お話としては合格点はあげられない映画だが、北川景子と深田恭子の二人の綺麗な顔を観ているだけで私はハッピーだったことは認めます。
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韓国時代劇ドラマ『海神』

2013年11月23日 | ドラマを愉しむ
やっと終わった、というのが最初の感想。観始めたのがいつか思い出せない。全部で51回からなるドラマを週2回ずつ観た訳だから、6ヶ月ほど観続けたことになります。


逆に言うと、それだけ面白かった。主人公役のチェ・スジョンは有名な俳優らしいが、チャン・ドンゴンの小型版という感じがしてならなかった。敵役は、韓国が不法領有している日本の領土竹島へ泳いで渡るという不埒なパフォーマンスをしたソン・イルグク。役的には、ソン・イルグクの方が美味しい役でしたね。そして、清楚なお嬢様役が似合うスエがこの二人から想われるお嬢様役をやっていたのだが、ソン・イルグクはスエへの想いが届かない可哀想な役柄だけに、同情してしまう。このドラマが当たって、その後に「朱蒙」の主役に抜擢されるようになったいうが、韓国視聴者も私と同じように彼への注目度が高かったのでしょう。

そして何といっても素晴らしいのがチェ・シラ。悪役の女商人を演じているのですが、憎いくらいの存在感。流し目でにらむところに凄みが出て、美人なだけに悪役がぴったりと嵌っていた。


そして、このチェ・シラ扮する夫人の傍に寄り添い"校尉"と呼ばれる男。シラの片腕であり、またボディーガードでもあるのでけれど、ほとんど感情を顔に表すこともなく、ドラマの中では中くらいの重要度の役柄なのですが、その分だけチェ・シラが戦いでチェ・スジョンに敗れて捕らわれの身になるシーンで見事に男を上げました。

「夫人に今までお仕えできたことは私の幸せでした」。そして、「夫人が道を間違えた時に、止められなかったことが残念でなりません」と言って、そのまま圧倒的な敵軍の中に突っ込んでいって最期を遂げる。それまでは重要な台詞があった訳ではないのに、イカツイ顔だな~ぁ、夫人の悪巧みを実行する忠実な部下だな~ぁ、と段々と印象度が尻上がりに上がってきたクライマックスに、こんな台詞を言って夫人のために死ぬと分かっていながら敵に立ち向かい命を落とすのですから、"こいつ、男として立派じゃないか"とそれまでの悪印象が180度転換してこのドラマの高感度No.1になってしまいました。それまでは戦いに負けて捕らわれの身になっても強がりを通していたチェ・シラ扮する夫人が、その姿を見て涙を流すのです。

私のとってこのドラマの盛り上がりはここまで。この後、皇位を狙う悪役と主人公のチェ・スジョンが対立する中、戦争を回避しようとするソン・イルグクにチェ・スジョンが殺されてしまうストーリーが続くのですが、付け足しですね。悪役、それもとっても強い個性がある悪役があってこそ、正義の味方の物語は面白い訳です。

しかも、イルグクは回避しようとした戦争で殺されてしまい、悪人が結局は天下を取ってしまうという筋書きはどうなのよ?勧善懲悪に慣れた私には消化不良の終わり方です。

主役二人から想いを寄せられるスエですが、"一人で良い子ぶるな!お前が態度をはっきりさせないから、二人の男が振り回されるんだ...善人ぶっているお前が一番悪い!!」と思ってしまう。多分に大物俳優のチェ・スジョンのために作られたドラマという趣も無くはないドラマです。

「海神」ホームページはこちら
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K-POP超新星とプロ野球パリーグとのコラボ??

