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コージーミステリを読み耽る愉しみ その17 お毒見探偵シリーズ(チェルシー・フィールド著作)

2021年10月02日 | パルプ小説を愉しむ
女の賞金稼ぎ、大統領専属シェフ、元富豪で今は貧乏な元セレブ兄妹、嫌みな元PR会社社長、体形が大違いな似ても似つかない姉妹、自分勝手な元海軍提督夫人等々、コージーミステリーの主人公の設定にはいろいろな工夫がなされていることは作者にとって大いなる苦労だが、毒殺を恐れるセレブのための毒見を仕事とするお毒見探偵という設定には恐れ入りました。このシリーズ主人公のイジー・エイヴェリーは、生まれ育ったオーストラリアからアメリカ・LAに逃げてきた。理由は、元夫が自分の莫大な借金の半分をイジーにおっかぶせたために、悪徳金融会社(カモノハシ金融という名前)の借金取りから逃れるため。元々毒に強い遺伝子を持っている体であったのが幸いして(という便利な設定)、セレブの毒見を仕事とする会社「テイスト・ソサイエティ」で研修を終え、最終テストに臨もうとしていた。

その時、他の毒見役が毒のために命の危険に陥るという事態に遭遇して、テイスト・ソサイエティのメンバーと一緒に事件の究明することになった。怪しい人物がゴロゴロでてくるし、容疑者No.1の男がイジーに興味を持ったがためにストーカーまがいの行為をされたり、レイプドラッグを盛られたりして、コージーミステリお約束の泥沼に入り込む。そして、イジーのおっちょこちょいな性格がそれに輪をかけて事態を混乱されるものの、なぜか探偵の素養があったのか偶然なのか事件の真相にたどり着いてしまう。毒見役を殺そうとしては、毒見を依頼したセレブ・シェフ自身。毒見役が20年以上昔の事件を記した新聞記事を持っていたために、事件を明るみに出さないように毒を持ったのだった。真相を探りながら一歩一歩進むうちに、事実が一つ二つと明らかになっていく。真相が明らかになったのは、勘違いしたイジーから本人に一人で接触してしまった時。ロジカルシンキングで真相にたどりつくのではなく、ドタバタから真相を偶然知ってしまうというのもコージーミステリーのお約束通りの展開でした。

それにしても、訓練すれば匂いや味で毒の有無だけではなく、毒の種類まで判明するというのは本当なのだろうか?それでも、29歳、バツイチ、借金取りに追われるイジーの活躍はとても面白い読み物だった。

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ダナはこの部屋で、生活という作業を、ただ淡々とこなしていたようにも思える。
命の危険に陥った毒見探偵の部屋を調べた時のイジーの感想。「生活という作業」という言葉が、仕事を最優先させるために殺伐とした生活をおくる同僚の暮らしの様をよ~く表している。

この仕事についてまだ三日目だが、ドラッグより、ハイヒールが原因で死ぬ可能性が高いような気がしてきた。さすがアメリカ。ドラッグが比喩として使われるとは。

商品を売っているのか自分の魂を売っているのか、ときどきわからなくなるけど。
「自分の魂を売っている」、そんな手合いは日本にもいるよね。ゴロゴロいるそんな奴らをさんざん見てきたよ。
コメント
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