とある投資セミナーに初めて行ってみたら、三橋貴明さんというエコノミストが誰にでも分かるようにマクロ経済を説明してくれ、目から鱗が落ちました。
三橋さん曰く、
1. 「デフレーション」とは、単なる価格の下落のみを言うのではなく、価格の下落と所得の減少が連鎖的に起きるために、国民全体が貧困化すること。1996年以降のCPI変動率と平均給与の変動を見ると、CPI(要は物価)の下落以上に所得の減少が大きく、日本はデフレによって貧困化している(とのこと)。
2. デフレは滅多に発生しないが、発生する時はバブル崩壊が引き金になる。「バブル」とは、借金してキャピタルゲインを狙う(投機)ことであり、投機は需要を生まない。
3. デフレは本来の供給能力よりも総需要(名目GDPのこと)が小さいので、この差(デフレギャップ)を埋めてあげることで解消できる(理論では)。
4. デフレギャップを埋めるの方策は、① 民間消費を増やす ② 政府支出を増やす ③ 民間住宅投資を増やす ④ 民間企業設備投資を増やす ⑤ 公的固定資本形成を増やす ⑥ 輸出を増やす だが、民間や企業が消費を減らしている以上、①③④は望めない。そこで②と⑤の政府の出番となる。
5. 政府の出番となるためには原資が必要で、そのために中央銀行は国債を発行しているのだが、問題は中央銀行は発行されたお金の行き先を管理できないこと。増えたお金が実体経済(消費は住宅投資、設備投資や公共投資のようなフローの世界)に廻るとデフレ対策になるが、株式や土地への投資などの金融経済の世界(ストック)に廻るとデフレ対策にはならない。
6. 日本の国債発行残高を大きく、『日本借金○○兆円、国民一人あたり△△万円の借金』という新聞記事が出るが(これは財務省がメディアに書かせているとのこと)、これは正確ではない。このような言い方は、聞いた方に『日本や国民が外国に対してお金を返さなければならない』ように誤解させ、『大変だ、だから増税はしかたがない』と誘導することを狙っている。正しくは、『政府の借金○○兆円、国民一人あたり△△万円の債権を保有』と理解すべきだ(と言う)。
7. そもそも、「財政破綻」とは国が借金を返せなくなることであり、ギリシャやブラジルの例を見ると財政破綻する国も国債利率はとんでもなく高くなったいたにも拘わらず、日本国債の利率は1%を割っている。有史以来、国債利率が1%を下回ったのは日本とスイスしか例がない特例中の特例。ものには限度というものがあるが、それでも日本が「財政破綻する」というのは現時点では正しくない。
8. 政府は企業や家計とは違って、国民を守り豊かにすることを目的とするのであって、財政バランスを守る/崩す、安全保障を強化する/軍縮する、等々は手段でしかない。「財政バランス云々」は手段を目的化する議論でしかない。
狭い会場に合わないくらいの大きな声で喋る声は多少耳障りだが、それを差し引いても説得力がある内容でしたね。
今年の経済のウィーポイントとしてユーロを挙げていました。日米英での金融緩和によって資金が欧州(と新興国)に流れ込み、その結果デフレであるにも拘わらずユーロ高と株高が起こっている現状では、金融緩和が止んだ途端に資金の逆流がドル高/ユーロ安、欧州株安を引き起こしかねない、と言うのです。確かに、一時期は崩壊するかのように言われていたユーロについて何も悪い材料が出なくなり、ユーロ危機は無くなったかのように見受けられますが、こんな時が一番怖いのかもしれない。
三橋さん曰く、
1. 「デフレーション」とは、単なる価格の下落のみを言うのではなく、価格の下落と所得の減少が連鎖的に起きるために、国民全体が貧困化すること。1996年以降のCPI変動率と平均給与の変動を見ると、CPI(要は物価)の下落以上に所得の減少が大きく、日本はデフレによって貧困化している(とのこと)。
2. デフレは滅多に発生しないが、発生する時はバブル崩壊が引き金になる。「バブル」とは、借金してキャピタルゲインを狙う(投機)ことであり、投機は需要を生まない。
3. デフレは本来の供給能力よりも総需要(名目GDPのこと)が小さいので、この差(デフレギャップ)を埋めてあげることで解消できる(理論では)。
4. デフレギャップを埋めるの方策は、① 民間消費を増やす ② 政府支出を増やす ③ 民間住宅投資を増やす ④ 民間企業設備投資を増やす ⑤ 公的固定資本形成を増やす ⑥ 輸出を増やす だが、民間や企業が消費を減らしている以上、①③④は望めない。そこで②と⑤の政府の出番となる。
5. 政府の出番となるためには原資が必要で、そのために中央銀行は国債を発行しているのだが、問題は中央銀行は発行されたお金の行き先を管理できないこと。増えたお金が実体経済(消費は住宅投資、設備投資や公共投資のようなフローの世界)に廻るとデフレ対策になるが、株式や土地への投資などの金融経済の世界(ストック)に廻るとデフレ対策にはならない。
6. 日本の国債発行残高を大きく、『日本借金○○兆円、国民一人あたり△△万円の借金』という新聞記事が出るが(これは財務省がメディアに書かせているとのこと)、これは正確ではない。このような言い方は、聞いた方に『日本や国民が外国に対してお金を返さなければならない』ように誤解させ、『大変だ、だから増税はしかたがない』と誘導することを狙っている。正しくは、『政府の借金○○兆円、国民一人あたり△△万円の債権を保有』と理解すべきだ(と言う)。
7. そもそも、「財政破綻」とは国が借金を返せなくなることであり、ギリシャやブラジルの例を見ると財政破綻する国も国債利率はとんでもなく高くなったいたにも拘わらず、日本国債の利率は1%を割っている。有史以来、国債利率が1%を下回ったのは日本とスイスしか例がない特例中の特例。ものには限度というものがあるが、それでも日本が「財政破綻する」というのは現時点では正しくない。
8. 政府は企業や家計とは違って、国民を守り豊かにすることを目的とするのであって、財政バランスを守る/崩す、安全保障を強化する/軍縮する、等々は手段でしかない。「財政バランス云々」は手段を目的化する議論でしかない。
狭い会場に合わないくらいの大きな声で喋る声は多少耳障りだが、それを差し引いても説得力がある内容でしたね。
今年の経済のウィーポイントとしてユーロを挙げていました。日米英での金融緩和によって資金が欧州(と新興国)に流れ込み、その結果デフレであるにも拘わらずユーロ高と株高が起こっている現状では、金融緩和が止んだ途端に資金の逆流がドル高/ユーロ安、欧州株安を引き起こしかねない、と言うのです。確かに、一時期は崩壊するかのように言われていたユーロについて何も悪い材料が出なくなり、ユーロ危機は無くなったかのように見受けられますが、こんな時が一番怖いのかもしれない。