2013年11月20日 | My Diary
宣伝会議が主催するデジタルマーケティング・フォーラム2013に行ってきた。私の仕事上でのライフワークであるCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)に役立つと思ったからだ。

そのCRMとは関係なかったが、時間が余ったので「(新しいファンを獲得するための)パ・リーグのマーケティング戦略」というコースに出てみたところ、予想外(講師の方、御免なさい)に知識が得られて面白かった。

まず、パ・リーグ球団の一球団平均売り上げが年100億円でしかなく、主たる収入源は
  スクール
  スタジアムでの飲食収入
  放映権
  グッズ販売(ライセンス収入含む)
  広告・スポンサー
  チケット収入
で、広告スポンサーとチケット収入で2/3を占めるのだそうだ。

片や、セ・リーグのビジネスモデルはこれとは大きくことなり、スタジアムを自前で運営することはなく(確かに、東京ドームは巨人の持ち物ではないよね)、放映権収入に依存していたと言う。往年の巨人戦の放映権は1試合1億円程度であったとのことで、例えばヤクルト・スワローズ主催の巨人戦が年に12試合あったとすると、これだけで12億円の収入があったことになる。濡れ手に粟とまでは言わないけれども、これでは巨人オーナーの言いなりになるはずだと納得。

プロ野球のファン数は年々減少してきており、現時点でのファン数は約5500万人。うち、パ・リーグのファンは増加傾向にあり1800万人ほどだと言う。増加した理由は、福岡や札幌、仙台といった地方都市を拠点にするチームが増えたことと、各チーム並びにチームが出資して作ったマーケティング会社の地道な活動の成果のお蔭だろう。

1800万人のファンを3分類し、球団ファンクラブ会員というコアファン(42万人)、今季球場に来場したファン層(200~300万人)、ファンだが非来場者(1500万人)とセグメントした上で、
  ・球場来場者の来場回数を増やす
  ・非来場者ファンを来場させる
  ・興味ない人をファンにする
という戦略目標を立てた上で、色々な施策を打っているのだと言う。

このところ、プロ野球からめっきり遠ざかってしまった私に驚くような施策が紹介されました。例えば、

1. 女子高校生のファン化施策(ホークス)
我が家の娘を見るまでもなく、女子高校生とプロ野球とは決して親和性があるとは思えないのだが、「かわいい、楽しそう」を訴求ポイントとして、ユニホームをピンク色にしたり、化粧品をサンプリングとしてプレゼントすることで、ホークスは女子高校生を球場に呼び込むことに成功したのだとか。

2. K-POPとのコラボによるおばさん層のファン化(これまたホークス)
K-POPグループの超新星を招くことで、40・50代のおば様たちを球場に来させるという一種の反則技。来場者は試合前に超新星メンバーとハイタッチが出来るという特典があった上に、超新星メンバーを球場内の席に座らせて球場カメラで抜いてオーロラビジョンで写すことで、試合途中でもダレさせないという工夫までしたというのには脱帽です。

この他に、先着で人気選手フィギュアのプレゼントをしたり、親子層の開拓のために昔のユニフォームを着用にたレジェンドシリーズを開催したり、思いも寄らない色々なマーケティング施策をしていることを知りました。

日本のプロスポーツの世界が、顧客層をセグメントした上でターゲットを設定し、真っ当な(またまた御免なさい)マーケティングを行っているなんて予想だにせず、一種の感動すら覚えたセミナーでした。

それでも辛口コメントを言わせていただけるとするならば、このような立派なマーケティング活動をしているにも拘わらず、私が知らなかったということ自体がマーケティングの成果の広がりが不十分だと言わざるを得ないですね。昔は野球ファンであったのに、いつも間にか球場に行くことはおろか、テレビ放送でもプロ野球を視聴しなくなっているこの私をファンとして呼び戻せていないという厳然たる事実を見ると、彼らのマーケティングはまだまだ発展途上にある、と言ってしまうのは酷だろうか。でも、このような顧客を見据えたマーケティングが行われてきていること自体は、大変に嬉しいことでありました。
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贅沢な宿 オーベルジュ・セラヴィ

2013年11月19日 | My Diary
一泊旅行で長野の車山高原に家族旅行に行ってきました。宿はオーベルジュ・セラヴィ。(正式サイトはこちら)

