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好きなことを好きなだけ楽しみたい欲張り人間の雑記帖

世界で二番目に古い職業

2008年03月09日 | My Diary
『傭兵の二千年史』(講談社新書 菊池良生)

1. 古代ギリシャ・ローマ時代
【軍の中心】
歩兵
【社会状況】
どちらも当初は中小土地所有者たる市民が共同体成員として兵役を担っていたが、勢力拡大による対外膨張にやり植民地からの富の流入と貨幣経済の進展により、中小土地所有者たる市民が没落し、兵役への支払いが発生し兵役の職業化が発生した。
長く続いたローマ時代においては、没落した市民が収入を得る道として有力な将軍たちの私兵になるしかなく、これにより混迷化・内乱が発生した。これを統一した一将軍のカエサルと後継者のローマ皇帝たちは、広大な領土を維持するために巨大な軍事を必要としたが、これを支えたのは属州からの援助兵の存在だった。カラカラ帝が定刻内の全自由民に市民権を与えると、属州からの志願兵が減少し、それを埋めるためにゲルマン兵を傭兵として雇用する機会が増え、ローマは末期時代にと入っていく。

2. 中世ヨーロッパ(8から13世紀)
【軍事の中心】
歩兵から騎兵に移った。これは蹄鉄の普及により騎兵の機動力が向上したため。
【社会の状況】
農民・聖職者・騎士と身分の固定が起こり、騎士=中小の封建領主による農民を支配する封建制度であり、自ら働くことのない騎士階級は自らを「神に仕えしもの」としてアイデンティティを確立した。
君主との間の緩い封臣契約で軍務に制限が存在していたこと、14世紀のペスト蔓延と凶作により農業衰退により領主層たる騎士たちの収入減少がおこり、そのためにいっそうの傭兵化が促進した。受け皿としては、混迷を極めていたイタリアが傭兵たちを惹き付ける場となった。

3. スイス傭兵の時代(14から17世紀)
【軍の中心】騎兵が重装化し機動力が失われていく中、スイス傭兵隊に代表される長槍による密集隊形を組んだ歩兵が戦闘の中核となる.
【社会の状況】
この時代の中心を担ったのがスイス傭兵たち。耕作面積が少なく農業以外の産業が乏しいスイスにあって男の働き口として残ったのが傭兵というビジネス。これをスイスの特権階級はヨーロッパ各地に輸出していった。遅れてドイツ傭兵(ランツクネヒト)も登場し、傭兵が跋扈する時代を迎える。

4. マウリッツの軍制改革
【軍の中心】
16世紀に入り火縄銃が戦争に使われるようになると、戦いの中心が長槍から銃に移っていく。
【状況の変化】
スペインからの独立を戦っていたオランダにおいてマウリッツの軍制改革が起こる。兵士に給料を支払うことで常備化し軍事訓練を施せるようになったこと、そして軍内命令系統の徹底により、統制のれた軍隊が組織されるようになる。また、歩兵・騎兵・砲兵を平等に組み合わせた軍隊組織を作りあげた。

5. ドイツ30年戦争(17世紀前半)
【軍の中心】
相変わらず傭兵が戦争の主役
【状況の変化】
軍事面では、ヴァレンシュタインという傭兵隊長が占領地における課税権を手に入れて、人員と軍備の充実を図り、30年戦争において大いなる貢献をした。戦況での貢献以上の影響として、軍事目的のための課税という制度を国家権力が手に入れ、これにより従来は私兵の集まりであった傭兵隊が絶対君主のための軍隊への変わっていった。これと30年という長期の戦争により国家内に存在していた様々な諸権力が没落したことと、君主が自分の軍隊を手に入れたことで絶対王朝確立される基盤が作られた。

6. グスタフ・アドルフの改革
【軍の中心】
徴兵制による常備軍の整備と、砲兵の充実による歩兵・騎兵・砲兵からなる軍隊の組織
【社会状況】
私兵・自由戦士という性格が強かった軍隊が、ここにいたって国家の軍隊として組織されるようになり、従来の傭兵隊長の役割は巨大な軍事組織内の一歯車になって行く。その後、フランス・ブルボン王朝に代表される巨大な絶対王朝による国家間の戦争、フランス革命後のナポレオン時代の到来において「祖国を守る」という意識が持たれるように意識変化があったものの、傭兵が国家の軍隊の一歯車になってしまったことには変わりはなかった。
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まるで自分のリビングにヒトラーとスターリンが同席しているのを目撃したみたい

2008年03月02日 | パルプ小説を愉しむ


『豚が飛んだら』(ロビン・シスマン)という、人の目を惹きつける奇抜さと何となくストーリーを予想させる題名に惹かれて手にとってしまった。非常に軽いタッチの恋愛小説で、『ブリジット・ジョーンズの日記』などと同じように、女性が書いた肩のこらない現代風恋愛御伽噺。

イギリスからNYに出てきて画廊経営で頑張っている30代女性が、ずっと友達付き合いをしていた年下男と結婚する。しかも、フジテレビお得意の恋のすれ違い、互いの意地の張り合い、誤解によるすったもんだがふんだんにあった後でだ。男はイケ面(そのように描いてある)で、実は南部の金持ち家族の長男。実家をおん出てしまったために稼業は継げなくなるが、それでも才能ある小説化の卵。おとこの質を極めてよろしいことが、女性が書く恋愛小説の定番であることは韓国ドラマに劣らない。

しかも30代半ばだというのに、主人公のイギリス女は、独立心旺盛、画廊経営としての素質もバッチリで、しかもそれなりの容姿も備えているようだ。自分がヒロインになりきるときに、感情移入する先の女がデブでブス女で成功する訳がない。とは言って、モデルのような特別な存在では手が届かない。そこそこの女で、実は才能があって、見てくれも悪くはない。そんな女(実は自分の投影)が、素敵な男とスッタモンダの挙句に結ばれるのだから、現代版の御伽噺として読まれるのだろう。そんなことを言ってはみたが、男にとっても気軽に愉しめる恋愛小説でありました。


まるで自分のリビングにヒトラーとスターリンが同席しているのを目撃したみたいにびっくり仰天していた
自分のガールフレンドがたまたまルームシェアリングをさせている相手(女)と一緒にいるのを目撃したときの驚きのさま。

もはやイギリスでは、信仰目的で教会に来る人など皆無といっていい。結婚式、お葬式、洗礼式、クリスマス、-そんな行事が。食事を知らせる鐘の音みたいに礼拝堂に人を呼び寄せて、宗教心を栄養補給させるわけだ。
宗教心を栄養補給という比喩が気に入りました。著者は宗教には寛容な方と見た。
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