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神と共に

2020年02月02日 | Cinemaを愉しむ
久しぶりに観た韓国映画だが、十二分に愉しめた。あまりに面白かったので、続編まで一気観をしてしまった。

一作目は「罪と罰」。二作目は「因と縁」。どちらも仏教思想を題材にし、死者が地獄で裁かれる過程での冒険や出来事が娯楽要素ふんだんに入れ込まれて作られている。地獄を題材にしたものとしては、ダンテの『神曲』が有名だが、この世界的名著に決して引けを取らない面白さだ。

『猟奇的な彼女』のチャ・テヒョンが演じる消防士が職務の途中で命を落とした。決まりによって、49日以内に地獄で無罪とならないと再びこの世に生まれ変わることなく地獄で永遠の苦しみを受けることになる。消防士を地獄で守るのは、弁護と護衛を引き受ける3人衆。彼ら・彼女らは、千年の間に49人を無罪にすることで、人として生まれ変わることで地獄から抜け出すことが可能となるという業を持つ罪人だ。3人衆の弁護士役でありリーダー(ハ・ジョンウが演じる)はこの世で振舞う際は、マトリックス顔負けだ。アクションしかり、服装も足首まで届く黒いコートを着て、しかもニコリともせずに自らに課された役割を果たそうとする。そう、仏教思想を土台にして『神曲』と『マトリックス』とロールプレイングゲームの要素を入れ込んだ作品、と呼んでいい。

地獄という冥界は7つに分かれており、それぞれを治める王が死者の生前の行いを裁く。ロープレよろしく6つの地獄をクリアすると、最後の点倫地獄を治める閻魔大王というラスボスが登場する。このロープレの過程で、普通なら問題なく無罪となりそうな尊い殉職者の消防士の過去が暴かれてくる。この悲しい生き様が次々と暴かれることが物語りに面白さと深みを与えてくれている。病魔に冒されて直る見込みがないと思われた母親を殺して兄弟ともに心中しようと行動しかけた過去が穿り返される。貧乏のどん底にいた一家の悲惨さ故に起こったことだが、それを切っ掛けに消防士は家を飛び出し、それ以来は必死で働いて家に仕送りをする善人となる。そんな善人ではあっても、母親を殺そうとした罪に問われ、それを3人衆が覆そうと必死の努力をする。

そんな中、弟(キム・ドンウク)が兵役終了間際に謎の失踪をして軍隊から追われる身となる。実は、上官たちに殺され埋められたがために怨霊となり、地獄を彷徨うことで、兄の無罪獲得の大きな障害となっている。

CGを駆使した地獄冥界の描写と7人の治める王たちのビジュアル、そして何よりも7つもある地獄をクリアしないと無罪になって生まれ変われずに永遠の業火に焼かれ苦しむという仏教思想を背景とした地獄の設定、これらに加えて裁かれる人間の過去の行為を絡めながら、ロールプレイングゲームを進めるように物語が振興する流れが秀逸だ。よくもこんなストーリーを考えたものだと感心してしまう。

第二話の『因と縁』は、怨念となった弟を守りながら地獄を回る3人衆たちの過去の業がメインテーマとなっている。千年前にこの3人に何があったのか、彼らが許されて無事に人間として生まれ変われるのかが新たな要素として追加されているところが、第一話の焼き直しで終わることなくバージョンアップした物語としての面白さを倍増させている。

原作は韓国の漫画らしい。漫画が原作となって映画が作られるのは日本だけではなくなったということか。それにしても、普通の冒険や恋愛のありふれたパターンをなぞることなく、想像力豊かでチャレンジングで独創的な作品がアジアから生まれたことに拍手をしたい。
コメント
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