到着して実物を見てみるまでは、「何を気取ってオーベルジュと言っているんだか」と思っていましたが、普通のプチペンションとは確かに違って素晴らし宿です。ぱっと見は分からないのですが、中を探索してみると敷地面積が広い。地形の傾斜を上手く利用して4階建ての施設が建てられており、宿泊する部屋は2階建てエリア。そこから坂を上がるように階段を上がったエリアが3階で2つの風呂があります。さらにその上階(4階部分に当たります)にはスイートルームがあり、そこの見晴らしは抜群です。30年以上前に開業したのでそうですが、その後に次第に拡張して今の形になっています。敷地を存分に使っているのですが、それを感じさせない奥ゆかしい作りの建物で、使い勝手も決して悪くない。高級かつ上品で、しかも贅沢な宿です。



家具類もオーベルジュの名に恥じないものが多く、アンティークな趣のあるソファーやチェストがロビーに置いて他、階段エリアにはリトグラフが飾ってある。それも洒落たものが多い。それらが坂を上がるように設計されている階段の片側に、まるで小美術館であるかのように何気なくだが趣味よく飾られている。





2点のホアキン・トレンツ・リャド作品も何気なく飾ってあるところが凄い。





こちらは私のお気に入りの作品。



ダイニングルームは別棟。正多面体の形状でサーブエリア以外はガラス張りとなっており、長野の見事な山々を観賞できる。屋根は尖り帽子のよう。ここで夕食と朝食がサーブされる。特に朝食時は、明るい朝日を浴びながら、風光明媚な自然を愉しめることは、誠に気持ちが良い。こんな朝食で一日が始まることは何という幸せだろうと思ってしまうほどの眺望を活かした見事なダイニングエリアです。



料理は正直、ずば抜けて美味しいという訳ではなかったが、でも決して不出来なものではない。ダイニングの建物自体の素晴らしさにちょっと負けてしまっていたのが残念という程度で、普通ならが問題なく合格点がつくレベルです。


風呂は全部で4つあるのだが、この時期に使えるメインの風呂は3階にある2つ。これらは、ガラス戸を全部開け放てるので露天風呂の感覚で愉しめる。夜は夜で月を眺めながら湯船につかり、朝は見事な山々を眺めながら湯につかる。暑くなったら、開け放った窓際に立ってほてったカラダを今の時期の寒い外気にさらすとあっという間に冷めてくる。そして又湯船に使って温泉を愉しむ。これを2・3度繰り返すとあっという間に時間が過ぎる。





そして何よりも驚いたのは、陽が燦々と差し込むマッサージ専用の部屋があることです。サンルームと言っても良いくらいに明るくて見晴らしのよい専用部屋が設けられている贅沢さは、ここがペンションではなくオーベルジュであることを物語っています。
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南信州ビール

2013年11月18日 | 美味しいを愉しむ
長野に家族旅行に行った記念に地ビールを3種類買ってみました。南信州ビールというブランドの3種です。

   
 ゴールデンエールは喉越しがよく、ビール単品として愉しむのに向いている。

   
 アンバーエールはコクと香りが豊かで飲み応えがある。色も琥珀色で美しい。

    
 デュンケルヴァイツェンは黒ビールとしては思ったよりも大人しい味のビール。かすかにバナナのような香りが愉しめる。

私的にはアンバーエールの力強い味わいが好みでした。
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神はおれのことなどなんとも思っちゃいまい。

2013年11月10日 | パルプ小説を愉しむ
『ロンドン・ブールヴァード』が気に入ったので、ケン・ブルーエン(ブルーウンとも書くらしい)の作品、『酔いどれに悪人なし』を続けて読んでみた。前作に引き続き、いや前作以上に主人公のジャックはアル中でヤク中でしかもろくでなしだ。交通違反をしたアイルランド下院議員を殴ったために警官をくびになり、私立探偵もどきの仕事を始める。アイルランドで私立探偵という職業が成り立つかどうか自体、主人公自身が懐疑的に思っている。物語が始まって間もない頃ジャックはこう言う。

