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コージーミステリーを読み耽る愉しみ その16 大統領の料理人シリーズ

2020年09月18日 | パルプ小説を愉しむ
シリーズ第二作となる『クリスマスのシェフは命がけ』を前作からほぼ一年ぶりに読んでみると、何かと気になることが多い。

まず、どんな設定だったのかの紹介が中々出てこない。例えば、スー・グラフトン描くキンジー・ミルホーンのシリーズでは、必ず冒頭2・3ページの内に必ず「私の名前はキンジー・ミルホーン」のきめ台詞で始まる自己紹介が必ずあって、これがあるからキンジー・ミルホーンの世界に安心して入っていけるサブリミナル効果的な儀式になっている。そこまでは望まないまでも、久しぶりにシリーズを読む読者のために、安心して物語に没入できるような配慮が欲しい。自分が誰で、なぜこの仕事に就いているか、等々。特に、前作でアシスタントシェフからエグゼキュティブシェフに昇格したのだから、その経緯なども簡単に振り返って欲しかったな。

そして、こちらは致命的だと感じたのだが、料理の紹介がなおざり。ホワイトハウス内での事故死事件の真相究明に一役どころか二役も買うことでミステリとして物語が進展することは分かるが、ホワイトハウスのエグゼキュティブシェフ、つまり米国元首に料理を振舞う責任を持っている立場の人間として、用意する料理が涎が垂れるほど美味しそうに紹介して欲しい。クレオ・コイルの「コクと深みの名推理シリーズ」では、コーヒーの味どころか香りまで感じるような描写がなされており、これがシリーズを読むもう一つの愉しみになっている。単に、ホワイトハウスのエグゼキュティブシェフという設定のコージーミステリだけでは物足りないのです。

夫人の方は対照的で、夫よりかなり年上らしい。背中も少し曲がって見えるけど、これはたくさんつけている宝石が重いせいかもしれない。わたしはニューヨークのティファニー以外で、これほどきらきらまぶしい宝石類を見たことがなかった。
いやらしくなるほどではない軽い皮肉ですね。

若くて美しい女性が、こんな年寄り相手にコーヒーを飲みたいと? それを断るほどまだもうろくしちゃいないよ。
似たような台詞が他の物語でもあったが、こちらはさらっとしている。台詞がベタっとしておらず、良い意味で軽いことがこのシリーズの特徴かもしれない。

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第一作が◆『厨房のちいさな名探偵』 。
アレルギーを考慮して、主催、付け合せ、デザートの組み合わせを練るこうしてなんとか、解けたルービック・キューブの面のように、料理のラインナップを整った。

先端技術ですね。これならジェイムス・ボンドも料理することができるでしょう


 登場人物の魅力度 ★★★
 ストーリー度   ★★★
 設定の魅力度   ★★★
 台詞の魅力度   ★★★
コメント
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