お愉しみはココからだ!!

映画・音楽・アート・おいしい料理・そして...  
好きなことを好きなだけ楽しみたい欲張り人間の雑記帖

「いわゆるルネサンス的教養人というやつなのさ」

2004年11月30日 | パルプ小説を愉しむ
『偽りの目撃者』(ハーラン・コ-ベン)で元花形バスケットボールプレイヤーにして今やミスター・ナイスガイのスポーツエージェント、してその実態はハンサム・頭脳明晰・正義の味方兼ナルシストのマイロン・ポライターが自己を語る言葉。
今回は昔持て囃された女性テニスプレイヤーが全米オープン中に殺されるところから始まる。ポライターとこころの友である典型的WASP兼武道の達人・アイスハートのウィンザー、そして有能な秘書(実は元女性プレスラー)の活躍で事件は解決される。ポライターお抱えの売出し中のテニスプレイヤーは、実は昔、殺されたプレイヤーのフィアンセを殺してしまった場面に居合わせた。彼の一緒にいた従兄弟がナイフで殺してしまい逃走中に警官に撃たれたところで入れ替わって身元を無事に隠した。その後にテニスプレイヤーとして華々しくデビューしたが、エージェントの事務所でトレードマークのサングラスをはずしているところを元花形プレイヤーに見られてた。彼を守るために母親は彼女を大会中に殺した。もちろん事件解決の過程で、元花形女性プレイヤーが心に負ったトラウマやそれが殺人のきっかけにつながると思ったポライターのいろいろな情報あさりとそれにまつわるいろいろなドンパチ。ポライターの彼女に魔の手が迫った時、なぜかウィンザーが居合わせて無事救出。すべてが良いほうにころがっていく不思議なストーリー。途中はポライターとウィンザーのどちらがナルシストNo.1かを見極めるための自己陶酔型コメントのオンパレードが嫌味でなく「ウィットたっぷり」と訳者後書に書かれるほど。これほどの自信に溢れた人間になってみたいものだ。

【お薦めの台詞】
「多少の違いはあれどの家も同じつくりになっていた。色はそれぞれ違う。キッチンの位置も。だが遺伝子はすべて同一だ。」
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「もし好きにしていいとしたら、キッチンを下取りに出してテイクアウトの店を手に入れる事を選ぶだろう」

2004年11月18日 | パルプ小説を愉しむ
『スコッチに涙を託して』(デニス・レヘイン)のボストンの私立探偵パトリックが、同僚のアンジーについて語る台詞。
パットとアンジーは、地元の大物政治家から盗まれた書類を取り戻す依頼を受ける。簡単な依頼に多額な報酬。やっぱり依頼の内容には嘘があり、盗まれたものは書類ではなく、仲間の政治家の過去を写した脅迫用写真だった。しかも、小児性愛現場を盗撮されたもの。しかも、この写真を探している地元の2つの黒人ギャンググループとも対決するはめになる。冷静沈着、思考明晰、恐れを知らないこと山の如し、といったパトリックとアンジーは、対立するギャンググループの抗争の中、写真を見つけ出す。そこからは悪役政治家やギャングのボスとの知力と胆力を駆使した対決が始まる。
アンジーとはお互いに惹かれ合っているが、アンジーの人でなし亭主のせいで一線が超えられないパット。肝っ玉の太さ、強さと軽口、そして警察や新聞社に助けてくれる友人がいるというこの手のハードボイルド探偵に欠かせない魅力を持つパット。消防士で地元のヒーローだった父親から家庭内暴力を受けていた事がトラウマになっているという設定は、パットに同情を寄せられやすいようにするためと、主人公の複雑な精神構造を説明しやすくするためだろうが、子供の腹部にアイロンを押し当てたなどという話は行きすぎだな。

【その他のお薦め台詞】
・無神論者パットの宗教観 -
「熱帯雨林や海や果てしない宇宙を創った何者かが、同じ手順で人間のような不自然なものを自分の姿に似せて創ったなどということも信じがたかった。」
・これまたパットの文明観 -
「わたしたちは朝な夕な犯されるが、彼らが優しくキスをして寝かしつけてくれるかぎり、わたしたちは目を閉じて眠りにつくのだ。二十世紀が夢見た偽りの偶像に過ぎない、文明や安全のうわべだけの心地よさと引き替えに、心も体も売り渡しながら。」
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海猿

2004年11月18日 | Cinemaを愉しむ
欧州出張の飛行機の中で見ました。
中身は「愛と青春の旅立ち」を潜水士のドラマに塗り替え、そこに親友の死と男女の愛を重ね合わせたもの。トレンディードラマっぽい軽い映画だが結構楽しめた。海の中の綺麗さと若者らしい恋愛ドラマで、涙を誘うところも笑えるところもある。
トンネルの中に入るバスの後部座席で主人公の二人がキスするシーンは、今までで見た日本映画の中で最もきれいなラブシーンだったな。

監督:羽住英一郎
脚本:福田靖
主演:伊藤英明、加藤あい
音楽:佐藤直紀
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