アイルランドに私立探偵はいない。アイルランド人はそんなものになろうとは思わない。
 -こんな書き出しでは、まっとうな探偵小説やミステリーになるであろうことは200%ありえない。物語の性格をあからさまにして読み手に小説のイメージを早々と持ってもらうにはいい手だ。そして続けてこう言う。

ある朝目を覚まし「神はわたしに発見者となれと仰せになった!」と叫んだわけじゃない。神はおれのことなどなんとも思っちゃいまい。
神には本物の神とアイルランド版の神がいる。だから神は無責任でも許される。興味がないんじゃなく、わずらわされたくないだけだ。


神をも恐れぬ所業とはこのこと。モラルもへったくれもないろくでなし野郎だが、どこかに可愛らしさがある男だ。行き着くところまで行っても、それなりの価値観を堂々と表明している男は、何らかの共感を得られる点が見つけられるのが小説だ。だからピカレスク小説というのが存在するのだろう。現実世界ではこうは行かない。

主人公のジャックはとんでもない呑み助で始終酔っている。酔っ払う程度も酩酊などという可愛いものではなく泥酔だ。記憶が飛んだ上ゲロを吐く。何度も吐く。ベッドのシーツの上に、寝転がったまま服の上に。しかもヤクもやる。ヤクをやった時の効果も見事に伝えてくれるが、醒めた時の感覚も強烈に伝えてくれる。

友人、知人にはいい人間もいるが、類は友を呼ぶでとんでもない奴も多い。

世の中には映画の登場人物みたいな人生を送っている連中がいる。サットン(ジャックの友人)の場合はさしずめ、出来の悪い映画みないな人生を送っているといったところだ。

依頼された事件を見事に解決する手並み拝見という物語ではない。なにせ解決しようという意志はあるが、酒を前にするとそんな意志など何処かに吹っ飛んでしまう奴だから。だから正統派ミステリーであるはずもない。ロクデナシが酒とヤクでヘロヘロになる中、あちこちで拘わりあう人物や出来ことを愉しむ小説だ。

アル中でヤク中ではあるが、主人公はなかなかの読書家だ。この作家が作る物語の主人公はやたらに本を読む。友人(これまたロクデナシの一人)は、小説ならエド・マクベインにかぎる、などとほざく。エド・マクベインが悪いんじゃなくて、こんな小説まで登場させる作者の選択の広さに驚く。

小説ほどではないが音楽も語る。エルビス、イーグルス、ジェイムス・ラスト、ザ・ロイヤルズ、ディクシーズ、アリソン・モイエなんて名前が挙がる。大半は知らない名前だ。アイルランドで流行ったのだろうか。U2についても薀蓄が語られる。小説、音楽、映画などをちりばめることで、主人公のキャラクターに共感できるものが生まれるとともに、「何だ、この男、ちょっとは奥深いところがあるんじゃないか?!」と思わせてくれるのだろう。いい手だ、覚えておこう。





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本格的時代劇映画『蠢動』

2013年11月06日 | Cinemaを愉しむ


この時代劇は、今まで観た映画と全く違う文法で作られている。違和感と戸惑いがあまりも大きかったため、観たその日(11月1日)に書き込みが出来ず、自分の思いを自然発酵させようと思って待った。待っている間にも、纏まらない自分の思いをまとめる手助けにしようとyahoo映画や映画.comなどのレビューを読んでみた。レビューにはこんなことが書かれていた。

パンやズームなど使わず、フィックスで撮影されていることが映像を印象深くしている
 -そうなのだろう。でも、私の頭の中で巣食っていた得体のしれないものはこんな技法論ではない。

何人もの追手と切りあった者と、雪道を必死で走りぬいて来た者との対決の場で、両者の顔には汗ひとないのが不自然
 -そんなことはどうでもいい。

壮絶な切り合いにも拘わらず、積もる雪を血しぶきが染めないのが不自然
 -こんな重箱の隅をつつくようなことを言って何になる

武士道とは何か?藩の思惑に翻弄される武士たちの不条理さ
 -これだ、これが腑に落ちない理由だった。

その昔に隠し田発覚による藩取り潰しを回避するために一人で罪を負って自決した武士がいた。城代家老を始め藩の者は皆、口には出せないがその男に救われたことに深い感謝の念を抱いている。しかし、公儀から遣わされた剣術指南役兼スパイに隠し田を発見され、再度藩取り潰しの危機に陥った時に城代家老が採った秘中の策は、剣術指南役を暗殺し、恩ある武士の一人息子を暗殺者として仕立て上げた挙句に抹殺することだった。しかも、犯罪遂行後の逐電という状況証拠を作りあげるために、本人が望んで止まない他藩での剣術修行として送り出すという一種のだまし討ちの体裁にしながら。

ストーリーから見ると、藩のためなら犯してもいない罪に問われて殺されることが許されるのかという武士道のあり方に疑問を投げかけた物語と思えるかもしれない。最初は私もそう思った。だが、腑に落ちなかった。個を犠牲にする武士道の理不尽さを描いた映画なのだ、とはどうしても思えなかった。

ノーブレス・オブリージュ。私が真っ先に思った疑念はこの言葉から生まれたものだった。

多くの人を救うためであれば、自ら犠牲になることを尊い行為だと思う。この武士の父親はそれを持っていた。でも、その息子は持っていなかった。父親が藩の犠牲になったという被害者意識と、それゆえに自分は剣の道を究めていきたいという強烈で折れることのない一念は持ったが他人を思いやる高貴な精神までは受け継がなかった息子の狭了さ。それは、年輪を重ねたことで生まれる余裕・悟りと若さゆえに廻りが見えない未熟さの違いかもしれない。この映画が描いたもの(と私が思ったもの)はこれであって、決して個に犠牲を強いる封建社会の不条理さではなかった。

自分の会社を売り払ってこの映画制作の資金を捻出したという三上康雄監督の思いはどうか分からないが、私はそう思った。作り手の思いは尊重する。でも、それとは違った思いを観客が抱くことも自由であるはずだ。それを発見させてくれたのもこの映画が初めてだった。
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ミス・パイロット

2013年11月03日 | ドラマを愉しむ
前回に引き続いて掘北真希ネタです。

2013年10月クールのフジ系列、火9ドラマの「ミス・パイロット」を見ていて思うのですが、やはり堀北真希は美人だと思う。目鼻立ちが整っているだけではなく、美しさとともに凛とした気高さが表情に表れていて、この2つが両立しているところが私は好きです。画面の中にいるだけで絵になるタレントさんだと思います。



就職時期を迎えながら将来の希望も志望もなく、手当たりしだいに就職面接を受けながら片っ端から不合格。可能性を広げるためにANAのパイロットを受けたところ、何と合格。二次だか三次の試験の際に、フライトシュミュレーターを操作させられて空を飛ぶ模擬体験をしたところ、パイロットという職業の魅力に開眼して、やっと将来の夢が出来た。ここのシーンでの彼女の表情の変化は、このドラマ(と言ってもまだ2話しか見ていませんが)の中でとても印象的で良かった。模擬体験とはいえ初めて空を飛んだのですから、何がしかの感動を持つであろうことは想像できます。彼女はとっても感動してしまった。その感動を、目の表情だけで静か~に好演していました。とてつもない感動を彼女が感じていることが、見ている我々にもよ~く伝わってきて、思わず彼女に感情移入してしまったシーンでした。

彼女の最大の売りは「初々しさ」なんだと思う。だからこそ言いますが、堀北真希はこの手の青春ドラマにこそ向いているのであって、前回エントリーした「白夜行」のような複雑な過去を持つ心の奥底に何かを秘めて、誰にも立ち入らせない屈折した女性を演じるには幼すぎるのです。幼い女優を主演に持ってきたことによって、せっかくの良質なミステリー映画が学芸会のように見えてしまったことが残念でなりません。

でもだ。このドラマはいかがなもんでしょうか?20代前半の未熟な若者たちが社会の荒波の中で、持ち前の純粋さを発揮すればすべての問題が解決されて、みんながハッピーになって、しかもこの世の中が良くなっていくだなんて安直な物語をいつまでフジテレビは作り続けていくのでしょうかね?「水戸黄門」に代表される勧善懲悪という分かり易い物語が一方にあるとすると、もう片方にあるドラマの筋書きは世の中の穢れに染まっていない純粋な若者たちが善意で一生懸命に努力すれば必ず良い結果を生まれてこの世がハッピーになるというものです。

この「ミス・パイロット」を見ながら考えてしまったのは、アメリカドラマの「グレイズ・アナトミー」でした。こちらも青春群像ドラマですが、医学部を卒業したばかりの若者たちが配属先の病院でインターンとして修行していく最中に、いろいろな出来事とぶつかり合う中で挫折したり絶望したり、時には若者らしい根性で成功を勝ち得ていく中で、人間として成長していく過程を描いたドラマです。子供は所詮子供、大人になる前の半人前の存在、という扱いの中で、彼らがいかにもがき苦しむ中で努力して成長していくかを描いているドラマです。そこには、かつて自分が体験した社会の理不尽や高邁な理想だけでは片付けられない現実が突きつけられているからこそ、主人公の若者たちに感情移入し彼らを応援したくなる物語があります。



「グレイズ・アナトミー」には、主人公のグレイの独白シーンが必ずあります。世の中が決して思い通りにならず、心が折れそうになる色々な出来事の中で自分が学んだことがグレイの言葉として番組始めか終わりに出てきます。かつて若者であった自分の姿と心の奥底に仕舞いこんでしまった色々な出来事を思い出させてくれ、過ぎた日々を投影できる独白があるからこそ、学芸会とは思うことなく自分よりも遥かに若くて未熟な若者たちの群像劇を見ることができるのだと思います。

これに比べて、この「ミス・パイロット」が相も変わらずに描き続けているのは、善意と純粋ささえあれば世の中はすべてが解決されて丸く収まる、という安直なドラマですよね。M1、F1は熱中して見るかもしれないが、社会の荒波に揉まれて成長した大人の私には背中が痒くなるだけだった。何で世の中の現実を直視しないのか!!F2、F3の女性が韓流ドラマに大挙して流れたのは、この種の若者に迎合した安直な物語に飽きられたためだとフジテレビはまだ分かっていないようです。

フジテレビは視聴率競争でダントツの3位に安住している中、ドラマに活路を見出したようです。人口動態を始めとして世の中が変わっているにも拘わらず、作られているドラマは相も変わらずに昔のまま。高年齢層もターゲットにすると言ってはいますが、F3狙いで作られたドラマが「抱きしめたい Forever」という局としての発想の貧困さを象徴する作品でしかなかったのは残念でなりません。

W浅野の過剰演技の合間に昔のシリーズの映像を埋め込んだだけの特番ドラマは、見ていて寒気がしました。あたかも、中学・高校時代に好きだった女の子に同窓会で会ったときのような幻滅感、イメージの中では昔の綺麗で可憐なままであった女の子が普通のおばさんに成り果てていた現実を見せられたと言うと分かりやすいでしょうか。W浅野にとっかえひっかえ衣装を変えさせ、彼女たちは今も昔と変わらないトレンドセッターなんだ、TVドラマはあんたたち視聴者より一歩も二歩も前を歩いているんだ、どうだ見てみろ、真似してみろ的は上から目線のゴーマンな姿が透けて見えてしまったのは私一人なのでしょうか? 昔ヒットしたドラマにあやかろうという安易な発想とプアなクリエイティブ、これでは何も変わらないし、かえって局としてのイメージを崩してしまいましたね。

ドリフターズの天下をひっくり返した「オレたちひょうきん族」や「笑っていいとも!」のように、前例に囚われることなくあっと驚くような新しく斬新なものを生み出して一時代を築いたTV局の雄としての気概が見られないことはとても悲しい。


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